カバー画像:『パンズ・ラビリンス』(2006)© 2006 ESTUDIOS PICASSO,TEQUILA GANG Y ESPERANTO FILMOJ
『ミミック』(1997)
ドナルド・A・ウォルハイムの同名短編小説を原作にしたSFホラー。近未来のニューヨークを舞台に、ゴキブリを媒介とする致死性伝染病が流行し、ゴキブリ撲滅のために遺伝子操作新生物を開発。ところが、その新生物はその後の世の中で人類の天敵となるという皮肉なストーリー。
今や「ダリル」が代名詞のノーマン・リーダスが本作でハリウッドデビューした。デル・トロ監督が愛してやまないトロントでの撮影は、この作品から。
『ブレイド2』(2002)
同名マーベル・コミックのダークヒーローを主人公にしたアクション大作第二弾。人間とヴァンパイアのハイブリッドであるヴァンパイアハンター・ブレイドが、ヴァンパイアを生み出すウイルスの亜種によって生まれたリーパーズ退治に乗り出す。
前作が大成功をうけ、よりオタク心を理解する監督を起用することになりデル・トロ監督が採用。漫画と日本のアニメの感覚を取り入れ、ぶっ飛びのアクションに(振り付けはドニー・イェン!)。
『ヘルボーイ ディレクターズカット版』(2004)
幼児のころに魔界から召喚され、ブルーム博士に育てられた心優しい悪魔・ヘルボーイを主人公に、人間界を脅かす悪魔との戦いを描く。アメコミの大家マイク・ミニョーラの同名名著の実写化で、トロたんとミニョーラ念願の企画。
デビュー作『クロノス』(1993)からの仲のロン・パールマンを主役にすることを条件にして、何年も塩漬けにされていた。ヘルボーイの相棒である半魚人エイブは、その後のオスカー大作につながるキャラデザイン。
『パンズ・ラビリンス』(2006)
スペイン内戦を背景に、おとぎ話の世界を信じる少女が暴力的な継父から逃避するファンタジーを描く。10年以上の構想を実現し、カンヌ国際映画祭をはじめとする世界中の映画賞を席巻。
アカデミー賞では撮影賞、美術賞、メイクアップ賞を受賞し、監督独自の脳内イメージが世界に認められた作品。独創性溢れる妖精やパン、ペイルマン(手のひらに目がついてるアイツ)などのデザインはトロたんが温めていたアイデアで、ほぼ実写。
『パシフィック・リム』(2013)
環太平洋地域に続出する怪獣と、それに対抗するために作られたロボット兵器イェーガーの戦いを描くSFアクション大作。トラヴィス・ビーチャムの企画で、監督は当初はプロデュースを手掛ける予定だったが、別の企画が頓挫し、一転監督することに。
ありえないスケールの怪獣と人間が中に入って操縦するロボ、「カイジュー」の呼称などは、「ウルトラマン」シリーズなどの特撮や「機動警察パトレイバー」などのロボットアニメに影響を受けている。
『クリムゾン・ピーク』(2015)
莫大な遺産を継いだ作家志望の女性が、結婚相手である貴族の屋敷に移り住み、そこで起きる怪奇現象に脅かされる……。20世紀初頭を舞台にしたゴシックホラー。『パンズ・ラビリンス』(2006)直後からマシュー・ロビンズと共に書き下ろしていた脚本を映画化。
お化け屋敷映画だけに、クリーチャーはそれほど出てこないものの、幽霊役に『ヘルボーイ』(2004)のエイブや『パンズ・ラビリンス』のパンとペイルマンを演じたダグ・ジョーンズを起用。
『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)
アメリカの秘密組織が捕らえたアマゾンの神・半魚人と、組織の清掃員として働く聴覚に障害を持つ女性のラブロマンス。ご存知デル・トロ監督の代表作となったアカデミー賞作品賞受賞作。半魚人役にはもちろんエイブも演じたダグ・ジョーンズ。
監督が子供の頃からの大好物『大アマゾンの半魚人』(1954)にインスパイアされつつ、権力側とありとあらゆるマイノリティの関係性を温かな視点でとらえたことで、トランプ政権下のアメリカで話題に。