奥平大兼と出口夏希がW主演する『か「」く「」し「」ご「」と「』は『君の膵臓をたべたい』の原作者・住野よるのベストセラー小説の実写化である。自分に自信が持てない主人公の片思いを軸に5人の高校生の葛藤を描いている。『少女は卒業しない』の中川駿監督が原作者の思いに応えた脚本を書き、その世界観を映像化した。SCREEN ONLINEでは中川監督にインタビューを敢行。作品への思いや監督独特な演出について語ってもらった。(取材・文/ほりきみき)

隠しているのは彼らの特別なチカラのことではない


──5人のメインキャストの方々とまたお仕事をするとしたら、次はどんな役がいいでしょうか。

奥平くんと話し合いながらキャラクターのディティールを作っていく過程が楽しかったので、次も単純な感情芝居ではなく、“いろいろな表裏があって…”みたいな役をやってほしい。天才数学者のような、すごく知的で難しい役とかいいですね。

出口さんは今回、ミッキーの天真爛漫な明るさがドハマりしていて、彼女の爽やかさが存分に発揮できました。だからこそ、ミッキーとは真逆なタイプにいくのではなく、もっとミッキーのような役がいい。例えば、より爽やかな、部活動に青春の汗を流す出口さんが見てみたいです。

佐野くんは初めて顔を合わせたときに、“こんなに爽やかで透明感のある男がいるんだ”とびっくりしたくらいアイドルらしいアイドルでした。ですから、それをそのまま活かせるアイドル役ですね。本人役もいいかもしれません。

菊池さんはつかみどころのなさというか、人当たりがいいように見えて、実はいろいろ考えているといった二面性もある子なので、ニコニコした笑顔で怖しいことをするサイコキラーのような役とかやったら面白そうですね。

早瀬さんは元々住野先生のファンだったので、エルに対する解像度が高く、自分が演じるエル像を明確に持っていました。それがたまに僕が思っているエル像と合わないことがありましたが、話し合っていくうちに早瀬さんのエル像の方がいいと思えたのです。そんな若さゆえの頑固さがあって、それはそれで楽しかったのですが、ふと「自分の娘も思春期になったらこんな感じになるのかな」と思いました。早瀬さんはまだ10代なので、思春期ならではの頑固さを持つ娘の役をやらせたら、すごくいい芝居をしてくれるのではないかと思います。


──これからご覧になる方に向けてひとことお願いします。

タイトルに「かくしごと」とあるように、作中でも何らかのかくしごとが描かれています。一見すると彼らの特別なチカラのことかと思うかもしれませんが、実はそうじゃない。「5人はそれぞれ何を隠そうとしているのか」、「なぜ、それを隠そうとしているのか」といったところに思いを巡らしながら見ていただくと味わいが違う、深い内容の作品になっています。いろんな見方で楽しんでください。

<PROFILE>  
中川駿監督   
1987 年石川県生まれ、東京都育ち。   
大学卒業後、イベント制作会社を経て独立。イベントディレクターとして活動する傍らで、ニューシネマワークショップにて映画制作を学ぶ。自らが脚本・編集・監督した短編『カランコエの花』(16)はレインボー・リール東京 ~東京国際レズビアン&ゲイ映画祭でグランプリを受賞したほか、国内の映画祭を席巻。現在でも多くの企業や教育機関研修等で教材として、LGBTQの理解促進に貢献している。その他、過去の監督作品は『time』(14)、『尊く厳かな死』(14)、『 UNIFORM』(18)、初の長編監督作『少女は卒業しない』(23)など

画像: 【インタビュー】奥平大兼と話し合いながらキャラを作り上げた『か「」く「」し「」ご「」と「』中川駿監督

『か「」く「」し「」ご「」と「』2025年5月30日(金)公開

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<STORY>  
もしも、好きな人の気持ちが見えてしまったら──    
その“かくしごと”を知ったとき、純度100%の涙が溢れ出す。    
みんなには隠している、少しだけ特別なチカラ。 
それぞれの“かくしごと”が織りなす、もどかしくも切ない物語。   
「自分なんて」と内気な高校生・京(奥平大兼)は、ヒロインじゃなくてヒーローになりたいクラスの人気者・三木(出口夏希)が気になっているのに、いつも遠くからただ見つめるだけ。  
そんな三木と幼馴染である京の親友・ヅカ(佐野晶哉)を通して、 卒業まで“友達の友達”としてずっと一緒にいるはずだった──。

<STAFF&CAST>  
監督・脚本:中川駿  
原作:住野よる『か」「」く「」し「」ご「」と「』(新潮文庫刊)  
主演:奥平大兼 出口夏希  
出演:佐野晶哉(Aぇ! group) 菊池日菜子 早瀬憩 
配給:松竹 
©2025『か「」く「」し「」ご「」と「』製作委員会  ©2017住野よる/新潮社

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