カバー画像:『トップガン マーヴェリック』© 2022 Paramount Pictures.
他にも注目される作品がいっぱい!
候補入り確実といわれるこれらの作品の他にも有力作は多く、一昨年のクロエ・ジャオ、昨年のジェーン・カンピオンに続いて3年連続で女性監督受賞へのリレーを繋ぐ可能性があるのは『ウーマン・トーキング 私たちの選択』のサラ・ポーリー。
自給自足で生活するキリスト教のある一派で起きた事件を基にしたもので、女性たちが相次いで男性信者にレイプされるという衝撃的な事実を題材にしている。フランシス・マクドーマンド(出演も)とプランBが組んだ意欲的な作品だ。
また昨年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞したリューベン・オストルンド監督の『逆転のトライアングル』も現代社会の価値観をみごとに覆すテーマをブラック・コメディ風に描き、時流を捉えた一本として候補入りが有力視されている。
そして『ラ・ラ・ランド』(2016)で史上最年少のオスカー受賞監督となったデイミアン・チャゼルが1920年代のハリウッドの光と影を描く大作『バビロン』もマークしておきたい。華やかさと退廃と希望と絶望が入り混じった力作だ。
さらに異色の注目作として、日本でも公開中のインド映画超大作『RRR』が国際長編映画賞と同時に作品賞もノミネートされるかもしれないと話題上昇している。本作はニューヨーク映画批評家協会賞作品賞も受賞しており、このところ韓国の『パラサイト 半地下の家族』(2019)や日本の『ドライブ・マイ・カー』(2021)のように両部門候補となる海外作品が続いている枠に入る可能性が高い。
こうした作品とノミネーション入りを競う有力作は他にもまだまだズラリと名前が挙がっており、配信系Netflixからは『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』(2019)の続編となる『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』や、第一次世界大戦の若きドイツ兵を主人公にしたレマルク原作の小説をドイツ本国が初めて映画化した『西部戦線異状なし』(1930年製作のハリウッド映画版はアカデミー作品賞受賞)、マーベルのスーパーヒーロー映画からは日本でも公開された『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』といった強力作が控えている。
女性監督作品としてはジーナ・プリンス=バイスウッド監督の『The Woman King』(原題、日本公開未定)も注目されていて、1800年代アフリカに実在した女性だけの戦士軍を描き、これまでになかったハリウッド映画と言われている。
またトム・ハンクス主演でスウェーデン映画『幸せなひとりぼっち』(2015)をリメイクした『A Man Called Otto』(原題)、サム・メンデス監督が名女優オリヴィア・コールマンと組んだ『エンパイア・オブ・ライト』、黒澤明監督の名作を英国でリメイクした『生きる LIVING』、ブレンダン・フレイザーが復活の名演を見せ話題のA24作品『ザ・ホエール』といった日本公開待機中のタイトルも本国の直前予想では散見され、1月24日のノミネーション発表でどんなサプライズを見せてくれるか楽しみだ。