就職活動に全敗し途方に暮れる中、とあるきっかけで葬儀会社にインターンとして働くことになった清水美空と、そんな彼女を厳しく指導する指南役の葬祭プランナー漆原礼二がタッグを組み、“最高の葬儀”を目指す。『ほどなく、お別れです』は浜辺美波と目黒蓮を主演に迎え、「小学館文庫小説賞」大賞を受賞した長月天音の同名ベストセラー小説を三木孝浩監督が実写映画化した。“葬祭プランナー”という職業に挑んだ2人にどのような演出を行ったのか。作品に対する思いを三木監督に語ってもらった。(取材・文/ほりきみき)

「別れを愛おしむ」という気持ちに少しでも寄り添える映画にしたい

──脚本についても伺いたいのですが、今回は監督もかなり関わられたのでしょうか。

スタートは、プロデューサーと岡田惠和さんが中心になって作ってくださいました。そこに対して、僕なりに「ここはこうしたい」という提案をさせてもらったり、キャラクターの造形について意見を出したり、という形で関わっています。

──原作者の長月天音先生からは、何かリクエストなどはありましたか。

基本的には任せてくださいました。北村匠海さんのエピソードのシーンで、坂東会館のロケに立ち会ってくださったんですが、撮影の様子をご覧になってすごく感動され、「安心しました」と言っていただけました。

──原作を読んだとき、美空の母親と祖母の間にある葛藤をもっと観てみたいと思ったのですが、映画ではそこがしっかり描かれていました。

僕もそこはすごく大事な部分だと思っていました。近しい関係だからこそ些細なことで本音が言えなかったり、踏み込めなかったりすることって、誰にでもありますよね。だから台本を書いている段階でも、避けて通れないテーマだと思っていました。

だからこそ、この部分が物語のクライマックスのひとつになると思っていましたし、永作(博美)さんと夏木(マリ)さんなら、あの難しい感情のやり取りをきちんと芝居として成立させてくれる、という確信もありました。

画像1: 【インタビュー】目黒蓮はムービースターの佇まいを持つと『ほどなく、お別れです』三木孝浩監督が語る
画像2: 【インタビュー】目黒蓮はムービースターの佇まいを持つと『ほどなく、お別れです』三木孝浩監督が語る

──本作ではふわっと気持ちが温かくなるような光の使い方がとても印象的でした。

暗くしたくない、という思いは強くありました。葬儀を扱う話ではありますが、残された人の人生はその先も続いていくし、亡くなった人もまた次のステージへ向かっていく。別れは悲しいだけのものではない。そういう時間の流れを感じられる映画にしたかったんです。

観てくださる方の中には、最近大切な人を亡くされた方や、昔の別れが今も心に残っている方もいらっしゃると思います。そういう方が観たときに、ただ悲しむだけではなく、「許し」や「その先へ進む」、あるいは「別れを愛おしむ」という気持ちに少しでも寄り添える映画になればいいな、という思いがありました。だから、画面の中にはどこか明るさや温かさを残したかったんです。

もう一つ、葬儀会社の方々とお話ししていて感じたことも大きかったですね。葬儀に関わっている方たちはみなさん、とても明るいんです。もちろん、日々さまざまな感情の人と向き合う仕事なので、そうでなければやっていけないという面もあると思いますが、それ以上に「死」というものを特別な非日常としてではなく、誰もがいつか迎える当たり前の出来事として受け止めているからこそ、日常を大切にしているんだと感じました。

ラテン語に「メメント・モリ(死を思え)」という言葉がありますけれど、死を意識するからこそ、今を大事にできる。葬儀会社の方々が明るく日々を過ごしている姿を見て、「この明るさを映画の中にも入れたい」と思いました。それが結果的に、光の使い方や画面のトーンに繋がっていった気がします。

──それでは最後に、これから映画をご覧になる方へメッセージをお願いします。

いろいろな家族のエピソードが出てきますが、自分や身近な誰かに重なる部分があると思います。立場も状況も違っていても、「これは自分のことかもしれない」「あの人のことかもしれない」と思える瞬間が、きっとある。

物語として観るだけでなく、ぜひ自分の大切な人を思い浮かべながら観ていただけたらと思います。そうすると、映画を観終わったあと、周りの人との接し方や、別れや死に対する考え方が、ほんの少しだけ変わるかもしれない。そんな風に、この映画を受け取ってもらえたらうれしいです。

画像: 「別れを愛おしむ」という気持ちに少しでも寄り添える映画にしたい

<PROFILE> 
三木孝浩 
映画監督・映像ディレクター
2000年よりミュージックビデオの監督をスタートし、MTV VIDEO MUSIC AWARDS JAPAN 2005/最優秀ビデオ賞、カンヌ国際広告祭2009/メディア部門金賞などを受賞。2010年、映画『ソラニン』で長編監督デビュー。以降の代表作は、映画『僕等がいた 前篇・後篇』(2012)、『陽だまりの彼女』(2013)、『ホットロード』(2014)、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(2016)、『思い、思われ、ふり、ふられ』(2020)、『きみの瞳が問いかけている』(2020)、『今夜、世界からこの恋が消えても』(2022)、『アキラとあきら』(2022)、『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』(Netflix/2024)、『知らないカノジョ』(2025)など。

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『ほどなく、お別れです』2026年2月6日(金)全国劇場にてロードショー

画像: 映画『ほどなく、お別れです』【2026年2月6日公開】予告② youtu.be

映画『ほどなく、お別れです』【2026年2月6日公開】予告②

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<STORY> 
もう二度と会うことの叶わぬ人へ  
たった一言でも想いを伝えられるとしたら…  
就職活動で連戦連敗を重ね、自身の居場所を見つけられずにいる清水美空(浜辺美波)。彼女には、《亡くなった人の声を聴くことができる》という誰にも打ち明けられない力があった。そんな美空に、運命を変える出会いが訪れる。彼女の秘密に気付いた葬祭プランナーの漆原礼二(目黒蓮)に、「その能力を活かすべきだ」と、葬祭プランナーの道へと誘われたのだった。  
導かれるように葬儀会社「坂東会館」のインターンとして漆原とタッグを組むことになった美空は、一片の隙もなく冷酷とさえ思える彼の厳しい指導に心折れそうになる。しかし同時に、誰よりも真摯に故人と遺族に寄り添う漆原の姿勢に気付き、出棺の際に優しく「ほどなく、お別れです」と告げる姿に憧れを抱いていく。  
やがて美空と漆原は、様々な家族の葬儀に直面する。妊婦の妻を亡くした夫、幼い娘を失った夫婦、離れて暮らす最愛のひとを看取れなかった男――。それぞれが抱える深い喪失に触れる中で、二人は「遺族だけでなく故人も納得できる葬儀とは何か?」という問いに向き合い続ける。そして美空は、漆原の背中を追いかけるように葬祭プランナーを志すことを決心し、漆原もまた、その姿に徐々に信頼感を覚えるようになる。そんな中、常に冷静で完全無欠な漆原にも心を揺さぶられる過去があることを美空は知り…。自身にも、その不思議な力、そして家族との別れに向き合う時が訪れる。「ほどなく、お別れです」に込められた、本当の意味とは―?  
そして、二人が届ける最期の《奇跡》とは―――

<STAFF&CAST>  
出演:浜辺美波 目黒蓮  
森田望智 / 古川琴音 北村匠海 志田未来 渡邊圭祐  
野波麻帆 西垣匠 久保史緒里 / 原田泰造  
光石研 鈴木浩介 永作博美  
夏木マリ  
原作:長月天音「ほどなく、お別れです」シリーズ(小学館文庫刊)  
監督:三木孝浩  
脚本監修:岡田惠和  
脚本:本田隆朗  
音楽:亀田誠治  
主題歌:手嶌葵「アメイジング・グレイス」(ビクターエンタテインメント)  
配給:東宝   
©2026「ほどなく、お別れです」製作委員会 ©長月天音/小学館

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