“ポップコーン”対決のシーンは異例。原作のアングルも重視
──少し話が戻ってしまうのですが“ポップコーン対決”のシーンは「岸辺露伴」シリーズの中でも特に「ジョジョの奇妙な冒険」らしいなと思いまして。もちろん「ジャンケン小僧」など「ジョジョ」発のエピソードもありますが。
確かに。そうですね。
――原作でも熱量が高いシーンですよね。演出ではどんなことを意識されましたか。
今までのシリーズも原作を何度も何度も読み込んで、メッセージを逃さずすくい取るつもりで作ってきましたが、撮る映像に関しては、原作のカットをそのまま再現するつもりはなく、実写で構築した世界観の中で最適な表現は何かを第一に考えて撮影してきました。
ただ、“ポップコーン対決”に関しては、ダイナミックで外連味がある描写を模索していった結果、最終的に原作の表現に勝るものはないと気づきました。もちろん「すべてを忠実に」というわけではありませんが“ここからこういうアングルで撮るとこうなる”ということをきちんと検証した上で進めていったので、今までの「岸辺露伴」シリーズとはちょっと違う感じではあります。

――どのような映像になったのか楽しみです。キャストの話に戻ってしまうのですが、実写版「岸辺露伴」シリーズの冒頭に毎回登場されている、中村まことさん、増田朋弥さんの登場を今回も期待してよいのでしょうか。
今回はオールヴェネツィアロケなので、同じような役回りをイタリアの方にやってもらいました。お二人は「ええっ、『懺悔室』いつ撮ったの?」とびっくりしていると思います。中村さん、増田さん、ごめんなさい!
──分かりました(笑)。今、お話にも出ましたが今回オールヴェネツィアロケです。過去にインタビューで「撮影場所が一番大事」ともお話されていましたが、撮影場所として一番大事にされたのはどんなことでしょうか。
ヴェネツィアはどこを撮っても画になるのですが、画になり過ぎるきらいもあります。なので「This is ヴェネツィア」という所から少し外れた場所で撮影することが最終的には多くなりました。1本路地を入るだけで全く空気感が違うんです。ヴェネツィアの“光”だけでなく、“影”の部分も出るように意識しました。
──ちなみにヴェネツィアは「ジョジョの奇妙な冒険」の聖地ですよね・・・。
もちろんちゃんと意識して撮っている部分もあります(笑)。ぜひ探してみてください。
<PROFILE>
監督:渡辺一貴
1969年生まれ、静岡県出身。1991年にNHKに入局後、数多くのテレビドラマ作品を手掛ける。主な演出作品に「監査法人」(08)、「まれ」(15)、「おんな城主 直虎」(17)、「雪国 -SNOW COUNTRY-」(22)、「岸辺露伴は動かない」(20~24)、「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」(24)などがある。映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(23)で初めて劇場公開映画の監督を務める。『ショウタイムセブン』(25)では脚本・監督を担当。
『岸辺露伴は動かない 懺悔室』5月23日(金)ロードショー
- YouTube
youtu.be<STORY>
漫画家・岸辺露伴はヴェネツィアの教会で、仮面を被った男の恐ろしい懺悔を聞く。それは誤って浮浪者を殺したことでかけられた「幸せの絶頂の時に“絶望”を味わう」呪いの告白だった。「幸福になる呪い」から必死に逃れようと生きてきた男は、ある日無邪気に遊ぶ娘を見て「心からの幸せ」を感じてしまう。その瞬間、死んだ筈の浮浪者が現れ、ポップコーンを使った試練に挑まされる。
「ポップコーンを投げて3回続けて口でキャッチできたら俺の呪いは消える。しかし失敗したら最大の絶望を受け入れろ…」。奇妙な告白にのめりこむ露伴は、相手を本にして人の記憶や体験を読むことができる特殊能力を使ってしまう…。やがて自身にも「幸福という名の呪い」が襲いかかっている事に気付く。
<STAFF&CAST>
原作:荒木飛呂彦「岸辺露伴は動かない 懺悔室」(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:渡辺一貴
脚本:小林靖子
音楽:菊地成孔/新音楽制作工房
人物デザイン監修・衣裳デザイン:柘植伊佐夫
出演: 高橋一生 飯豊まりえ / 玉城ティナ 戸次重幸 大東駿介 / 井浦新
配給:アスミック・エース
© 2025『岸辺露伴は動かない 懺悔室』製作委員会 © LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社
公式サイト:https://kishiberohan-movie.asmik-ace.co.jp/