世界的な大ヒットとなった前2作に続いてジェームズ・キャメロン監督が送り出す全映画ファン待望のシリーズ第3弾『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』。驚異的な映像と神秘の惑星を舞台にした壮大なストーリーで観客を虜にしたこれまでの2作以上に気になる本作の見どころは? 注目したい重要ポイントを取り上げてみましょう。(文・渡辺麻紀/デジタル編集・スクリーン編集部)
カバー画像:『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』より © 2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.

『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』はこうなる!

最強のフィルムメーカー、ジェームズ・キャメロンのライフワーク、「アバター」シリーズ。5本作られると言われるサーガの第3弾がこの冬公開される『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』だ。

自然とともに生きるナヴィの衛星パンドラを舞台に、ナヴィとして生きることを選んだ人間の兵士ジェイク(サム・ワーシントン)と、彼の妻となり部族の長的存在のネイティリ(ゾーイ・サルダナ)、そして彼らの子どもたちを通してさまざまな問題が描かれる。舞台は異星、キャラクターのルックスも人類とは異なるが、そこで語られるのは紛れもなく私たちのこの社会であり自然との向き合い方であり人生のありよう。だからこそ共感度が高く世界中で大ヒットし続けているのだ。

では今回の『ファイヤー・アンド・アッシュ』はどんな物語なのだろうか。前2作の敵は、パンドラを人類の暮らせる星に変え、貴重な資源を奪おうとする人間だった。その中心的人物となるのがクオリッチ大佐(スティーヴン・ラング)だったが、彼は新しい遺伝子技術によって人間とナヴィのハイブリットとして再生、精鋭部隊を率いている。これまでは人間を徹底的に悪として描いていたのだが、本作ではそれを上回る(?)もうひとつの敵、マンクワン族(アッシュ族)が登場する。彼らは甚大な火山被害に遭遇し辛酸を舐めた一族。そのため、自分たちに悲劇を味わわせ救いの手を差し伸べてくれなかったパンドラの自然を司る神的存在であるエイワを憎しみ、それを破壊しようとしている設定だ。

エイワとともに生きるのがナヴィであり、それを信じているのがジェイクやネイティリのオマティカヤ族、『2』から登場した海の一族、メトカイナ族。つまり、同じ星に暮らしつつもまったく異なる価値観をもち、そのせいで同じ種にもかかわらず戦うということ。ますます私たちの世界と重なりそうなのだ。このストーリー、キャメロンはより加速している気候変動や、地球上のあちこちで実際に衝突が起きている昨今の世界情勢を意識した上で創造したのではないか。これまでの2作も共感度が高いことで知られているが、もしかしたら本作はよりそれがアップしている可能性がありそうだ。

ということは、3作目でジェイクたちが戦わなければいけないのはクオリッチ大佐率いる人間たちと、怒りに燃えているマンクワン族になるのだろうか? だとしたら人間とマンクワン族の関係性はどうなっているのかも気になる。さらに、戦いが多いなら、アクションがよりハードになっている⁉ 3作目を迎えて、より重層的なストーリーが期待できそうな予感がするではないか!

シリーズ1作目が2009年。このときすでに5本を数えるシリーズになることを宣言していたキャメロンだったが、2作目が公開されるまでに実に13年もの歳月を要することになった。そのせいもあってかキャメロンは、もし2作目がヒットしなければシリーズを終了させる覚悟があったと告白しているが、蓋を開けてみればワールドワイドで約23憶ドルを記録する超ヒット。オールタイムベストで言うなら1位が『アバター』、そして3位が『ウェイ・オブ・ウォーター』という素晴らしい数字をあげたのだ(ちなみに第4位は『タイタニック』とキャメロンの3作がランクイン)。

この3作目は2作目からまだ3年である。しかも、より濃厚に今の世界と社会を反映させているような物語になりそうだ。話題性も共感度も前2作を上回るに違いない。

見どころ

1)新たな種族の登場

今回、これまで登場していなかったパンドラに住む種族として、まず「マンクワン族(アッシュ族)」が新たに紹介される。彼らはエイワ、あるいはパンドラの自然から恩恵を受けて暮らす他の種族と違って、火山地帯に住み、火山が噴火した後、全てが灰に覆われそれまでの文化や生活形式が破壊されたことから、エイワに対しての信仰を捨て逆に憎む立場になっている。これまでジェイクたちナヴィの敵は人類だったが、そこにこの「灰の一族」(アッシュ・ピープル)が加わるというストーリーが噂されている。この種族のリーダーがヴァランであり、新作ポスターのメインに置かれているキャラクターだ。またジェイクたちが出会う「風の商人」(ウィンド・トレーダーズ)こと「トラリム族」も新登場となる。“パンドラの遊牧民”である彼らはサリー一家の旅を支援する役となりそうだ。

怪鳥を操るアッシュ族のヴァラン(コンセプトアートより)

画像: トラリム族が操縦する飛行船(コンセプトアートより)

トラリム族が操縦する飛行船(コンセプトアートより)

2)サリー家の葛藤は深刻化?

ジェイクたちサリー一家の物語も「アバター」シリーズにとって欠かせない要素。特に前作でジェイクとネイティリの長男であるネテヤムをRDAとの戦いで失ったことは、家族に大きな傷跡を残している。ジェイクは息子を亡くしたことで次男ロアクたちに専制的な父親になってしまうこともあったり、ネイティリは養子的存在のスパイダーへ複雑な思いを深めていく。そして子供たちもそんな親たちに懐疑的な部分を見てしまう。そんな状況の中、メトカイナ族の元を離れ、旅に出ることになった家族の信頼関係は元に戻せるのか、ファミリー・ストーリーとしてもその行方が見逃せない。

長男ネテヤムを亡くしたネイティリの思いは複雑

『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』
2025年12月19日(金)公開
アメリカ/2025年/ウォルト・ディズニー・ジャパン配給
監督、脚本/ジェームズ・キャメロン
出演/サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガニー・ウィーヴァー、ウーナ・チャップリン

© 2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.

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