日本でもいよいよ公開を迎え話題沸騰中の『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』。前作とは一線を画す野心的なスタイルが様々な議論を呼んでいますが、そこにはどんな狙いがあったのでしょうか。劇中で引用される楽曲や過去の名作へのオマージュにも触れながら本作を考察します。
※ネタバレはありませんが、ストーリーに一部触れる箇所がありますので未鑑賞の方はご注意ください。
(文・斉藤博昭/デジタル編集・スクリーン編集部)
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トッド・フィリップス監督が語る『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』

画像: 『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』撮影現場でのホアキン・フェニックスとトッド・フィリップス監督

『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』撮影現場でのホアキン・フェニックスとトッド・フィリップス監督

「ホアキン・フェニックスはいつも私の度肝を抜くような仕事をする」

──映画のタイトルに「フォリ・ア・ドゥ(フランス語で「二人狂い」)」という言葉が使われるようになった経緯について教えていただけますか?

「私たちのリサーチによると“フォリ・ア・ドゥ”という用語は実際に使われている言葉なんだ。それは、共有された狂気、というアイディアからきた言葉で、この映画ではさまざまな捉え方ができる。『ああ、ジョーカーとリーの二人の間で共有される狂気ね』と捉える人もいれば、アーサーとジョーカーというアーサー自身に潜む二つの狂気のことだと捉える人もいる。そのように、私にとってこの言葉は、映画を観る人のレンズによって捉え方が変わるものなんだ」

──歌のパフォーマンスはライブ撮影されたそうですね。

「撮影前にレコーディングした歌に、俳優たちにその歌の裏にあるべき感情を表現してと言ってもそれは無理な話だろう。だからそれを解決するには、生演奏で、その日に、その場所で歌うしかないと思った。もちろんだけど、(レディー・)ガガはプロの歌手だから、うまくやってくれた。ホアキン(・フェニックス)の場合は、説得するのも、やってもらうのも難しいのではないかと思っていたんだ。彼にできるのかもわからなかった。しかし、彼はいつものように、私の度肝を抜くような仕事をするんだ。いつもだよ。本当に……彼にできないことはないのかもしれない」

──映画で使用した楽曲はどのように選曲したのですか?

「この映画の世界に存在する曲はアーサーの頭の中にある曲たちなんだ。最初にピンときて、『これだ、アーサーが映画の中で歌う曲は』と私たちが思った曲は『フォー・ワンス・イン・マイ・ライフ』だったと思う。私は、この歌はアーサーの他人とのつながりへの欲望をうまく表していると感じるんだ。それから私たちはこの曲をよく聴くようになった。そしてそれが、この映画にあえて音楽を入れるきっかけになったんだ。音楽とアーサーの関係についてはいつも話していたけど、先に映画の一部として音楽を取り入れるというアイディアから始まったわけではなかったからね。でもいったんそのアイディアが浮かんでからは、アーサーが精神病院で歌うところを想像していたよ」

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ
公開中
配給:ワーナー・ブラザース映画
監督:トッド・フィリップス
出演:ホアキン・フェニックス、レディー・ガガ、ブレンダン・グリーソン、キャサリン・キーナー、ザジー・ビーツ

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