エンダードラゴンではなく、ピグリンがメインの悪役になった理由
――「マイクラ」にはたくさんの要素があります。映画という媒体で表現するにあたって、どういった要素を重点的にピックアップしようとしましたか?
ヘス監督「プロデューサー陣、そして僕自身や美術チーム、VFXチームなど、それぞれの部門長が膝を突き合わせて、『マイクラ』の一番好きな部分や、一番お気に入りのキャラクターやアイテムについて語って映画に取り入れていきました。
今回僕の中での一番重要な課題は『誰をヴィランとして登場させるか』という点でした。ゲーム版ではエンダードラゴンが最も伝説的なキャラクターですが、『ドラゴンは他の映像作品でも描かれているなぁ』と思ったんです。その時、アイコニックなヴィランになりえる他のキャラクターとして思い浮かんだのがピグリンでした。本当に薄汚いというか・・・そんなところがすごく好きなんです。彼らをヴィランとすることで、映画のマイクラワールドにとっての脅威になりえるようなキャラクターや、ネザーの世界を築けると思いました。

そのほかにも『マイクラ』ならではのアイテムやキャラクターをピックアップするようにしました。特にクリーパーなどは、他にはないデザイン性がありますから。私たちが大好きなアイテムやキャラクターを祝福するような気持ちで映画を作ったんです」
オラフソン「映画の制作陣へは、僕ら自身がプレイヤーとして『マイクラ』をプレイするなら、どういった願望を実現したいかを軸に考えることを提案しました。例えば僕なら、『森を駆け抜けたい』とか『鉱山に入りたい』とか、あるいは『森の洋館に行きたい』といったようなことです。
とか。本当はそんなに悪い子じゃないんだけれども、なぜかこの仕事をしなければならない。でも『なんか疲れたから、ちょっと逃げてみようかな』という素振りを見せるピグリンがいたりだとか。そんな悪い子じゃないんだけど、生まれた社会を間違えたみたいな感じは出るようにしました。

また、僕としては格闘シーンに感動しました。もちろんピグリンたちはCGですが、ピリジャーやスケルトンは、俳優さんがコスチュームを着て演じているんです。頭部はもちろん付け替えてますが。また、この映画のスタントコーディネーターには、以前ジェイソン・モモアさんと組んだことのある方や、『ジョン・ウィック』シリーズに携わった方が参加しているのですが、僕自身アクションの振りを見ていて驚きばかりでした。ナタリー(エマ・マイヤーズ)やドーン(ダニエル・ブルックス)が殴り倒して戦う姿など、アクションのクオリティに感嘆しました」