SFファンのみならず、世界の映画ファンから注目を集めて大ヒット中の本作。映画のみどころとあわせて、一大プロジェクトを背負うライアン・ゴズリングにも光を当て、本作の全貌に迫ります。(文・平沢薫(作品紹介)、荻原順子(ライアン・ゴズリング キャリア)/デジタル編集・スクリーン編集部)*この記事はSCREEN5月号(3月19日発売)掲載の記事を再編集したものです。

大ベストセラー原作×『LEGO® ムービー』監督×ライアン・ゴズリング!

画像: 大ベストセラー原作×『LEGO® ムービー』監督×ライアン・ゴズリング!

全人類の未来を賭けた“起死回生の賭け(ヘイル・メアリー)”なプロジェクトのため宇宙に向かったのは、中学校の科学の教師グレース。彼は、地球からはるか離れた宇宙の彼方で、人類とは姿も文化もまったく違う一人のエイリアンに出会い、故郷の星を救うため、力を合わせることになる──。

原作は、リドリー・スコット監督のヒット映画『オデッセイ』の原作となったベストセラー小説「火星の人」の作者、アンディ・ウィアーの同名小説。バラク・オバマ元大統領が「2021年のお気に入りの本」に選出したことでも話題を集めた小説だ。

その映画化作とあって、映画には多彩な魅力が詰まっている。まず主人公の、いつもユーモアを忘れず、困難にもメゲない前向きな性格と、科学的な思考法による斬新な発想が惹きつける。また、広大な宇宙でのスリリングな出来事の数々も見逃せない。しかし何より心に響くのは、主人公と、彼が“ロッキー”と名付けたエイリアンとの友情だ。姿も文化もまったく違う2人が、少しずつ理解し合い、協力し、やがてかけがえのない存在になっていく。2人の関係が築かれていくさまに、胸を熱くせずにはいられない。

さらにもう一つの魅力は、ストーリーに謎解きの要素があること。宇宙船で目覚めた主人公は記憶を失っていて、自分がなぜ宇宙船に乗ることになったのかは、彼が思い出す光景として、少しずつ描かれていく。そして明かされる過去にはさまざまな出来事があり、サプライズと共に感動を与えてくれる。

もちろんSF映画ならではの斬新な映像も魅了する。生活感のあるリアルな宇宙船内部と、宇宙空間ならではの壮大な光景、タイプの違う2つの映像がどちらも見もの。特に後者は大スクリーン向き。宇宙船の窓を開けると広がる、どこまでも続く大宇宙。未知の惑星の表面に接近すると、正体の分からない物質が輝きながら降り注ぐ。

映画は、原作に惚れ込んだライアン・ゴズリングが主演し、製作にも参加。監督は『LEGO®ムービー』を手掛け、「スパイダーバース」シリーズの製作などコミカル風味も得意なフィル・ロード&クリストファー・ミラー。映画には原作の出来事がたっぷり盛り込まれ、主演俳優と監督コンビの原作愛と、原作への敬意が溢れている。

中学教師と異形のエイリアンは、果たして愛する故郷を救うことが出来るのか。人類最大の賭けが、今、幕を明ける──。

画像: ヒーローになるはずではなかった。それでも、世界は“彼ら”に賭けた!『プロジェクト・ヘイル・メアリー』

原作はこちら

「プロジェクト・ヘイル・メアリー(上・下)」
アンディ・ウィアー/著 小野田和子/訳
定価:各1650円(税込)ハヤカワ文庫SF

“ヘイル・メアリー”とは

アヴェ・マリア(聖母マリアへの祈祷の言葉)の意。アメフトでは試合終盤に逆転を狙って放たれるイチかバチかのロングパスを指す。劇中では計画の名前、そして宇宙船の名前に。

STORY

太陽エネルギーが未知の原因によって奪われ、数十年後に地球に氷河期がやってくることが判明。その原因解明のため、中学校の教師グレースが宇宙に向かい、同じ目的を持つ一人のエイリアンに出会う。どちらも宇宙船唯一の生存者である2人は、故郷の惑星を救うため協力することになるが、さまざまな困難が待ち受けていた。

物語を動かす4つの「?」

多くは語れない『プロジェクト・ヘイル・メアリー』ですが、物語の軸となる4つの謎を手がかりに、本作のみどころに迫りましょう。

1.自分は何者? ここはどこ?

画像: 1.自分は何者? ここはどこ?

ドラマは主人公が目覚めるところから、スタート。しかし彼は、自分が誰なのか、どこにいるのか、そればかりか、なぜ髪やヒゲが伸び放題なのかも、まったく分からない。窓の外を見ると、どうやらそこは宇宙で、自分は宇宙船の中にいるらしい。なぜ自分はそこにいるのか。主人公はまずそれを突き止めなくてはならない。

CHARACTER

ライランド・グレース(ライアン・ゴズリング)
生徒に人気の中学校の科学教師。かつて学会から追放された

画像: 目覚めたら宇宙船。しかも場所も不明

目覚めたら宇宙船。しかも場所も不明

2.なぜ中学教師が宇宙にいる?

画像: 2.なぜ中学教師が宇宙にいる?

やがて主人公は、自分の名前がグレースで、中学校の科学の教師で生徒たちに教えるのが好きだったこと、彼のいた地球は未知の原因によって太陽エネルギーが失われつつあり、数十年後に氷河期になり人類が滅亡する状況だったことを思い出す。しかし、有名な科学者でもない中学教師の彼が、なぜ宇宙船に乗ることになったのか?

画像: 地球では子どもたちに人気の先生だった

地球では子どもたちに人気の先生だった

CHARACTER

画像: エヴァ・ストラット(ザンドラ・ヒュラー)

エヴァ・ストラット(ザンドラ・ヒュラー)

エヴァ・ストラット(ザンドラ・ヒュラー)
プロジェクト・ヘイル・メアリー計画の最高責任者。常に冷静で合理的

画像: カール(ライオネル・ボイス・右)

カール(ライオネル・ボイス・右)

カール(ライオネル・ボイス)
グレースのお目付け役。専門家ではないが実験にアドバイスも

CAST:印象を残すサブキャストたち

強面でクールな最高責任者ストラット役は、2023年に『落下の解剖学』『関心領域』の2作で各種映画賞を賑わせたドイツ出身女優ザンドラ・ヒュラー。時には辛い決断も迫られるストラットが、冷静さの裏に秘めた感情の動きを繊細に演じる。

主人公をサポートするカール役は、ドラマ「一流シェフのファミリーレストラン」でエミー賞助演男優賞ノミネートのライオネル・ボイス。次第に主人公と親しくなり、職務の範疇を超えて協力するようになるナイスガイを好演。

3.異星人は何を伝えたいのか?

画像: 3.異星人は何を伝えたいのか?

グレースは、被害に遭っていない惑星の調査に向かい、その近くでエイリアンの宇宙船に遭遇する。グレースは最初は逃げようとするが、その宇宙船は攻撃せずに筒状の物体を射出し、何かを伝えようとしているように見える。グレースは言語も文化も異質なエイリアンにどう接するのか? そのエイリアンの目的は何なのか?

画像: 射出された物体を解析し、ある事実が判明

射出された物体を解析し、ある事実が判明

VISUAL:名クリエイター陣が支える映像美

主人公に同調させる撮影テク
撮影は『DUNE/デューン 砂の惑星』でアカデミー賞撮影賞受賞のグレイグ・フレイザー。主人公が狭い宇宙船の中にいるシーンが多いため、撮影ではスペクタクルよりも、観客と主人公の間に“親密さ”を生み出すことを意識。カメラ1台での主人公のクローズアップを多用し、観客を感情的に主人公に同調させ続けることを目指した。

“本物の宇宙”を目指した映像
特殊効果は「デューン」2作と『ファースト・マン』などで4度オスカー特殊効果賞に輝くポール・ランバート。宇宙の未知の領域の映像は、イメージ画ではなく、実際の宇宙天文学に基づいて創造されたもの。科学者やNASA、星雲画像の専門家などと協力し、物理的に信じられる宇宙の情景を目指した。

4.どうやって“ふたり”で地球を救う?

画像: 4.どうやって“ふたり”で地球を救う?

グレースは、エイリアン“ロッキー”も、地球と同じ危機に陥った故郷の惑星を救うため宇宙に来たこと、どちらも宇宙船の唯一の生存者なことを知る。しかし、互いの習慣や思考法はかなり異なり、意思を伝えるのも簡単ではない。2人はどうやって力を合わせていくのか? はたして2人は故郷を救うことができるのか?

CHARACTER

ロッキー(声:ジェームズ・オルティス)
グレースが出会う異星人。旅の中で多くの仲間を失った

ROCKY:“ロッキー”の秘密を知る、質問?

岩のような身体の異星人
主人公が出会うエイリアンの姿は、人間とはまるで共通点のない異質なもの。人間で言う顔はなく、全体はクモのようで5本の脚兼腕があり、全身が岩(ロック)のように見えるので、主人公が“ロッキー”と名づける。

撮影で重視された実物感
ロッキーは実物感が重視され、パペットと精巧なアニマトロニクスも使用された。制作は『ベイブ』でアカデミー賞視覚効果賞を受賞、「スター・ウォーズ」続三部作も担当したニール・スキャンランが手がけた。

ロッキーに命を吹き込んだ俳優
ロッキーの動きと声は、ブロードウェイの舞台「The Woodsman」などのパペット操者・俳優・劇作家を兼任したジェームズ・オルティスが担当。外見は異質だが、少しずつ主人公と友情を築いていく感情豊かな存在として描き出す。

『プロジェクト・ヘイル・メアリー』
全国公開中
アメリカ/2026/2時間37分/配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
監督:フィル・ロード、クリストファー・ミラー
出演:ライアン・ゴズリング、ザンドラ・ヒュラー、ライオネル・ボイス、ケン・レオン、ミラーナ・ヴァイントゥルーブ、ジェームズ・オルティス(声)

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