アイドルの座に収まらず演技力を証明し製作者に進出も

デビューから5年ほどでハリウッドの頂点に立ったトムだが、それで終わる彼ではない。『カクテル』(88)のヒットに続いて、名優ダスティン・ホフマンと共演した『レインマン』(88)はアカデミー賞作品賞に輝いた。ホフマンも主演男優賞を受賞し、共演者トムの演技も高い評価を得た。単なるティーンアイドルではなく、演技力にも磨きをかけたのがこの時代のトムだ。

『レインマン』の共演者ダスティン・ホフマンとアカデミー賞授賞式で

続くベトナム戦争もの『7月4日に生まれて』(89)で車いすの元海兵隊員ロン・コヴィックを熱演したトムは初めてアカデミー賞主演男優賞候補になった。一方でスピード狂の一面を生かしたレース映画『デイズ・オブ・サンダー』(90)で共演したニコール・キッドマンと電撃結婚したこともニュースに。トムは87年に結婚した女優ミミ・ロジャースと別れたばかりだったので、ゴシップ紙に追いかけられた。

愛妻ニコールと再共演したのが『遥かなる大地へ』(92)で、本作のキャンペーンのためクルーズ夫妻はロン・ハワード監督と共に初めて日本にやってくる。トムと日本の長いお付き合いはこの時から始まった。そして同年に長年のビジネスパートナー、ポーラ・ワグナーとパラマウント映画内で自らの製作会社「クルーズ/ワグナー・プロダクション」を設立。製作者トム・クルーズの活躍もここから始まることになった。

初のオスカー主演賞候補となった『7月4日に生まれて』

『遥かなる大地へ』で撮影合間にニコール・キッドマンと

イメージが違うと危惧された『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(94)で主人公レスタトを演じ、原作者からお墨付きをもらった後、第1回プロデュース作『ミッション:インポッシブル』(96)を生み出し、大ヒットに導いた。製作者トムのスタートは大成功だったのだ。さらに本作からトムが優れたアクション俳優として認知されていくようになる。だがその前に『ザ・エージェント』(96)で二度目のアカデミー主演男優賞に、『マグノリア』(99)で同助演男優賞にノミネートされ、オスカー演技賞受賞も近いと思われていたのもこの頃だ。

製作者デビューを果たした『ミッション:インポッシブル』

二度目のオスカー主演男優賞候補となった『ザ・エージェント』

オスカー助演賞候補になった『マグノリア』のポール・トーマス・アンダーソン監督と

Photos by GettyImages

This article is a sponsored article by
''.