俳優としての深みが出てきた菊池風磨
──大森さんは存在自体が謎めいた男・鈴木、菊池さんは過去に秘密を抱える警備員・桐山を演じています。大森さん、菊池さんとはどのように役作りをされましたか。
対面で会ったとき、キャラクターについての話をしました。その上で、脚本の読み合わせもして、「今のセリフはどういうつもりでそういう風に言ったのか」といった具体を手掛かりにしながら、キャラクターの人物像を掘り下げていった記憶があります。
──公式YouTube「#真相の部屋」で、大森さんが「鈴木は何を思っているのかわからない、読めない役。目はいろんなことを語るので、それを分からない風にさせるため、目に光を入れないことを意識していた」と話していました。
現場ではそういったことを言っていませんでしたが、そもそもMrs. GREEN APPLEのライブやMVで自分たちが姿を現すときの演出は大森くんの発案が多く、Mrs. GREEN APPLEのパフォーマンスの管理を大森くんがしています。自分がどう見えるかについての嗅覚がとても発達している人なのでしょう。今回の「目に光を入れない」も彼の独特な自己演出で、空っぽのような目ということなのかもしれません。

──順風満帆だった桐山はあるタイミングですべてを失います。しかし、それまでの桐山は順風満帆に見えていただけで、実は繕っていたに過ぎず、鈴木と出会って変わっていった桐山こそ、本当の桐山ではないかと菊池さんが「#真相の部屋」で話していました。このキャラクターの奥深さは監督と掘り下げていって生まれたものでしょうか。
キャラクターについて話し合っているときに「桐山ってどんな人間なのかな?」と聞いたところ、風磨くんがぼそっと「リモート飲み会をする2人とは親友に見えるけれど、本当のところ、桐山は心を許していないのではないか」と言っていました。それが繕っていたということなのかもしれません。面白い解釈だなと思いました。
──菊地さんは脚本を深く読み込んでいくタイプなのでしょうか。
これまではもうちょっとライトな役柄が多く、そういう話をしたことがありませんでした。今回、衣装合わせでキャラクターについて話しているときに、風磨くんのその言葉を聞いて「そういうことを言うんだ」と思い、俳優としての深みが出てきているのを感じました。
──菊池さんは「撮影期間が開いたので、体を絞って、髪型も変えた」と話しています。
エリートサラリーマンだった頃を先に撮影し、ある程度の時間をおいて、やさぐれた警備員になってもらいました。顔の引き締まり方も違ったのかもしれませんが、僕にはそこまでは気がつきませんでした。
