老境のヒットマンが挑む“最後の完全犯罪”を描いた『殺し屋のプロット』が本日公開。ジャンルを超える脚本に惚れ込み、主演・監督・製作を兼ねたマイケル・キートンと、父との確執に揺れる息子マイルズを演じたジェームズ・マースデンが、作品に込めた思いと撮影現場の舞台裏を語ってくれました。(文・編集部(作品紹介)/デジタル編集・スクリーン編集部)

監督が俳優でもあるということは、僕にとってとても特別なことなんだーージェームズ・マースデン

画像: Photo by Emma McIntyre/Getty Images for IMDb

Photo by Emma McIntyre/Getty Images for IMDb

──今回、あなたはマイケル・キートン演じる主人公・ノックスの息子・マイルズを演じています。この役について教えてください。

「撮影前にマイケル(・キートン)と打ち合わせをしたんだけど、そのときにマイルズの人物像について理解が一致したんだ。マイルズは、この作品で最も感情的にむき出しのキャラクターだと思う。彼には大きな役割と重圧がのしかかっていて、怒りや絶望、後悔、恐れ、愛情といったさまざまな感情を抱える人物だ。この物語の感情面の核を担っているともいえるね。

劇中では直接的に描かれていないけど、マイルズは父親であるノックスの正体が殺し屋だと知ったとき、意識的に父とは正反対の人間になると決めたんだと思う。

彼はノックスと正反対になるためにできる限りのことをしてきて、血の繋がりが運命を決めることを拒み、娘にもノックスの影響を受けさせないようにしたかった。そんな人生を歩んできたにもかかわらず、16年前に絶縁した父に助けを求めて、彼の家の玄関に立っている。そんな状況に直面することになるんだ」

画像2: 画像は『殺し屋のプロット』より

画像は『殺し屋のプロット』より

──今回、キートンは主演だけでなく、監督と製作も務めています。彼からオファーが来たとき、どう思いましたか? それと彼の現場はどうでしたか?

「誰もがそう言うと思うんだけど、もしマイケルが自分のために一つでもセリフをくれるとしたら、そのオファーを断る理由はないよね。彼は子どもの頃からのヒーローの一人だし、時代のアイコンともいうべき、偉大な俳優の一人だ。でも現場では、ファンボーイとしての気持ちはいったん横に置いて、『自分はちゃんと理由があってここにいるし、彼は自分を必要としてくれているんだ』と自分に言い聞かせたよ(笑)。

撮影はわずか25日間でリハーサルもなかった。マイケルには申し訳ないけど、もし無限に時間や予算があったら、僕はこの映画から降りていたかもしれない。『これは僕には長すぎて集中できない』って思っていたと思う。

予算や時間の制約があったからこそ、取り組めたんだ。クリエイティブな仕事って、制限がある方がむしろいいこともあるよね。予算も時間もロケーションも全部揃っている状況が、必ずしも最良とは限らないと思う。

今回は、物語の方向性をつかんで、『自分の頭の中にある映画をどう実現させるか?』と考えるしかなかった。他のことを考えている時間なんてなかったんだ。

それと、監督が俳優でもあるということは、僕にとってとても特別なことなんだ。演じることの難しさや自信の揺らぎを理解してくれるからね。俳優には、恐れずに挑戦していく勇気が求められる。マイケルは現場に素晴らしい雰囲気と安心できる空間を作ってくれたよ」

ジェームズ・マースデン プロフィール

1973年9月18日、米・オクラホマ州出身。オクラホマ州立大学で放送ジャーナリズムを学び、94年に映画デビュー。「X-メン」(00~06)シリーズのサイクロプス役でブレイク。その他『スーパーマン リターンズ』(06)、『魔法にかけられて』(07)『幸せになるための27のドレス』(08)などに出演。近年は「ソニック・ザ・ムービー」シリーズ(20~24)にて主人公ソニックの相棒トム役を好演し、親しみとユーモアあふれる演技で新たな代表作となった。

老ヒットマンが挑む、人生最後の“完全犯罪”『殺し屋のプロット』

博士号を持ち大学で教鞭をとっていたこともある元陸軍偵察部隊の将校、ジョン・ノックス。だが裏の顔は老練な“プロの殺し屋”だった。 急速に記憶を失う病に襲われた彼は、疎遠だった息子が犯した罪を知り、その償いと救済のために、人生最後の“完全犯罪”に挑む。

主人公ノックスを演じるのは、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』でアカデミー賞にノミネートされ、『スポットライト 世紀のスクープ』などで確かな存在感を示してきた名優マイケル・キートン。本作では主演に加え、監督・製作も兼任し、脚本に惚れ込んで自らメガホンを取った。演技・演出・構成のすべてに彼のキャリアの集大成が刻まれている。

共演には、『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』でアカデミー賞を受賞したアル・パチーノが、ノックスを殺し屋の世界へ導いた旧友ゼイヴィア役で出演。『ポロック 2人だけのアトリエ』のオスカー女優マーシャ・ゲイ・ハーデンが元妻ルビーを演じるほか、「X-MEN」シリーズで知られるジェームズ・マースデンが父ノックスとの確執を抱えるマイルズ役を務める。

さらに『COLD WAR あの歌、2つの心』のヨアンナ・クーリクが、ノックスと密会を重ねていたコールガール・アニー役として登場する。

STORY|天才的な頭脳と軍の経歴を持つ殺し屋ジョン・ノックス(マイケル・キートン)は、記憶を急速に失う病を宣告される。引退を決意するが、疎遠だった息子マイルズ(ジェームズ・マースデン)から「殺人の罪を隠してほしい」と懇願される。記憶が消えていく中、ノックスは人生最後の“完全犯罪”に挑むことになる。

画像1: 老ヒットマンが挑む、人生最後の“完全犯罪”『殺し屋のプロット』

CHECK1|現場で圧倒的オーラを放った、アル・パチーノ

ゼイヴィア役に選ばれたのは、伝説のオスカー俳優、アル・パチーノ。キートンも「登場人物について自由に話せた」と振り返るほど、彼のキャスティングは早くから決まっていた。

そして現場での存在感も圧倒的だったそうで、プロデューサーのニック・ゴードンは、「ピンが落ちる音まで聞こえるほど空気が一変した。まさに国の宝だ」と振り返る。アルの一挙手一投足に、現場全員が息をのんだという。

画像2: 老ヒットマンが挑む、人生最後の“完全犯罪”『殺し屋のプロット』

CHECK2|キートン流ノワールを創り上げた名手たち

ロサンゼルスでの撮影は、キャストもスタッフも満足のいくものだった。キートンは「昼の寂れたモールを見ると不思議な気分になる。あれがいい」と語っている。

プロダクション・デザイナーのビル・アーノルド(『マグノリア』『パンチドランク・ラブ』)がLAの空気を生かしたモダン・ノワールの世界観を構築し、衣装のミシェル・ミッチェル(『トレーニング デイ』)はノックスに洗練された現代版『ラットパック』ルックを与えた。

『殺し屋のプロット』

12月5日(金)公開
監督・製作:マイケル・キートン
出演: マイケル・キートン、ジェームズ・マースデン、ヨアンナ・クーリク、マーシャ・ゲイ・ハーデン、アル・パチーノ
配給: キノフィルムズ
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