インタビューその2
松野カラ松役:中村悠一
中村悠一
2月20日生まれ、香川県出身。シリアスからコミカルまで変幻自在な振り幅が持ち味。「マクロスF」の早乙女アルト、「機動戦士ガンダム00」のグラハム・エーカー、「うたの★プリンスさまっ♪」シリーズの月宮林檎など、話題作の主要キャストを多数担当。
カラ松は痛々しいけれど憎めない。そこが可愛さになればいいな、と
ーーストーリーについてはどう思いましたか?
中村悠一「劇場版だからといって、ストーリーに重点をおいてしまったら、『おそ松さん』本来の持つ面白さとはベクトルが違ってしまうのではないかと感じました。でも、台本を読んだりして、アフレコするまでの過程で、ストーリーはしっかり付いているけれど、肉付けはTVシリーズのノリになっていて。ギャグや無意味なことで覆われている『おそ松さん』の世界観にきちんと仕上がっていると感じ、これなら違和感なく楽しんでもらえると思いました」
ーー「おそ松さん」の新境地、感動も詰め込まれているようですが…
中村悠一「キャストの感想がバラついていたのが面白かったです。いい話という人もいれば、ちょっとブラックだなという人もいる。多くの人が感動したと言ってくれると思うのですが、そうでない人がいてもおかしくないし、それはそれで『おそ松さん』らしい狙いと捉えています」
ーー中村さんから見る「カラ松」とはどんなキャラクターですか?
中村悠一「カッコつけて痛々しいという設定ではあるけれど、どこか憎めなかったり仕上がりきっていない“隙”がある。そんなところがキャラクターの可愛さになればいいなと、いかに隙を作っていくのかを課題にして演じてきました」
ーー個性が強い6つ子ですが、カラ松以外で演じてみたい、もしくは気になるキャラクターはいますか?
中村悠一「キャラクターよりエピソードでうらやましいと思うことはあります。カラ松本人はいたって真面目で、面白いことをしようとはしていません。ツッコまれることで“痛々しい人”という笑いに変わるんです。でも、チョロ松とトド松は会話だけで笑いに持っていける。神谷さんと入野くんの技術も当然あるのですが、うらやましいなと。カラ松と十四松は出落ちキャラなので、面白いと言ってもらえるけれど、ちょっと小狡い手法取ってるよねって思っちゃいます(笑)」
ーー笑いが取れるわけですから、得したなと思ったりしないのですか?
中村悠一「もちろん得している部分もあると思います。でも、おそ松、チョロ松、トド松3人の、ストレートな手法で客を引き込み笑いに持っていく様子はうらやましいし、純粋に自分も楽しんでしまうときがあります。アフレコで聞いているだけでもほんとに面白いんです。キャラクターの画がなくても楽しめるので、壁や景色、ポテチの袋だけという画で成立してしまう。カラ松にはできないことなので、いいなと思います。一松は、出落ちもできれば意表もつけるように福山さんがシフトしていったので、振り幅が広くなっています。
シリーズ最初の頃には、個性が際立つカラ松、一松、十四松はキャラの差別化が図りやすいけれど、おそ松、チョロ松、トド松は棲み分けが難しいとよく話していました。でも、今となってはおそ松、チョロ松、トド松も強烈なキャラに仕上がっています。続けると面白くなっていくんだなと思いますね」
ーー劇場版で描かれる18歳の6つ子は、現在とはだいぶキャラが違うようですが…
中村悠一「カラ松に関しては、成長したうえで痛い人になっているのかなと感じました。衝撃だったのは一松です。結構がんばっていたのに、結局ニートになっている。どこで壊れちゃったのか、中学までは違ったのかなといろいろ気になりました。ビジュアルもほとんど変わらないおそ松の安定感も面白さだと思います」