映画史に残る青春映画の名編として現在も多くのファンに支持される『スタンド・バイ・ミー』が今年で製作40周年を迎えます。ティーンを目前とした4人の少年がひと夏の冒険に旅立つこの作品は、何度も繰り返し上映され、今なお新たなファンを生み続けています。そんな本作の魅力を様々な角度から解読し、長く愛される訳を探っていきましょう。(文・井上健一(解説)、米崎明宏/デジタル編集・スクリーン編集部)

『スタンド・バイ・ミー』を愛したロブ・ライナー監督

『スタンド・バイ・ミー』などの名作を監督したロブ・ライナー監督が昨年末、死去したことは世界中の映画ファンを驚かせました。そんなライナー監督は自作の中でも特に『スタンド…』を最高の一作と考えていたようです。ライナーが本作製作中に子役たちと絆を築いたエピソードからは、その人柄も伝わってくるようです。

画像: ロブ・ライナー監督

ロブ・ライナー監督

『スタンド・バイ・ミー』の製作40周年を前に、2025年12月14日(ロサンゼルス現地時間)、監督のロブ・ライナーとミシェル夫人が共に自宅内で喉を斬られ死亡した状態で発見されるという悲しい事件が発生し、ハリウッドのみならず世界中の映画ファンを驚かせた。その犯人が監督夫妻の次男ニックだったことでショック度も一層増したが、この悲報に対し、映画界の仲間たちから次々とライナー監督の人柄をしのばせる哀悼の言葉が相次いでSNSなどに投稿された。もちろん『スタンド・バイ・ミー』の関係者からも、バーン役ジェリー・オコンネル、テディ役コリー・フェルドマン、エース役キーファー・サザーランドらが、それぞれに監督を追悼している。

「まるで両親を亡くしたようだ」というジェリーは「『スタンド・バイ・ミー』の撮影当時、ロブは子役だった僕たちを守ってくれました。本当に優しい魂を持った特別な人でした」と語り、またコリーは「ひどいショックと悲しみに包まれています。ロブ、あなたを愛しています。本当に寂しいです。彼は私たち全員に愛と慈悲を意味ある形で示してくれ、4人の子役たちと信頼を築いてくれました。そうして私たちからエモーショナルな演技を導き出してくれたんです」と回想し、そしてキーファーも「彼は一緒に仕事した方々の中でも最も親切で紳士的といえる人でした。まだ若造だった私に人生を変える機会を与えてくれたことを永遠に感謝します」と偲んでいる。

彼らがいかにライナー監督を慕っていたかが伺える言葉だが、たしかにライナーは若い出演者たちに対してなにかと心を砕いていたようで、様々なエピソードが残っている。

例えば撮影前にライナーは4人の子役(リヴァー・フェニックス、ウィル・ウィートン、ジェリー、コリー)を集め、映画の背景となる1950年代のカルチャーを理解してもらうため、当時のヒット曲のテープを渡して聞かせたり、スラングを教えたり、さらにはロケ地のオレゴン州に連れて行って一緒に即興のゲームやエクササイズを行い、互いの絆を深めていったという。こうした撮影前の準備によって4人が実際の仲良しグループになることができたのだ。撮影中も子役たちに危険なことがないように気を配り、監督自身が非喫煙者でもあったことから、劇中で子供たちが喫煙するシーンのたばこは本物ではなく、キャベツやレタスで作った偽物を使用しているとか。

画像: 監督の配慮で演技に幅が出た4人の子役たち

監督の配慮で演技に幅が出た4人の子役たち

タイトルが『スタンド・バイ・ミー』になった行きさつは?

さらにタイトルが『スタンド・バイ・ミー』になった経緯にも子役たちが絡んでいたという説も。元々スティーヴン・キングの原作は「ボディ(遺体)」というタイトルだが、これでは映画に全く別のイメージを与えてしまう。別のタイトルを探していた監督は、リヴァーとキーファーが撮影合間にギターを練習している時に弾いていたベン・E・キングの曲を聞いて気に入り、そのオールディーズ、“スタンド・バイ・ミー”を劇中に取り入れたのではとキーファーが証言している。この曲が最終的に映画のタイトルにもなった。

ライナーは自分が俳優出身だったことも配役の成功の秘訣だったと考えていたよう。リヴァーは最初ゴーディ役でオーディションを受けに来たが、彼にはクリスの方が合っていると見抜き、彼にクリス役を推薦したという。ちなみにライナーはリヴァーのプライベートな葬儀に出席した家族以外の数少ない参列者のひとりである。

またゴーディが大人になった時の作家役として、ビバリーヒルズ高校時代からの親友リチャード・ドレイファスを配したものライナーのチョイスだった。

原作者キングもこの映画を気に入り、後に『ミザリー』を映画化する際に、この小説を監督するのはライナーにすることを条件に権利を売ったという。ライナーは『スタンド・バイ・ミー』だけでなくキングの小説に度々登場する架空の街キャッスルロックを自身の製作会社名キャッスルロック・エンタテインメントに取り入れており、ここから『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』(共にキング原作)などの名作が生み出されることになった。

何よりライナー自身が自作の中で『スタンド・バイ・ミー』を最高の一作と考えていたこともあり、こうしたエピソードを思い返しながらこの名作をもう一度見返してみたい。

画像: 製作40周年記念特集 青春映画のエバーグリーン『スタンド・バイ・ミー』 を語り継ぐ

『スタンド・バイ・ミー』

デジタル配信中/ブルーレイ発売中 2,619円(税込)
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