記憶に新しい「1917」&「ダンケルク」ボーイズ
英国の若手&ベテランが揃い踏み
「1917 命をかけた伝令」(2019)
「1917 命をかけた伝令」(2019)ではイギリス出身の2人の20代の若手が伝令役で主演し、映画ファンの注目を集めた。なんとか目的地にたどり着くスコフィールド役のジョージ・マッケイはこれ以前にも「はじまりへの旅」(2016)「マローボーン家の掟」(2017)などで知られていたが、「1917」と前後して『トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリー・ギャング』(2019)『ア・ガイド・トゥ・セカンド・デイト・セックス』(2019)と主演作を連発、リリー・ローズ・デップ共演で自らを狼だと信じる少年に扮した『ウルフ』の製作がアナウンスされる売れっ子ぶり。
ジョージ・マッケイ
たくましい生命力で戦場を駆け抜けるスコフィールド役のマッケーは、「はじまりへの旅」「マローボーン家の掟」(写真)できょうだいの長男を演じている
かたや前線部隊に兄のいるブレイク役のディーン=チャールズ・チャップマンは大人気TVシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」のトメン・バラシオン役で美少年ぶりが話題になっていたが、こちらも先日公開されたばかりの「カセットテープ・ダイアリーズ」(2019)やティモシー・シャラメらと共演した「キング」(2019/Netflix独占配信中)など出演作は続々、ダブリンの少年に扮したドラマ『ヒア・アー・ザ・ヤング・メン』の撮影も終わっている。
ディーン=チャールズ・チャップマン
前線にいる兄を探す兵士ブレイク役を演じたチャップマンの代表作は「ゲーム・オブ・スローンズ」のバラシオン家の次男トメン(第4章から登場)
「1917 命をかけた伝令」ブルーレイ+DVD
2020年8月5日(水)発売
英国男優ブームを加速させた傑作
「ダンケルク」(2017)
こういった戦争映画での若手ブレイクといえば、やはり思い起こされるのはクリストファー・ノーラン監督が第二世界大戦での連合国側の大撤退作戦を陸・海・空の三部構成で描いた「ダンケルク」(2017)。人気グループ〝ワン・ダイレクション〞のハリー・スタイルズは別として、ほぼ無名の若手たちがこの映画をジャンプボードに巣立っていった。
冒頭から登場し街なかを逃げ回る英国兵トミーを演じたフィン・ホワイトヘッドはこの後ウィル・ポールター共演のSFミステリー「ブラック・ミラー:バンダースナッチ」(2018/Netflix独占配信中)、ベン・チャップリンと共演したアドベンチャー・ドラマ『ロード』(2019)などの主演作を送り出している。
フィン・ホワイトヘッド
当時無名だったホワイトヘッドは「ダンケルク」の翌年、「ブラック・ミラー:バンダースナッチ」(Netflix独占配信中)でも主演に抜擢されるなど大躍進
そのトミーが海岸で出会ったギブソンと名乗る兵士に扮したアナイリン・バーナードもモーツァルト役の「プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード」(2017)、トム・ウィルキンソン共演のクライム・コメディー「やっぱり契約破棄していいですか⁉」(2018)に主演、キュリー夫妻のドラマ『レディオアクティブ』(2019)、アンセル・エルゴートら共演のドラマ『ザ・ゴールドフィンチ』(2019)、十七世紀が舞台のTVシリーズ『バークスキンズ』(2020〜)などが控えている。
アナイリン・バーナード
ホワイトヘッド演じる二等兵と行動していたギブソン役のバーナードは、翌年「やっぱり契約破棄していいですか⁉」でチャーミングな崖っぷちの小説家に
撤退作戦のため徴用された小型船の持ち主の息子ピーター役のトム・グリン=カーニーは「トールキン 旅のはじまり」(2019)でもトールキンの親友の一人でこれまた戦場に行く男を演じ、「キング」では「1917」のD・C・チャップマンと共演している。
その小型船にピーターと一緒に乗ったジョージ役のバリー・コーガンはコリン・ファレル主演のヨルゴス・ランティモス監督作「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」(2017)、エヴァン・ピーターズ共演の犯罪ドラマ「アメリカン・アニマルズ」(2018)で印象を残し、最近は話題のTVシリーズ「チェルノブイリ」にも出演中。
スピットファイアのパイロットを演じたジャック・ロウデンは「イングランド・イズ・マイン モリッシー、はじまりの物語」(2017)、サスペンス「最悪の選択」(2018/Netflix独占配信中)といった主演作以外にも「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」(2018)「ファイティング・ファミリー」(2019)などでキーとなる役を演じている。最新作はトム・ハーディ主演の『カポネ(原題)』(2020)だ。
ジャック・ロウデン
トム・ハーディと共にスピットファイアを駆ったロウデンも本作でブレイク。主演作「イングランド・イズ・マイン」をはじめ出演作が日本でも続々公開された