『ローズ家〜崖っぷちの夫婦〜』の主人公となったローズ夫妻は、アツアツの時代も、冷え切った時も「リアルな夫婦像」を笑いと戦慄の中に描いていますが、古くから映画に登場する夫婦たちは、実話でもファンタジーでも時に理想的だったり、時に反面教師的だったり、観客の感情を大きく揺さぶってきました。見る者に希望と教訓を与えてくれるそんな夫婦たちをピックアップしてみましょう。(文・米崎明宏/デジタル編集・スクリーン編集部)

実話だからこその説得力を持って夫婦愛を問う必見作

大人気ジャズミュージシャンとその愛妻 『グレン・ミラー物語』(54)

画像: 『グレン・ミラー物語』 Photo by Silver Screen Collection/Getty Images

『グレン・ミラー物語』
Photo by Silver Screen Collection/Getty Images

全米屈指の楽団を率いるリーダーとしても活躍したジャズ演奏家、グレン・ミラーとその夫人ヘレンの愛情物語。我が道を行くタイプのグレン(ジェームズ・スチュワート)を、愛情深いヘレン(ジューン・アリソン)が見守るように育む夫婦の愛に、公開当時の観客は感動したもの。ラストで夫の悲報を受けるヘレンの姿に涙した人も少なくないはず。

ラジウム研究でノーベル賞受賞の学者夫妻 『キュリー夫人』(43) 

画像: 『キュリー夫人』 Photo by Metro-Goldwyn-Mayer/Getty Images

『キュリー夫人』
Photo by Metro-Goldwyn-Mayer/Getty Images

ノーベル賞を受賞した物理学者マリ・キュリーとピエール・キュリーの物語で、大学で出会った2人が結婚し、ラジウムの研究に没頭する日々と、苦難を乗り越えていく姿を描く。2人がラジウムの権利を独占せず、無償で世界に寄与したのは、すでに互いの愛情という富以上のものを手に入れていたからだ。出演はグリア・ガーソンとウォルター・ピジョン。

売れっ子女性ピアニストだった妻と作曲家の夫 『愛の調べ』(47) 

画像: 『愛の調べ』 Photo by FilmPublicityArchive/United Archives via Getty Images

『愛の調べ』
Photo by FilmPublicityArchive/United Archives via Getty Images

19世紀に生きたドイツのピアニスト、クララ・シューマンと作曲家の夫ロベルトの出会い、結婚生活を描く米映画。才能豊かなクララ(キャサリン・ヘプバーン)に対し、ロベルト(ポール・ヘンリード)の曲は売れず、ロベルトは次第に精神を病んでいく。7人の子だくさんというほど夫婦愛が強かった2人には悲劇が待っていたが、クララの心は常に夫の元にあった。

ハリウッドを代表するような大物スター夫妻 『面影』(76) 

画像: 『面影』 Photo by Universal-International Pictures/Getty Images

『面影』
Photo by Universal-International Pictures/Getty Images

『風と共に去りぬ』で知られるクラーク・ゲーブルと『スミス夫妻』などで知られるキャロル・ロンバードは共に売れっ子俳優だったが、その座を捨てても一緒になると覚悟を決めたほどの思いで結ばれていた。障害を乗り越えめでたく夫婦となった幸福な2人だが、キャロルの乗った飛行機が事故に…。出演はジェームズ・ブローリンとジル・クレイバーグ。

難病と闘いながら偉業を残した学者と最初の妻 『博士と彼女のセオリー』(14)

画像: 『博士と彼女のセオリー』

『博士と彼女のセオリー』

理論物理学者として世界的な知名度を誇ったスティーヴン・ホーキング博士と最初の妻ジェーンの特別な関係を描いた作品。スティーヴンは筋萎縮性側索硬化症を患ったため、夫妻は様々な苦労を重ね、子供も授かるが、やがて互いに他に好きな人ができてしまう…。複雑な夫婦愛を演じたのは演技派エディ・レッドメインとフェリシティ・ジョーンズのコンビ。

画像3: 『ローズ家〜崖っぷちの夫婦〜』だけではない!感動か? 戦慄か? 映画の中の気になる夫婦たち

『博士と彼女のセオリー』

Blu-ray: 2,075円(税込)
発売・販売元:ハピネット・メディアマーケティング
© 2014 Universal Studios.All Rights Reserved.

統合失調症を持つ天才数学者を支え続けた妻 『ビューティフル・マインド』(01) 

画像: 『ビューティフル・マインド』

『ビューティフル・マインド』

天才的数学者ジョン・ナッシュは順風満帆の学者人生を送っているかのようだったが、妻アリシアが夫の異変に気づいた。統合失調症のジョンは実際には存在しない人物が見えていたのだ。治療に明け暮れるジョンを支え続けるアリシア。やがて彼はノーベル経済学賞を受賞するまでに回復する。ラッセル・クロウとジェニファー・コネリーが夫妻役を名演。

著名な哲学者、作家として活躍した妻と大学教授の夫 『アイリス』(01) 

画像: 『アイリス』

『アイリス』

画像4: 『ローズ家〜崖っぷちの夫婦〜』だけではない!感動か? 戦慄か? 映画の中の気になる夫婦たち

イギリスの著名な作家アイリス・マードックと夫のジョン・ベイリーの長年に渡る固い絆を描く。若き日の聡明なアイリスに年下のジョンが惹かれていく様子、晩年はアルツハイマー症となったアイリスを支え続けるジョンの姿も心に残る。若い時代をケイト・ウィンスレットとヒュー・ボネヴィルが、晩年をジュディ・デンチとジム・ブロードベントが演じる。

州と闘って禁じられていた結婚を貫いた夫妻 『ラビング 愛という名前のふたり』(16)

画像: 『ラビング 愛という名前のふたり』

『ラビング 愛という名前のふたり』

『ラビング 愛という名前のふたり』

U-NEXTで配信中
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まだ異人種同士の結婚が認められていなかった1950年代の米バージニア州で、白人のリチャード(ジョエル・エドガートン演)と黒人のミルドレッド(ルース・ネッガ演)が州外のワシントンDCで結婚し故郷に戻るが、2人は逮捕されて離婚か故郷を去るかの選択を迫られる。ラビング夫妻の実話を基にした物語で、前例のない闘いを選ぶ夫妻の意思が尊い。

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