カバー画像:『ミッション:インポッシブル』Photo by Murray Close/Getty Images
数え尽くせない、時代を代表する作品たち
熱狂的なファンに今もなお愛される作品も
96年の外国映画界は、大作映画が興行ランキングを席巻する一方で、熱狂的なファンを生み出す個性的な作品が次々と登場した。インディーズ系やジャンル映画、そして人気俳優のスター性を前面に押し出した作品群は、単なるヒットを超えて「文化現象」と呼べるほどの支持を獲得した。

『ファーゴ』
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その代表格が『ファーゴ』である。ジョエルとイーサンのコーエン兄弟監督による本作は、雪に閉ざされた地方都市で起きた誘拐事件を、ブラックユーモアと残酷さを織り交ぜながら描いた。その独特な語り口は熱烈な支持を集め、後年の犯罪映画やテレビドラマにも大きな影響を与えた。

『トレインスポッティング』
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ダニー・ボイル監督が、ドラッグに溺れる若者たちの日常をスタイリッシュな映像で描いた『トレインスポッティング』は、従来の青春映画とは一線を画す作品として若い世代を魅了。ファッションや音楽を含めて社会現象となり、90年代カルチャーを代表する一本となった。

『ロミオ+ジュリエット』
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そのほか、壮大な恋愛叙事詩『イングリッシュ・ペイシェント』が映画賞レースを席巻し、吸血鬼映画と犯罪映画を融合した『フロム・ダスク・ティル・ドーン』はジャンル映画のファンからカルト的な支持を獲得した。スター俳優人気も96年を象徴する現象だった。『ロミオ+ジュリエット』は、現代的な映像感覚で古典劇を再解釈し、主演のレオナルド・ディカプリオを世界的なアイドルへと押し上げた。また、コメディーでは ジム・キャリーが主演した『ケーブルガイ』が話題となり、アクション界の帝王アーノルド・シュワルツェネッガーも『イレイザー』と『ジングル・オール・ザ・ウェイ』で存在感を示した。1996年は、興行成績だけでは測れない熱狂と個性が映画文化を豊かにした年でもあったのだ。
日本で始まっていた「ディカプリオ旋風」
一方、96年の日本の洋画市場を振り返ると、世界的な大ヒット作とスター俳優への熱い支持が結びついた年だったことが分かる。国内配給収入ランキングを見ると、『ミッション:インポッシブル』『ツイスター』『イレイザー』『ザ・ロック』『007 ゴールデンアイ』など、アクションやスペクタクル作品がランクインしており、「映画館で見るべき大作映画」が強く求められていたことがうかがえる。また、『セブン』*や『12モンキーズ』*といったダークで知的な作品が支持を集めた点も、この年の特徴だった。

『セブン』
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『イレイザー』
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その傾向は「SCREEN映画大賞」にも表れている。第1位に選ばれた『セブン』をはじめ、『インデペンデンス・デイ』『ミッション:インポッシブル』が上位に入り、娯楽大作の人気の高さを示している。一方、『太陽と月に背いて』*や『バスケットボール・ダイアリーズ』*がランクインした背景には、主演のディカプリオ人気の急上昇があった。翌年の『タイタニック』を前に、日本ではすでに「ディカプリオ旋風」が始まっていたのである。

『ベイブ』
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1996年 日本国内配給収入ランキング(洋画)
1位:『ミッション:インポッシブル』
2位:『セブン』*
3位:『ツイスター』
4位:『イレイザー』
5位:『ザ・ロック』
6位:『ベイブ』*
7位:『ノートルダムの鐘』
8位:『ジュマンジ』
9位:『12モンキーズ』*
10位:『007 ゴールデンアイ』
出典:過去配給収入上位作品(配給収入10億円以上番組)
一般社団法人日本映画製作者連盟
1996年度(第46回)SCREEN映画大賞ランキング〈作品部門〉
1位:『セブン』*
2位:『インデペンデンス・デイ』
3位:『太陽と月に背いて』*
4位:『ミッション:インポッシブル』
5位:『12モンキーズ』*
6位:『評決のとき』
7位:『バスケットボール・ダイアリーズ』*
8位:『ユージュアル・サスペクツ』*
9位:『戦火の勇気』
10位:『陽のあたる教室』*
* 付きは95年製作、96年日本公開作品
