アカデミー賞授賞式を見る時に知っておくと間違いなく楽しみが倍増するトリビアをお届け。今回のノミネーション発表で誕生した記録や、これから生まれるかもしれない記録を覚えておくだけで、様々な部門にも興味が出てくることでしょう。(文・米崎明宏/デジタル編集・スクリーン編集部)
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4つの演技部門すべてに外国映画キャストがノミネート

4つの演技賞部門すべてに外国作品の俳優が同時ノミネートされているのは今回が初という。ワグネル・モウラ(『シークレット・エージェント』)はブラジル男優として初の主演男優賞候補(女優は昨年のフェルナンダ・トーレスがいる)となった。助演男優賞候補のステラン・スカルスガルド(『センチメンタル・バリュー』)はこの部門で初の外国作品(米国以外で製作され非英語で作られた作品)出演俳優候補だという。

『シークレット・エージェント』で主演賞候補のワグネル・モウラ

また主演女優賞のレナーテ・レインスヴェ、助演女優賞のインガ・イブスドッテル・リッレオース(共に『センチメンタル…』)はノルウェー語での演技でノミネートされた初の女優。以前同じくノルウェーの名優リヴ・ウルマンが候補になった時はスウェーデン語での演技だった。

ちなみに『センチメンタル…』のヨアキム・トリアーもノルウェー人として初の監督賞候補者となった。

センチメンタル・バリュー』で揃って候補になったレナーテ・レインスヴェ、エル・ファニング、インガ・イブスドッテル・リッレオース、ステラン・スカルスガルド

40年ぶりにオスカーに帰って来たエイミー・マディガン

ホラー映画『WEAPONS/ウェポンズ』による怪演で助演女優賞にノミネートされたエイミー・マディガンは、これが85年に出演した『燃えてふたたび』(日本はビデオ公開のみ)で同賞にノミネートされて以来、40年ぶりの候補入りとなった。これまでは往年の名女優ヘレン・ヘイズの『マデロンの悲劇』(31)から『大空港』(70)までの39年のブランクが長く記録だったが、これを塗り替えたもの。

ちなみにヘイズはこの2作で前者では主演、後者では助演女優賞を受賞している。ただし男優を含むと最長記録は『普通の人々』(80)から『フェイブルマンズ』(22)までの42年間というジャド・ハーシュが1位となる。

『WEAPONS/ウェポンズ』で40年ぶりにノミネートのエイミー・マディガン

ダイアン・ウォーレンはまたノミネートで終わるか?

もはや最近のオスカー候補常連となっているのが、シンガーソング・ライターのダイアン・ウォーレン。代表作に『アルマゲドン』(98)の“ミス・ア・シング”などがある彼女の楽曲は毎年のようにオリジナル歌曲賞候補になっているが、今年も『Diane Warren : Relentless』でなんと9年連続のノミネートを受けている。これで17回目の候補となるが、これまで受賞はゼロ(名誉賞は1回受賞)。果たして初の受賞なるか。

ライバルは『KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ』の“ゴールデン”など強敵がひしめいているが…。

9年連続でノミネートされたダイアン・ウォーレン

国宝』のライバルとなるのはあの人?

惜しくも国際長編映画賞ではノミネーションを逃したが、メイクアップ&ヘアスタイリング賞での候補入りを果たした日本映画の大ヒット作『国宝』。この部門で日本映画が候補になったのはこれが初めて。もちろん受賞しても日本映画初の快挙になる。

この部門で『国宝』のライバルとなるのは『スマッシング・マシーン』でノミネートされているカズ・ヒロ(辻一弘)だ。現在は米国に帰化した彼は、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(17)と『スキャンダル』(19)ですでに2度この部門のオスカーを受賞している。『国宝』は皮肉にも日本が生んだマエストロと闘うことになるが…。

『国宝』のライバルとなる『スマッシング・マシーン』で候補のカズ・ヒロ

ジョシュ・サフディが1度に4部門で候補に

『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』のジョシュ・サフディは本作で監督賞だけでなく、作品、脚本、編集賞の4部門に一気にノミネートされた。これは昨年のショーン・ベイカー(『ANORA アノーラ』)に続く快挙で、ベイカーはこの4部門すべてを受賞した初のウィナーになった。

1作品で4つの賞に同時ノミネートされた人物は他に、アルフォンソ・キュアロン、ジャック・オーディアール、クロエ・ジャオ、ウォーレン・ビーティなどがいるが、サフディはベイカーの作った記録にどこまで迫れるか注目。

全米監督組合賞に出席したジョシュ・サフディ

他にもこんな記録が…

今回は他にも覚えておきたい記録がいくつか達成されている。国際長編映画賞候補に選出されたスペイン映画『Sirāt(原題)』は音響賞にもノミネートされたが、本作のサウンドチームは全員が女性で構成されている。これは史上初。

『罪人たち』で撮影賞にノミネートされた撮影監督オータム・デュラルド・アーカポウはこの部門で初めてノミネートされた有色人女性になった。この前に3人の女性が候補となったが、受賞者はまだいない。同じく『罪人たち』で衣装デザイン賞候補となったルース・E・カーターは今回で5度目の候補となり、黒人女性として最多。彼女は『ブラックパンサー』(18)と『ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエバー』(22)で2回受賞している。

国際長編映画賞部門でもし『シークレット・エージェント』が受賞すると、昨年の『アイム・スティル・ヒア』に続き2年連続でブラジル代表が受賞となる。この賞を同じ国が連続で受賞するのはデンマークの『バベットの晩餐会』(87)『ペレ』(88)以来のこととなる。

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