『オブセッション 災愛』と『バックルームズ』という2本のホラー映画が、全米興行で記録的なヒットを飛ばしています。その熱狂を支えているのは、主にZ世代の若い観客たち。なぜ彼らはこの2作にこれほどまで夢中になるのでしょうか。作品の魅力をひもときながら、その背景を考察します。(文・SYO/デジタル編集・スクリーン編集部)

若い観客層の支持を受け大ヒット中の2作品

画像: 『オブセッション 災愛』

『オブセッション 災愛』

『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』『パラノーマル・アクティビティ』『ゲット・アウト』『ミッドサマー』『WEAPONS/ウェポンズ』──各時代を象徴するスマッシュヒットホラーはいつも、既存の枠にとらわれない新鋭監督の台頭と共に生まれてきた。そして2026年。若手クリエイターによる斬新な手法が効いた2本のホラーが文字通り「歴史を変える」大躍進を見せている。ホラー工房ブラムハウス製作の『オブセッション 災愛』(7月17日公開)とA24製作の『バックルームズ』(9月4日公開)だ。共に5月に全米公開された両作は、『Michael/マイケル』『プラダを着た悪魔2』『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』といった並みいる強豪と渡り合い、初登場から本記事執筆段階の6月末まで──1カ月強もの間にわたって全米興収トップ10にランクインし続けている。『オブセッション』においては2週目の興収が前週比+30%強という“あり得ない”成績を叩き出し(通常、映画興収は2週目の数字が前週比のマイナスになるのがセオリー。特にホラー作品は“落ち”が激しいことで有名だ)、世界を震撼させた。そして『バックルームズ』においては2週目の興収で早々に『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』を抜きA24史上No.1ヒット作となり、今もなお記録更新中。2作品ともに観客の約8〜9割が35歳未満とも報じられており、「現在のアメリカの映画興行を支えているのはZ世代」というデータをより強固に裏付ける象徴的な存在となった。さらに驚くべきは、どちらも比較的リーズナブルな予算感であること。『オブセッション』は製作費75万ドルに対して世界興収3億3,300万ドル(予算100万ドル未満の映画としては今世紀最高の興収)、『バックルームズ』は製作費1,000万ドルに対して3億ドル(※ともに6月24日時点)と、リクープ(製作費回収)どころの騒ぎではない圧倒的な収益を成し遂げた(ちなみに両作品とも製作費ぶんを公開初日で既に稼ぎきってしまっているのが恐ろしい)。ともにまだまだ絶賛公開中であり、どちらの記録も今後そう簡単には破られないだろう。

画像: 『バックルームズ』

『バックルームズ』

それぞれの題材に内包された若者世代にとっての“身近さ”

では、なぜ『オブセッション』と『バックルームズ』は世界中の若者を熱狂させる一大ムーブメントを巻き起こせたのか? ここからはホラー2作品の概要を解説しつつ、その要因を考えてゆきたい。まず『オブセッション』は、「願いを一つだけ叶える不思議なヤナギの枝によって、片思い相手が激重彼女になってしまった」物語。元々はサバサバした性格だったニッキー(インディ・ナヴァレッテ)が恋人になったはいいが情緒不安定で依存気味へと変貌し、その常軌を逸した“愛情”で主人公ベア(マイケル・ジョンストン)を恐怖に引きずり込んでゆく。そして『バックルームズ』は売れない家具店の経営者クラーク(キウェテル・イジョフォー)と彼のセラピスト、メアリー(レナーテ・レインスヴェ)が地下に出現した終わりのない異様な空間に迷い込む物語。どちらも若者世代にとって違うタイプの“身近さ”を有した題材であるのが特長だ。

CHECK 全米でバズる“Freaky Nikki”

画像: なぜ2026年の若者はホラー映画に熱狂しているのか?

アカデミー賞まで獲ってしまった『WEAPONS』然り、昨今の人気ホラーには「キャラの強さ」が不可欠。アイコニックなキャラによるインパクトのある(だが笑える)セリフやシーンがSNS上で拡散され、それ自体が新たなコンテンツとしてネットミーム化し新たな観客を誘引するのだ。束縛が強すぎるニッキーはまさにそのお手本。彼氏が思い通りいかないと「No,No,No!!」と大騒ぎし、添い寝しないと「Stay!」と一喝し、寝顔の見つめ方が狂気的だったり花瓶の持ち方が異常だったりと“顔芸”含めてあらゆる行動が怖面白すぎる!

『オブセッション 災愛』
公開中
アメリカ/2025/1時間49分/配給: パルコ ユニバーサル映画
監督:カリー・バーカー
出演:マイケル・ジョンストン、インディ・ナヴァレッテ、クーパー・トムリンソン、メーガン・ローレス
© 2026 Focus Features LLC.

『バックルームズ』
2026年9月4日(金)公開
アメリカ/2026/2時間6分/配給: ハピネットファントム・スタジオ
監督: ケイン・パーソンズ
出演:キウェテル・イジョフォー、レナーテ・レインスヴェ、マーク・デュプラス、フィン・ベネット
© 2026 Backrooms Rights LLC, PC Films, LLC. All Rights Reserved.

This article is a sponsored article by
''.