現場を俯瞰する丸山隆平の力量とMEGUMIが体現する底知れない狂気
──山田太郎の名付け親であり、ある種の「善意」を象徴する照夫を演じた丸山隆平さん。彼とはどのようにキャラクターを作り上げていったのでしょうか。
照夫というキャラクターに関しては、僕が細かく指示を出したというより、丸山さんご自身が作り上げてきた部分が非常に大きいですね。脚本上の照夫は裏表がなく、基本的には「いい人」なのですが、どこか少し「いい加減なところ」も持ち合わせている。そんな人間味のある、非常に好感の持てる人物像でした。
僕から見ると、それは丸山さんご本人の持つ本質的な魅力と重なる部分が多いなと感じていました。特に驚かされたのは、丸山さんの「オーラの消し方」です。華やかな世界にいらっしゃる方でありながら、現場では見事にその光を消して、一人の警察官、一人の人間としての存在感に徹してくれました。
そうした絶妙な空気感の作り方は、僕が指示してどうこうなるものではなく、丸山さんの役者としての力量であり、彼自身の優れた演技プランによるものだと思います。

──丸山隆平さんと現場を共にしてみて、どのような印象を抱かれましたか。
丸山さんは本当にお仕事がしやすく、ご一緒できて良かったです。俳優さんのことを聞かれるといつもこう答えてしまいますが、本当に素晴らしい方でした。「演技が上手い」なんて言葉を使ってしまうと、かえって失礼にあたるのではないかと思うほど、高い次元にいらっしゃる俳優さんです。
現場での振る舞いも印象的でした。基本的には和やかな空気を作ってくださるのですが、特に子役への接し方が見事なんです。子供たちがふざけて仕事に集中できていない時などは、一緒になって盛り上がるのではなく、あえて少し距離を置いて見守るような厳しさも持っている。そうした現場全体のバランスをきちんと見極める力がある方ですね。
それでいて、ただ言われた通りに動くわけではなく、ご自身の考えや思うところがあればしっかりと伝えてくださる。非常に頼もしく、僕にとっては「またぜひご一緒したい」と思わせてくれる、本当にいい俳優さんだなと感じました。

──幼少期の花子には控えめな印象がありましたが、MEGUMIさん演じる大人の花子には気の強さを感じました。それが山田への歪んだ愛情や配慮から来ているのだとしたら、そのリアリティを支えるのはMEGUMIさんの持つ強さだったようにも感じます。監督は花子のキャラクターをどう捉えていましたか。
僕は、花子は幼少期から決して控えめな性格ではなく、むしろ気の強い、あるいは恐ろしさを秘めたキャラクターだと捉えていました。子供時代、山田の右手を使ってタンポポで実験をするようなシーンにも、ある種の怖さが現れていますよね。
ですから、彼女の行動がすべて「山田のため」だったとは思いません。彼女は彼女なりに、底知れない狂気を抱えた人物なんです。山田の能力があそこまで暴走してしまった一因も、実は彼女にあるのではないかとさえ思っています。
劇中で大人の花子が放つ「お前が触れられるものなんか何一つないんだよ」という罵倒も、単なる演技ではなく、彼女の本心から出た言葉でしょう。もちろん、観客の皆さんがどう解釈されても間違いではありません。ただ、僕の中での花子は、単純な「強い女性」という言葉では括れない、山田をある種支配し、追い詰めていくような、非常に恐ろしい存在として描いたつもりです。

