ベネチア国際映画祭の開催地イタリア。華やかで美しい国のイメージとは裏腹に、イタリア映画と聞くとなんとなく小難しくて敬遠しがち……いえいえ、そんなことはありません!巨匠から良質な人情劇まで、奥深くてバラエティーに富んだイタリア映画の世界へご招待します。(文・井上健一/デジタル編集・スクリーン編集部)

02: モンド&マカロニ・ウエスタン

カゲキなB級作品がわんさか!

画像: 「 世界残酷物語」

「 世界残酷物語」

巨匠たちが数々の傑作を発表する一方で、1960年代に入るとイタリアは娯楽映画の分野で新たなジャンルを生み出すこととなる。そのひとつが“モンド映画”。世界の特異な風習や文化を紹介するドキュメンタリーの一種だが、見世物的な色合いが強く、観客の好奇心を刺激した「世界残酷物語」(1962)が世界的に大ヒット。次第にその内容は過激な方向にエスカレートしていき、「グレートハンティング/地上最後の残酷」(1975)、「食人族」(1980)など、フェイク・ドキュメンタリーも含めて類似作品が多数誕生した。

画像: 「荒野の用心棒」

「荒野の用心棒」

もうひとつがイタリア製西部劇「マカロニ・ウエスタン」。アメリカ製西部劇よりも過激なバイオレンス描写やアンチヒーローの活躍が見どころで、「荒野の用心棒」(1964)、「夕陽のガンマン」(1965)、「荒野の1ドル銀貨」(1965)、「続・荒野の用心棒」(1966)などが人気に。

元々は本家ハリウッドで減少傾向にあった西部劇の需要を補うために製作が始まったものだが、テレビの人気俳優だったクリント・イーストウッドを映画スターに押し上げたほか、監督のセルジョ・レオーネや作曲家エンニオ・モルリコーネを世に送り出すなど、娯楽性だけではない成果も挙げた。

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