立川監督「本当にみなさんの応援のお陰」
公開から約1か月が経った今も連日沢山の人達が劇場に足を運び、現在動員49万人を突破する大ヒットを記録している本作。本編の4分の1がライブシーンで占めていることでも話題を呼んでいるが、公開直後から「思わず拍手しそうになった!」「心の中でスタンディングオベーションした!」など多くの熱いコメントが寄せられている。そんな声に応えてこの日は特別に、<手拍子&拍手 OK のスペシャルライブ上映>となった。本編上映中 JASS のライブシーンでは大きな拍手が起こり、ライブ会場さながらの熱気に包まれた。
劇中の音楽を世界的ピアニストである上原ひろみが手掛けている本作だが、念願の拍手&手拍子 OK での上映、かつ Dolby Atmos の最高音響での極上のジャズライブ体験に、上映後も客席は熱気で最高潮に。そんななか、本作を手掛けた立川譲監督、主人公・宮本大のサックス演奏を担当した馬場智章がステージに登壇。立川譲監督&主人公・大のサックス演奏の馬場智章が登壇。
場内にはリピーターも多く、映画グッズのジャンパーを着て登壇した立川監督は満席の劇場を見渡し、「公開から一ヶ月近く経ちましたが、こんなに楽しい企画をやっていただけて、本当にみなさんの応援のお陰だと思っています」と満面の笑顔。
反響について立川監督は「たくさん感想をいただけて、普段アニメを見ない友達や昔の同級生なども連絡をくれたりと、すごく嬉しいです」と明かし、馬場も「普段ライブの演奏を日々やっていますが、そういうお客さんの中にも『映画観ました』とか、『この映画をきっかけにジャズを聴くようになりました』という声をたくさんいただいて、ジャズって入りづらい題材ではありますが、こういう映画をきっかけにいろんな方達に興味を持っていただけて嬉しいです」と語る。また、「今後またどんどんジャズが盛り上がって、それこそ僕よりも若い世代の方に、楽器をやりたい、サックスをやりたいと思う方が増えてくれたら嬉しいですね」とコメントした。
続いて、アニメーションで表現するのは非常に難易度が高い劇中のライブシーンについて、完成したシーンを見た感想を聞かれた馬場は「音だけで届けていたものが、絵がつくとより迫力が増しますし、僕はいつも演奏者として立つことが多いのですが、演奏シーンの中でたくさん支えてくれている方達の描写があって、自分は大の立場になって演奏していたので、映像で見ていろんな人の感情や思いを見ると、またちょっとこの曲が違う曲、違う演奏に聞こえてくる。感情がどんどん重なっていくような感じがして、そこがすごく素敵だな」と感じたという。
国内外の有力奏者を集めたオーディションで世界中のプレーヤーの中から満場一致で選ばれた馬場だが、どうやって大の音を作り上げていったのかという質問には、「オーディションの最中から実際にレコーディングする中で、上原ひろみさんを筆頭に本当に全員で『大ってどんな音がするんだろう』というのを想像して話し合いをしながら、僕自身も大の音って普段演奏している音と違う音で、本当に全く違うものを演奏していて。例えば音量や間の取り方とか、普段ジャズの演奏をするときは会話をするように、他の人はどんな反応をするのかなというやり方をしたりするんですけど、宮本大はそういう人じゃないんじゃないかと。もっと自分の主張をどんどん伝える人なんじゃないかと。そういった細かい演奏の方針から、全員の演奏に対してみんなで作っていくという感じで。ひろみさんから『今ちょっと大ちゃんぽくないね』っていう声もいただいたり、ミュージシャンチームがいい演奏だと思っても、作画チームは『今伝わらないですね』とか。なので本当に全員で作った JASS の演奏だった」と述懐した。
また監督も、演奏シーンのレコーディングを振り返り、「結構いろいろやりまして、例えばもっと大っぽい感じを出すために 1回休憩をとって、会場を暗くして夜の感じにしてみて一回リフレッシュした後に話し合ってもう一回やるとか」と苦労を明かす場面も。