作品に緩急をもたらすユーモラスな6つの楽曲
ロマンティックな物語にも壮大なドラマにも、緩急のポイントとなるユーモラスな曲があるもの。『アラジン』には楽しい曲がいっぱいだけれど、なかでも「フレンド・ライク・ミー」は格別だ。ランプの中から登場した魔人ジーニーが、驚くアラジンに向かって自己アピールする、にぎやかな歌。実写版でジーニーを演じるウィル・スミスもきっと歌ってくれそうで、楽しみ。
『ライオン・キング』(1994)の「ハクナ・マタタ」も陽気で軽快。父の死に責任を感じ意気消沈して国を出たシンバが、たどり着いた見知らぬ地で出逢ったイボイノシシのプンバァとミーアキャットのティモンに教えられるのが、これ。「ハクナ・マタタ」はスワヒリ語で「どうにかなるさ」といった意味だとか。落ち込み気分もアガる、軽やかなメロディーが愉しい。
『ライオン・キング』
4K UHD発売中/デジタル配信中
発売/ウォルト・ディズニー・ジャパン
© 2019 Disney
にぎやかといえば、『リトル・マーメイド』の「アンダー・ザ・シー」も。人間の世界に憧れるアリエルに対し、海ほどいい所はないと宮廷音楽長のセバスチャンが説得する歌は、カリプソのリズムに彩られた明るいサウンド。多彩な海の住人も参加する、とびきり陽気で愉快なナンバーだ。
『リトル・マーメイド』
2019年6月19日MovieNEX発売/デジタル配信中
発売/ウォルト・ディズニー・ジャパン
© 2019 Disney
「ハクナ・マタタ」と同じ位置づけの歌が『ジャングル・ブック』(1967)の「ザ・ベアー・ネセシティ」。ジャングルで動物たちに育てられている少年モーグリに、クマのバルーが「気楽に暮らそう」と歌いかけるのだ。ちょっぴりカントリー風の軽快な曲だ。曲名にある「ベア(Bare)=ありのまま」はクマ(Bear)にかけている。
続いての2曲は、誰もが知ってる超有名曲。『白雪姫』の「ハイ・ホー」と『シンデレラ』の「ビビディ・バビディ・ブー」だ。「ハイ・ホー」は7人の小人たちが仕事に行くときに歌う朗らかな曲。個性豊かな7人が並んで向かうのはダイアモンドがザクザクの山。朗らかにもなろうというものだ。
「ビビディ・バビディ・ブー」は、おまじないの言葉として独り歩きしているほど。これは、舞踏会に行けずに嘆くシンデレラの前に現われた魔法使いの呪文の曲。歌に乗って、魔法の杖から出る光が踊り、カボチャを馬車に、ネズミを馬に、シンデレラを美しいドレス姿に変えていくシーンは、ワクワクもの。
ディズニー映画を支える音楽家
シャーマン兄弟
『プーと大人になった僕』(2018)に3曲書き、エンド・クレジットでピアノを弾いていたおじいさん。あれが弟リチャード。2012年に亡くなった兄ロバートと共に、1966年に短編アニメーション映画『プーさんとはちみつ』を手がける。以来“くまのプーさん”との縁は深い。
もっとも、彼らの名を一躍有名にしたのは、『メリー・ポピンズ』(1964)だろう。この映画の製作過程を描いた『ウォルト・ディズニーの約束』(2013)では彼らの姿も描かれている。ユーモラスな曲もしっとりした曲も、どこか粋な雰囲気が漂うのが特徴だ。
※サウンドトラックの発売はすべてユニバーサルミュージック