今後公開されるウクライナの映画
これまでに公開された映画ばかりではない。これからもウクライナ関連の映画は登場する。1986年4月26日に起きたチェルノブイリ原発の爆発事故を扱った『チェルノブイリ1986』(2020)が5月6日から公開される。
またウクライナの監督セルゲイ・ロズニツァによる、ロシアのクリミア併合と同時期に起こったウクライナ東部のドンバス地方での軍事衝突を背景にしたドラマ『ドンバス』(2018)が緊急公開(以降全国順次公開)されることも決定した。ロズニツァ監督作は秋にも新作二作の公開が決まっている。
チェルノブイリ1986
2022年5月6日(金)公開
ロシア/2020/2時間16分/ツイン
監督:ダニーラ・コズロフスキー
出演:ダニーラ・コズロフスキー、アクサナ・アキンシナ、フィリップ・アヴデエフ、ニコライ・コザック
1986年4月26日にウクライナのチェルノブイリ(チョルノービリ)原発で起こった爆発事故で、二次災害を防ぐため決死の任務に向かった3人の男たちの実話を基にしたドラマ。製作のアレクサンドル・ロドニャンスキーは事故の5日後に現地に入って撮影した経験者。『マチルダ 禁断の恋』(2017)のダニーラ・コズロフスキーが主演と共に監督も務めている。
プリピャチの消防隊員アレクセイ(コズロフスキー)は元恋人のオリガと街で再会、彼女が育てている10歳の息子が自分の子だと察し、再び新たな生活を築こうと決意する。だが近くの原発で爆発事故が発生、欧州全域に汚染が及ぶ危険がある二次災害を防ぐため、アレクセイは危険な任務を引き受けるが……
ドンバス
2022年5月21日(土)公開
ドイツ=ウクライナ=フランス=オランダ=ルーマニア=ポーランド/2018/2時間2分/サニーフィルム
監督:セルゲイ・ロズニツァ
出演:タマラ・ヤツェンコ、リュドミラ・スモロディーナ、オレーシャ・ズラコフスカヤ、ボリス・カモルジン
アーカイブ・ドキュメンタリー『粛清裁判』(2018)『国葬』(2019)などが日本でも公開されているウクライナのセルゲイ・ロズニツァ監督・脚本のドラマ。2014年からウクライナ東部ドンバス地方で起きている、ロシアの支援を受けていると言われる分離派とウクライナ軍との軍事衝突を背景に、ノヴォロシア(ロシアと国境を接する、親ロシア派の住民が多いウクライナ東部の地方)の政治・社会を風刺的に描く。カンヌ映画祭ある視点部門監督賞受賞作。
プロパガンダとフェイクニュースの横行するドンバス地方。関連があるのかないのか判断できないような小さなエピソードが次から次へと映し出され、ドンバス地方の現在をタペストリーのように描き出していく。
ウクライナ映画の話題としては3月に緊急限定上映されたヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ監督の二作『アトランティス』(2019)『リフレクション』(2021)も忘れてはいけない。共にロシアとウクライナの戦いという現実を予感したような内容で、『アトランティス』は対ロシア戦の終わった2025年が舞台の近未来ディストピア映画、『リフレクション』は2014年の対ロシア戦で捕虜になった外科医を主人公にしたドラマだ。
ハリウッドでもセレブたちがウクライナ支援を
ハリウッド・スターたちも今回のロシアのウクライナ侵攻について声明を発表したり、行動を起こしたりしている。
まず大きなニュースとなったのがいち早く動きを見せたショーン・ペン。ロシアの侵攻が始まった直後にドキュメンタリー製作のためウクライナ入りし、翌日にはゼレンスキー大統領の会見の最前列に姿を見せた。昨年11月にも同地を訪問し、このドキュメンタリー製作を開始していたペンは、軍人や政治家に取材し、徒歩でポーランドに脱出。彼の協力にゼレンスキーも感謝の意を表明した。
またウクライナ出身のミラ・ジョヴォヴィッチも声明を発表。「私のルーツはウクライナとロシアの両方にあり」としながら「平和をもたらすことのできない指導者たち、帝国主義という名の絶対的な力に対し、いつも人々が血と涙でその代償を払う」と怒りをインスタに投稿。同じくオルガ・キュリレンコも「ウクライナと国民の安全を祈ります」とメッセージを。
アカデミー賞に出席し、ウクライナ支援を訴えたミラ・クニスも夫アシュトン・カッチャーと共に募金運動を開始、クラウドファンディングに3000万ドル以上が集まり、難民支援のための団体に送られたという。さらにレオナルド・ディカプリオやライアン・レイノルズとブレイク・ライヴリー夫妻たちも支援のための募金を呼びかけている。
アカデミー賞ではベネディクト・カンバーバッチやジェイミー・リー・カーティスらが胸元などにバッジやリボンをつけてウクライナに連帯の意志を表明した。
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