エンタメ業界がようやく通常モードに戻ってきた昨年下半期。期待の新作や注目作が続々と日本公開が決まり、一層、映画界も盛り上がることが予想されます。2022年、映画で更なる飛躍を見せてくれそうな13人をピックアップしました。まずは前編をお届けします。(文・よしひろまさみち/デジタル編集・スクリーン編集部)
カバー画像:Photo by Patrick Fouque/Paris Match/Contour by Getty Images

ティモシー・シャラメ

新時代の美しい王子様は今年も爆走!

画像: 写真提供:bfa.com/アフロ
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ティモシー・シャラメ プロフィール

出身地: アメリカ合衆国 ニューヨーク州
生年月日:1995年12月27日

まばゆいばかりの王子様ルックで幼少期からモデルとして活躍し、2012年のドラマ「HOMELAND」、2014年の『インターステラー』『ステイ・コネクテッド〜つながりたい僕らの世界』で注目される。そして2017年の『君の名前で僕を呼んで』と『レディ・バード』でタイプの違う美青年役を演じ分け、世界中の美青年ファンを骨抜きに。『DUNE/デューン 砂の惑星』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督をして「彼がポール役じゃなきゃ作らなかった」とまで言わしめた。ウェス・アンダーソン監督の新作『フレンチ・ディスパッチ~』や撮影中の『Wonka(原題)』など話題作を控える。

── 世の中がロックダウンになる前にこの映画を観ることができたと。

「『DUNE/デューン 砂の惑星』の撮影が終わり、その後、2019年の12月にウェス・アンダーソン監督がニューヨークで試写会を、出演者を召集して、開催しました。ですから、タイムズスクエアで一度は観ているのですが、また観ることをとても楽しみにしています。

この映画自体も、出演者の皆さんの演技も大変素晴らしいと思います。ビル・マーレイやオーウェン・ウィルソンといった方々とともにアンダーソン映画という壮大なつづれ織りの綾のひとつとなれたことを大変光栄に思います」

── こんなに豪華な出演陣のなかに入っていくのは怖くありませんでしたか。

「いろいろな意味でこれまでとまったく違う経験でした。撮影が始まる2週間前に監督からメールをもらったことを思い出します。こんなことが書いてありました。「長年、若手の俳優に入ってもらっていますが、撮影に現れない人や、十分に準備してこない人がいます。」この言葉を10回以上自分に言い聞かせました。絶対に皆さんの足をひっぱりたくありませんでした。お客さんにこの映画を観て、味わって欲しいですし、監督が世界観を実現するために練った数々の仕掛けのひとつとして、自分も役目を果たしていると評価されたいです。

私の役柄のゼフィレッリの言い回しと、監督の脚本のトーンは両方ともとても具体的でした。コツがつかめると、役がひとり歩きしていきました。しかし、台本通りにもしたくありません。出演の話をもらう前からすでに監督の映画はすべて観ていましたが、なんといっても『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014)でのレイフ・ファインズの演技が参考になりました。セリフの行間を完璧につかんでいます。その演技はもちろん素晴らしく、それはセリフが見事だからでもあります。あの映画のセリフをファインズは立て板に水のように言ってのけます」

── 自分のパートの撮影中、他のパートの撮影もいろいろ観たりできましたか。

「できました。というのは、撮影中に誰もが泊まっていたアングレームのホテルの私の部屋のすぐ隣が編集のアンドリュー・ワイスブラムだったのです。エイドリアン・ブロディのセクションを自分の撮影の前に観ることができました。とても役に立ちました。ブロディやレア・セドゥやベニチオ・デル・トロの演技を観ることで映画の全体像が分かったのです。もう本当に、皆さんすごい演技でした」

── ウェス組で一緒に生活したことで撮影全体にどのような影響があったと思いますか。

「長年、第一線で活躍しながら、消費されることもなく、常に触発され、演じることに興味を持ち続けている大勢の俳優の皆さんとアングレームで寝食を共にしました。豪華じゃないなんて言えない環境のなか、誰もエリート意識をむき出しにせず、皆さんの快活さ、親しみやすさ、監督との絆を実感できたことはかけがえのない財産です。それは監督が生みだしたアーティスティックなサロンのような雰囲気であり、表現行為でもありました。そこで存在感を示そうと一所懸命努力する自分もいました」

── 出世作で名をあげて以来この数年は乗りに乗っています。知名度が上がるなか、どのように集中力を保っていますか。

「なんといっても、ひたすら仕事に取り組むことですね。撮影では準備に頭も体も総動員させなくてはなりません。それによって方向性を定めていられます。今撮影しているウィリー・ウォンカ役でも音楽的な難しい挑戦があります。新しい技をたくさん覚えなくてはなりません。新しいことを覚えるのは得意なんです。

この1年半くらいはそうした挑戦もありませんでした。まったく撮影がありませんでしたから、違う方法で進む道をしっかり見定めなくてはなりませんでした。でも、この休み期間には、ソファーのクッションの折り目をちまちま数えたりして、心の澱を洗い流すことができました。そうした時間をみつけることは、撮影が入っているときでも大事です。

それが『DUNE/デューン 砂の惑星』のポール・アトレイデス役であろうが、『キング』のヘンリー役であろうが、『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』のゼフィレッリ役であろうが、です」

『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』
公開中

画像1: 2022年映画界で注目される13人のキーパーソン(前編)【今月の顔】

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン 
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