Mrs. GREEN APPLEのフロントマン大森元貴とアイドルグループtimeleszの菊池風磨がW主演する『#真相をお話しします』が4月25日公開される。原作はミステリー界の新星・結城真一郎氏の同名小説。「妖怪シェアハウス」シリーズなどで独特の世界観を作り上げてきた豊島圭介監督が日常に潜む“違和感”を巧みに映し出している。公開を前に豊島監督にインタビューを敢行。主演2人について語ってもらった。(取材・文/ほりきみき)

大森元貴、菊池風磨であるということを忘れた瞬間があった


──鈴木と桐山2人のシーンは主に警備室です。演出ではどのようなことを意識されましたか。

警備員室に関しては密室劇だったので、“どのような設計にするか”をかなり考え、変化をつけやすいように階段を導入したセットを作りました。

というのも、人間の位置関係はその人たちの関係性を決定します。例えば、座っている人と見下ろしている人がいたら、見下ろしている人の方に威圧感があり、横に並ぶと2人は平等に見える。立ち位置や座り位置を変えることで、彼らの関係性が変化したのが見えてきます。高低差は人の動かし方の大きな要素なのです。

その上で、“最後に物語が大きく動く瞬間をどこで行うのか”をかなり考え、“そうなるとその前はここにいなければいけない”など、動線を全部、逆算、逆算みたいにして考え続けていきました。


──警備室が半地下にあり、窓から時々、外を通る車のヘッドライトが差し込んでくるのがアクセントになっていました。

物語の発端が警備員室で、ラストも警備員室なので、変化に乏しくなります。警備員室のセットの設計は「光がうまい具合に入るような構造にできないだろうか」というところから始まりました。

東映撮影所のステージにセットを組みましたが、地面のコンクリートをそのまま使っています。これまでの作品のペンキの名残のような汚れもあり、年季が入っているビルにあるように感じられる。これは美術デザイナー黒瀧さんのアイデアです。

画像1: 大森元貴、菊池風磨であるということを忘れた瞬間があった


──いかにも昭和といった雰囲気がありました。

そうですね。昭和的な世界観とバーチャル空間であるデジタルの世界との対比が効くといいなという狙いがありました。


──大森さん、菊池さんの印象に残る表情を教えてください。

大森くんに関しては、彼が途中で風磨くんの腕を掴んで詰め寄るところがあります。そのアクション自体は僕からやってほしいと頼んだものでしたが、そこで彼はこれまでの彼のキャラクターとはズレたような、下品な発言をします。それは大森くんの提案でしたが、キャラクターが立体的になり、ものすごく深みが出て、無茶苦茶面白い提案だと思いました。

風磨くんがスピーカーとしていろいろ喋っていると、アバターのお客さんたちが大盛り上がりしているのを受けて、大森くんが「うまくいっているぞ」と親指を立てます。それを見たときに風磨くんはうれしいような、はにかんだような不思議な表情をしています。あの表情はなかなかできません。その場に俳優として存在し、目の前の人とお芝居としてのコミュニケーションが取れているときに初めて生まれる表情です。これが出たということは、僕にも風磨くんにもすごく大きな意味を持つのではないかと思いました。

大森くんも風磨くんもそれぞれ、僕の予想を裏切るような表情をしているところがあるので、ぜひ、そこを見てほしいと思います。

画像2: 大森元貴、菊池風磨であるということを忘れた瞬間があった


──今回のテーマはミュージシャンの大森元貴とアイドルであり俳優の菊池風磨をいかにリアルな存在として実在できるかということだとうかがっておりますが、今のお話をうかがっていると、それができていたということですね。

ペルソナとして日本中に知れ渡っている人たちですから、それとは違う顔を映し出すというのは1つの大きな仕事だと思い、この作品のテーマに掲げました。

現場で彼らが大森元貴、菊池風磨であるということを忘れ、鈴木や桐山にしか見えない瞬間がありました。これは映画がうまくいっているってことだなと思い、ほっとしました。


──また大森さん、菊池さんと組むことがあったら、今度はこんな役を演じさせてみたいという役どころを教えてください。

大森くんは策士なところがあり、いろんなことを考えているプロデューサーでもあります。それが今回は役柄として合っていました。そういう意味では、また、同じような役を振ってしまいそうな気がします。好きな人に告白されて、真っ赤になって照れる、みたいな役柄は見てみたいですね。

風磨くんは巻き込まれ型というか、大事件に巻き込まれたお調子者の主人公が最終的には切羽詰まって、生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされ、そこから目の色を変えて困難に立ち向かう、みたいな役が見てみたいですね。

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