『マッドマックス:フュリオサ』をもっと楽しむための注目ポイント&制作秘話
”怒りの戦士”フュリオサの新たな物語を描く『マッドマックス:フュリオサ』。その世界観をより深く理解し、楽しむための8つの注目ポイントと制作秘話を紹介!
フュリオサの“謎のピース”が埋まる
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(以下『怒りのデス・ロード』)でシャーリーズ・セロンが演じ、“真の主人公”として圧倒的な人気を獲得した戦士フュリオサ。本作では『怒りのデス・ロード』へと直結する、彼女の10歳から26歳までの出来事が描かれる。
前作では語られなかった彼女の過去が明らかになり、謎のピースが埋まっていくような感覚を味わえるのが本作の醍醐味。なぜ彼女は故郷から引き離されたのか。なぜその片腕は義手なのか。なぜイモータン・ジョーのもとで働くことになるのか。『マッドマックス:フュリオサ』(以下『フュリオサ』)を観ることで『怒りのデス・ロード』が本当の意味で完成する。
フュリオサの物語は『怒りのデス・ロード』の製作前から存在
フュリオサの過去が映画で描かれるのは今回が初めてだが、その物語は実は『怒りのデス・ロード』が作られる前から存在していた。ジョージ・ミラー監督はこの長年の構想について「『怒りのデス・ロード』を作るには、その世界について熟知している必要があった。だからそれを作る前に、フュリオサの物語を書かなければならなかった。そのときに、もし『怒りのデス・ロード』がある程度の人気を得ることができれば、いずれはこの物語を作ろうと思ったんだ」と明かしている。
このときできたフュリオサの脚本は『怒りのデス・ロード』製作当時からキャストにも共有され、シャーリーズ・セロンも役作りの参考にしていたという。
アニャ・テイラー=ジョイの“目”の熱演
若きフュリオサを演じるのは近年のハリウッドの話題作に引っ張りだこの注目女優アニャ・テイラー=ジョイ。主演を務めたドラマ「クイーンズ・ギャンビット」、『ラストナイト・イン・ソーホー』(2021)や『ザ・メニュー』(2022)などこれまで数々の作品で名演を見せてきたが、今回彼女に課せられたのは、フュリオサの感情をほとんど目だけで表現すること。
家族と引き離されたフュリオサは心を硬い殻で覆い、あまり言葉を発しなくなるからだ。しかしその心の奥では、苦悩や絶望、壮絶な怒りといった複雑な感情が渦巻いている。そうした思いを、説得力をもって目で伝えるアニャの演技はまさしく圧巻。
映画史に残る15分間の怒涛のアクション
『フュリオサ』の最大の見せ場の一つが、15分間にも及ぶノンストップのアクションシーン。『怒りのデス・ロード』にも登場した超大型車ウォー・タンクを舞台に息を呑むカーアクションが繰り広げられる。
その凄まじさは実際に映画で体感してもらうとして、アニャ・テイラー=ジョイによれば、このシーンは「撮影した中で一番長いシークエンス」。なんと200人ものスタントマンを動員し、78日間もかけて撮影したという。キャストやスタッフたちはこの壮大なシーンを「Stowaway to Nowhere(行くあてのない密航者)」と呼んでいたとか。この一連のアクションにフュリオサの強さや知性が凝縮されているのもポイント。
アニャの起用はエドガー・ライト監督がきっかけ
アニャ・テイラー=ジョイがフュリオサ役として起用されるきっかけを作ったのは『ラストナイト・イン・ソーホー』でアニャと仕事をしたエドガー・ライト監督。
ライト監督とジョージ・ミラー監督は元々友人同士で、『ラストナイト・イン・ソーホー』の初期カットを観てアニャの魅力に惹きつけられたミラー監督は、ライト監督を通じてアニャに連絡。そして『フュリオサ』のオーディションへの参加を打診したという。
このサーガの大ファンだったというアニャにとってはまさに夢のオファー。アニャはオーディションで映画『ネットワーク』(1976)のスピーチのシーンを披露し、見事に役を勝ち取った。
クリス・ヘムズワースの“声”に注目
フュリオサをさらうバイカー軍団を率いるディメンタス将軍を演じたクリス・ヘムズワース。この役を演じるにあたってクリスが心を砕いたのが、カリスマ的な悪役にふさわしい“声”を見つけ出すことだった。
マーベル・ヒーローのソーを演じた際には、ケネス・ブラナー監督とともに静かで落ち着きのあるソーの声を開発したクリス。今回はそれとは対照的な、不愉快かつ攻撃的な声を生み出そうと試行錯誤し、カモメの鳴き声や競馬実況の声、古い映画の台詞の言い回しなどをヒントとしてディメンタス将軍の独特な声を創りあげていった。これまでのイメージを一変させるクリスの怪演と声の表現は必見。
新旧の個性豊かなキャラクターが登場
主人公のフュリオサだけでなく『怒りのデス・ロード』に登場した個性豊かなキャラクターたちのそれぞれの“起源”を観ることができるのも本作の見どころ。支配者イモータン・ジョーやその息子リクタス、人食い男爵や“医者”のオーガニック・メカニックといったキャラクターたちの過去もこの映画で確かめることができる。一瞬しか登場しないキャラクターもいるので、画面から目を離さないように。
また重要な役割を担う新キャラクターたちも登場。特にトム・バークが演じる警護隊長ジャックはフュリオサの人生に大きな影響を与える存在。アニャは彼のことを「荒野に咲く珍しい花のような存在」と表現している。
シ ャーリーズ・セロンもアニャを支持
ジョージ・ミラー監督は当初、『怒りのデス・ロード』でフュリオサを演じたシャーリーズ・セロンが本作でもフュリオサを演じられるよう、デジタルによる「若返り技術」の使用を検討していた。しかしこの技術がまだ自分の求める水準に達していないと判断し、最終的には断念。
これに誰よりショックを受けたのが、役に強い愛着を持っていたシャーリーズ・セロン。「胸が張り裂けそう」だと率直な思いを明かしつつ、それでも監督の判断を尊重。アニャ・テイラー=ジョイが若きフュリオサを引き継ぐことに「これ以上の女優はいない。彼女なら絶対に大丈夫」と太鼓判を押している。
『マッドマックス:フュリオサ』
2024年5月31日(金)公開
アメリカ=オーストラリア/2024/2時間28分/配給:ワーナー・ブラザース映画
監督:ジョージ・ミラー
出演:アニャ・テイラー=ジョイ、クリス・ヘムズワース
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