イントロダクション
日本で“ミュージカルブーム”と言われて久しい昨今、さまざまなミュージカルが上演されているが、その礎を築いたのが「ウエスト・サイド・ストーリー」(以下「WSS」)だった。1957年9月26日にブロードウェイで初演の幕が開き、トニー賞2部門を受賞。1961年に映画化(邦題『ウエスト・サイド物語』)され、北米で10月18日に公開されて第34回アカデミー賞作品・監督・助演女優・助演男優を含む10部門制覇の快挙を成し遂げた。
日本では同年12月に封切られて1年5ヶ月弱のロングランを記録したと聞けば、どれほどの旋風を巻き起こしたかがわかるというものだ。この大ヒットを受けて1964年にアメリカのツアーカンパニーが東京で公演。これがブロードウェイプロダクションの来日公演第1号でもあった。以来、日本でも劇団四季や宝塚歌劇団などによって何度も上演されている、まさしく「伝説」「古典」とも呼ばれるミュージカル。
それをスティーヴン・スピルバーグ監督がリメイクするというニュースに世界中のミュージカル、映画ファンは胸を高鳴らせたはず。そしてついに、その作品の全貌が明らかになる時が来た。ここであらためて、初演から半世紀以上を経てもなお「WSS」が人々を魅了し続ける理由に迫ってみたい。
ストーリー
1950年代後半のニューヨーク、マンハッタンのウエスト・サイドでは若者グループ、ポーランド系移民の〈ジェッツ〉と、プエルトリコ系移民の〈シャークス〉が激しい抗争を繰り広げていた。ある夜のダンスパーティーで、両グループのメンバーとガールフレンドたちが相手を挑発。そんな中、シャークスのリーダー・ベルナルドの妹マリアは青年トニーと一目で惹かれ合う。だが、それは許されない恋。彼はジェッツの元リーダーだった……。
運命に翻弄されるキーパーソンたち
夢と希望を持った芯の強い女性 マリア(レイチェル・ゼグラー)
〈シャークス〉のリーダー、ベルナルド最愛の妹。NYに来たばかり。
マリアと惹かれあう実直な青年 トニー(アンセル・エルゴート)
〈ジェッツ〉の元リーダー。現在はドラッグストアで働いている。
アニータ(アリアナ・デボーズ)
ベルナルドの恋人。トニーに恋したマリアを批判しつつ共感していく。
バレンティーナ(リタ・モレノ)
トニーが働く店の店主。〈ジェッツ〉の面々を見守り戒めることも。
ベルナルド(デヴィッド・アルヴァレス)
仲間を率いて常に挑発的な行動に出る〈シャークス〉のリーダー。