自分が誇りに思える音楽を映画で人々に届ける
──映画音楽を書くことは昔から夢見てきたことだったのでしょうか。
僕は6歳でピアノを習い始め、10歳で作曲を始めました。すごく楽しくて、夢中になって曲を作っていました。その頃から作曲は自分の職業だと意識していましたが、映画音楽を書きたいと思ったのは高校に行くようになってからのことです。
子供の頃からたくさん映画を見て育ちました。映画は音楽のためのすばらしいキャンバスを与えてくれる。特にオーケストラの音楽は映画のためでないと書くのは難しいのです。オペラはもはやなくなったも同然ですし、コンサートはあるにはあるけれども、客層はとても小さい。ですから、自分が誇りに思える音楽を映画で人々に届けるというのは、僕にとってすごくエキサイティングなことなのです。
──デイミアンとは学生時代にルームメートとして知り合い、その後、彼と一緒にハリウッドで成功を収めてきたわけですが、そのことについてどう思いますか。
僕とデイミアンは18歳で出会ったので、人生の半分以上の時間を一緒に過ごしてきました。彼ほど音楽にこだわる映画監督は珍しい。先ほども話したように、彼は脚本の段階から音楽について考えている。それは僕にとってうれしいことです。
僕らのオフィスは隣同士なので、自分のスタジオからデイミアンに音楽を送って感想を待つのではなく、ポストプロダクションの作業を一緒にやっています。この作品の場合、ポストプロダクションは1年掛けました。その間、僕は編集室にいる彼を訪ねましたし、僕が作業をしている部屋に彼がやってくることもありました。僕らはお互いをとてもよく知っているし、その方が仕事は効率的だと思います。
──そしてお二人とも、とても若くしてオスカーを受賞しましたね。
彼の場合は史上最年少でしたね。僕は違いましたが。
──この作品は大規模ですが、コロナ禍に作ったのですよね?
コロナ禍で制作は丸1年遅れました。しかし、それはありがたいことでした。実は『セッション』も制作が始まると思ったところで延期になり、初めはがっかりしましたが、時間ができたことで、音楽を考え直すことができたのです。
この作品も最初は2020年夏の撮影開始に向けて、音楽は2020年春にレコーディングする予定でした。しかし2020年の3月にすべてが中止になったので、僕らには1年の余裕ができたのです。その間に音楽をより良いものにするよう作業を続けていきました。
──この映画の最初のバージョンは4時間だったとのことですが、編集の過程でカットされた音楽もあったのでしょうか。
いいえ、音楽に変更はありませんでした。音楽とは関係ないところがカットされたのだと思います。
──この作品のためにやった仕事で、何を一番誇りに思っていますか。
音楽を聞いて、“あの作曲家らしい”と思ってもらうのは一般的にいいことです。しかし、この作品のために書いた曲は、僕がこれまでに書いたものとはかなり違っています。今回、目指したのは『バビロン』らしい音楽を作ること。何年か経って誰かがサウンドトラックを聴いた時に「ああ、バビロンの音楽だ」と思ってくれたらうれしいです。
映画『バビロン』2月10日(金) 『ラ・ラ・ランド』監督が贈る“最高のショー”が始まる!
1920年代のハリウッドは、すべての夢が叶う場所。サイレント映画の大スター、ジャック(ブラッド・ピット)は毎晩開かれる映画業界の豪華なパーティの主役だ。会場では大スターを夢見る、新人女優ネリー(マーゴット・ロビー)と、映画製作を夢見る青年マニー(ディエゴ・カルバ)が、運命的な出会いを果たし、心を通わせる。恐れ知らずで奔放なネリーは、特別な輝きで周囲を魅了し、スターへの道を駆け上がっていく。マニーもまた、ジャックの助手として映画界での一歩を踏み出す。しかし時は、サイレント映画からトーキーへと移り変わる激動の時代。映画界の革命は、大きな波となり、それぞれの運命を巻き込んでいく。果たして3人の夢が迎える結末は…?
『バビロン』
2月10日(金) 全国公開
監督・脚本:デイミアン・チャゼル『ラ・ラ・ランド』
出演:ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、ディエゴ・カルバ、ジーン・スマート、ジョヴァン・アデポ、リー・ジュン・リー、P・J・バーン、ルーカス・ハース、オリヴィア・ハミルトン、トビー・マグワイア、マックス・ミンゲラ、ローリー・スコーヴェル、キャサリン・ウォーターストン、フリー、ジェフ・ガーリン、エリック・ロバーツ、イーサン・サプリ―、サマラ・ウィーヴィング、オリヴィア・ワイルドほか
原題:BABYLON
配給:東和ピクチャーズ
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