友情があるから問題を乗り越えていける
──主人公のアンジェラとジェシーには次から次へとさまざまなトラブルが起こりますが、いつも2人で明るく乗り越えていくので、悲惨さや深刻さを感じません。あの明るさはどこからくるのでしょうか。
明るさは本来、誰にも備わっているものだと思いますが、育てていくこともできると思います。私は15歳で両親に捨てられたも同然の状況になり、親友と一緒に暮らし始めました。この作品で描いているように、仕事を見つけ、お互いに助け合って生きていくような十代を過ごしたのです。ただ、幼いころはしっかりと愛され、温かく見守ってもらいながら育ったので、根本の部分では明るさを持っていたのだと思いますし、親友の存在が何より大きかったです。
この映画のテーマは友情です。この世界を1人生きていくのは辛い。でも2人でいるから、友情があるから、さまざまな問題にぶつかってもやっていける。自分はこれでいいんだと思わせてくれ、どんなことがあっても自分のことを愛してくれる誰かがいる。それだけで人は希望を持て、明るくなれるのです。
──ご自身の10代を描いていますが、当時に戻った感覚で演出されたのでしょうか。それとも監督として客観的に見つめ直して演出されたのでしょうか。
両方が混じった感じでしたね。アンジェラとジェシーが「ドルフィーズ」といいながら小指で約束を交わすのは私が親友とやっていたことでしたから、2人がそれをしていると当時のことを思い出し、既視感のような奇妙さを感じていました。
その一方で監督として冷静な目でも見ていました。実はこの作品、以前に超低予算で1度作っています。そのときは受けがいいように無難な演出を選ぶことが多かったのですが、自分の映画を型にはまった陳腐な物語にはしたくない。それで役者を変えて撮り直したという経緯があるのです。女の子同士の友情に敬意を払いつつ、あえて下品で下ネタ満載のバカ騒ぎを加えました。