『トップガン マーヴェリック』で低調だったハリウッドを救う

製作が遅れていた続編『M:i −2』(00)もヒットし、スティーヴン・スピルバーグ監督と組んだ『マイノリティ・リポート』(02)に続いて主演した『ラスト サムライ』(03)が日米で話題になり、この熱演はゴールデングローブ賞主演男優賞候補に。スピルバーグと再度組んだ『宇宙戦争』(05)は暫くの間、トムの主演作中、全米で最もヒットした作品だった。

『ラスト サムライ』のエドワード・ズウィック監督、共演の渡辺謙、真田広之、小雪に囲まれて

『宇宙戦争』でスティーヴン・スピルバーグ監督から演出を受ける

ビッグバジェット・エンタメ作品と『ラスト サムライ』や『コラテラル』(04)のような演技力を要する比較的ローバジェットな良作を交互にこなしていたトムだが、3番目の妻となったケイティ・ホームズ、彼女との間に生まれた娘スリへの過剰な愛情表現がメディアの標的となり、一時ファン離れに繋がったこともあった。これが引き金になったかはわからないが、06年にパラマウントとの14年間の契約が突然解約されるという出来事も起き、独立した「クルーズ/ワグナー・プロダクション」はMGMと組むことになった。トップスター・トムにとって最も苦しい時期だったかもしれない。

しかしトムの人気は再び息を吹き返していく。「ミッション:インポッシブル」シリーズや『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(14)などのアクション路線は好調な成績を収め、12年には経済誌「フォーブス」が発表する「最も稼いだ俳優」として1位になっている。

『オール・ユー・ニード・イズ・キル』でも激しいアクションを披露

いつまでも若々しくスタントを自ら演じ、スター・オーラを発揮し続けるトムは22年に『トップガン マーヴェリック』を発表。世界中で14億ドルを越える記録的大ヒットで、自らの主演作中、ナンバーワン・ヒットになっただけでなく、コロナ禍で低調だったハリウッドを救った。いつしかトムは映画界で尊敬される存在になっており、『…マーヴェリック』を初披露したカンヌ国際映画祭で名誉パルムドールを受賞。本作はアカデミー作品賞候補になり、製作者として4度目のオスカー候補となった。こうしたことが今回のアカデミー賞名誉賞に繋がったと考えると当然の成り行きだったのだろう。

名誉賞のプレゼンターを務めたアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥと初コンビを組んだ新作『Judy』は2026年10月全米公開予定。もしかしたらこの作品で今度は本当にアカデミー賞演技賞を受賞するかもしれないトム。これからも続いていく彼の映画人生がどんな驚きに満ちたものになるのか、ずっと見守っていたい。

『トップガン マーヴェリック』を携え出席したカンヌ国際映画祭で名誉パルムドールを受賞

Photos by GettyImages

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