*本インタビューは複数のメディアによる合同インタビューをSCREEN編集部が構成したものです。
世界観の説明として重要な“夜”のシーンへのこだわり
――まず何よりも「マイクラ」ファンのための映画になっていますね。ゲームの「マイクラ」についてどのような手法でリサーチしたのでしょうか。
ジャレッド・ヘス監督(以降、ヘス監督)「自分自身、『マイクラ』をプレイすることが出発点でした。子供と一緒にずっとプレイしていたので、ゲームには親しんでいたんです。映画の企画開発は、(ゲームの開発元の)Mojang Studiosと常に協業していました。なので、細部のディテールや各シーンの描き方について『マイクラ』のルールにちゃんと乗っ取りつつ、いかに映画的なストーリーテリングをするかを心がけました。また、脚色にあたって、ゲーマーの皆さんにとっても、何か今まで体験したことのない、見たことのない新しい体験を提供できればという思いもありましたね」
ジャレッド・ヘス監督
トルフィ・フランス・オラフソンプロデューサー
トルフィ・フランス・オラフソン(以降、オラフソン)「協業する中で、『ゲームではこうなんです』というビデオを送ったりして皆さんに色々と熟知してもらいました。例えば、キャラクターが別の世界へ移動する際、ストーリー上どう飛ぶのが『マイクラ』らしいのか、と相談されたときは『こういうやり方がいいのでは?』と提案はしつつも、映画的にも一番上手くワークするやり方を探していったのです」
――「マイクラワールド」に転送された最初の夜のシーンは、ホラー描写が非常にスリリングでした。ゲーム版の「マイクラ」でも、最初の夜を生き残るのは困難が伴います。映画版の夜のシーンでは、どんなことにこだわりましたか。
ヘス監督「おっしゃる通りすごく重要なシーンでした。なので、Mojang Studiosの皆さんやトルフィさんとたくさん話し合いを重ねました。ゲームの『マイクラ』を初めてプレイするプレイヤーにとっても“最初の夜”は大事な導入ですから。一見すごくハッピーな世界なのに、太陽がいったん沈むと、とんでもなく恐ろしい環境になる。クリーパーやゾンビも出てきたりしてね。
映画でもそれを表現できるようにとても工夫をしました。厳しい状況下でも、各自が創造性(クリエイティビティ)を発揮して、色んな創意工夫をしながらサバイブしなければならない。そんな姿を描きながら、それぞれのキャラクターや性格を立たせることを心がけました。

このシーンでは、ヘンリー(セバスチャン・ハンセン)が創造性や創意工夫の力を発揮できる初めての場であることを描きつつ、夜を過ごすことで、現実世界とはまったく違う物理の法則など、この異世界の分からないことを発見できる流れにしています。だからこの場面では、ヘンリーのキャラクターが立っているんです。また、ジェイソン・モモアが演じるギャレットは、凄くごつくてタフな男かと思いきや、ギャーギャー騒いで泣き虫であるということも分かります。ギャレットのキャラが確立する重要な場面でもあるんです。
撮影に入るまでに2年以上の時間をかけていて、ストーリーボードを書いたり、撮影開始前からずっとこの場面については練っていたんです。ちなみに、このシーンの要塞はセットを作って撮影していますよ。
ゲームのプレイヤーは、穴を掘って隠れるとか何かをつくって身を守るとか、プレイスタイルは様々なんです。映画の登場キャラクターたちについても、それぞれのキャラが立つような動きや行動は大事にしましたね」