劇中のリタとケイジの関係性は「本当に特別なもの」
——リタとケイジにはそれぞれ心を閉ざしているところから、心を開いていくという変化が見られます。難しい役柄という印象ですが、キャラクターはどのように作り上げていったのでしょうか。
見上「キャラクターの心情を演じていくのは、普段とあまり変わらずにやろうと思っていました。技術的に指示を出していただいたところで、私がそれをできないのが分かってくださっていたのか、監督も私には技術的なことではなく、感情的な指示を出してくださっていた気がします。指示の内容は『こういう感情にしてみてください』といったものでした。おかげで、普段お芝居しているような感覚で役の心情に寄り添うことができました」


——セリフにならない部分の演技も多かったと思います。ブレスとか呼吸音のようなものはアニメならではの演技だと思いますが、そのあたりへの指示はどのような感じだったのでしょうか。また、ご自身での演技プランなどはありましたか?
見上「キャラクターが口を動かしていたら何かしらの音を入れるということを最初に教えてもらっていて。『はっ』みたいな音も入れなければいけないことを学びました。普段の作品作りにおいても、実は割と走る時の声のようなものや息遣いだけを後から録ることもよくあります。その息遣いに関しては昔から上手だと褒めてもらえることが多かったので、それを思い出しながらやりました」
——STUDIO4℃さんの唯一無二の表現というお話もありましたが、キャラクターデザインや、映像表現での好きなところなどを教えてください。
花江「キャラクターデザインを最初に見た時は正直びっくりしました。漫画を読んでいたせいか、あの画のイメージが強かったというのもあるかもしれません。ケイジに関してはちょっと頼りなさすぎ(笑)と思ってすごくびっくりしたのを覚えています。でも、この物語においてケイジがいることにより作品の味のようなものが生まれているとも思っていいて。だんだんと成長して、『ケイジ、ちょっとかっこいいじゃん!』と思えたのはすごく良かったです。僕が特に惹かれたのは戦闘の時のスーツのデザインです。すごくかっこいいし、あのテイストの絵柄だけどちゃんと重量を感じさせる。これを両立できるのはすごいと思いました」
見上「私はリタ目線で描かれる表現がすごく好きで。目を覚ましてクラクラしている時の彼女の目線の世界が何度も映るのですが、すごく面白い表現だと思いました」
——もし、ご自身がリタ、ケイジのような状況に置かれたら…。どのような行動をとると思いますか? もしくは、どのように行動したいですか?
見上「痛いのは嫌だし、死にたくないですよね」
花江「痛いのは嫌ですね…」
見上「痛みを感じるからこそ、何かをしないと抜け出せないなら、何かしらの行動をとると思います。死んでしまいたいみたいな気持ちにもなりそうだけど、死ねないからにはとにかく終わらせる! という気持ちになる気がします」
花江「ケイジが最初に車で逃げたりいろいろと試していましたが、そこをもう少し長めに耐えて、いろいろなルートを試すみたいなことをしたいです」
見上「戦わずしてみたいな(笑)」
花江「できれば!」
——何回目くらいにループに気づくのか、仲間が見つかるのかなどによって対策も変わってくるかと思います。リタとケイジが出会うまでも結構な時間を費やしていましたよね。
見上「出会ったのは92回目(のループ)とかでしたよね? でもやっぱり立ち向かわざるを得ないので、立ち向かうしかないと思うようにします」
花江「がんばります(笑)」
——リタとケイジを演じたことで前向きに考えられるようになったのでしょうか。92回目という数字を聞いて、よく挫けなかったなと思いました。
見上「どうなんだろう…。作品を読む限りは、自分が戦わずとも絶対に殺される世界線が待っているようなので、戦っても戦わなくても絶対に殺される世界なら、死なない方法を探すために戦おうという気持ちになる気がします」
花江「確かに。選択肢がないからこそ、よりそういう気持ちになると思います」
——リタが劇中で「こんなにキレイだったんだ」と景色の美しさに気づくシーンもありましたが、作品、そしてリタ、ケイジを演じることを通して感じたことや考えたこと、気づきなどがあればお聞かせください。
見上「孤独な感じと向き合う時間が自分自身の中にはそれほどないタイプなので、そういったことをゆっくり抱きしめながら演じる感覚がありました。リタとケイジはそれぞれお互いに一人ずつ、自分の心が変わっていく人に出会えたけれど、私自身、生きていく中で家族や友達を含めてそういう人に今までたくさん出会ってきています。それって当たり前のことではないと思ったし、そういう人たちをすごく大事にしていきたい気持ちになりました」
花江「僕は普段、自分が思っていることをあまり人に言うタイプではありません。話すのは家族くらいかな。そういったことを当たり前のように話せるような関係性は、本当に特別だと改めて感じることができました」
『ALL YOU NEED IS KILL』
2026年1月9日(金)から、新宿バルト9ほか全国11劇場にて上映開始
配給:クロックワークス
©桜坂洋/集英社・ALL YOU NEED IS KILL製作委員会
