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「荒川アンダー ザ ブリッジ」(2010)『ステップ』(2020)など幅広い作品を手掛けてきた飯塚健監督の最新作『宇宙人のあいつ』が2023年5月19日に公開。人間になりすます宇宙人の主人公を中心に、家族愛あり、超能力あり、大きなウナギありの、飯塚ワールド全開のオリジナル作品だ。そんな本作で主演を務めるのは、飯塚監督と『笑う招き猫』などで組んできた中村倫也。大ファンだという日村勇紀(バナナマン)と共演した感想や、好きな映画や俳優までたっぷりと語ってくれた。(文・山村祥子/デジタル編集・スクリーン編集部)
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中村倫也
1986年12月24日生まれ。東京都出身。2005年に俳優デビュー後、映画やドラマ、舞台で幅広く活躍。 近年の主な出演作に、映画『ハケンアニメ!』(2022)『ウェディング・ハイ』(2022)、『ファーストラヴ』(2021)、ドラマ「石子と羽男-そんなコトで訴えます?-」(2022)、「仮面ライダーBLACK SUN」(2022)、ミュージカル「ルードヴィヒ ~Beethoven The Piano~」(2022)、舞台「ケンジトシ」(2023)など。4月5日スタートの「ザ・バックヤード 知の迷宮の裏側探訪」(NHK Eテレ/毎週水曜)でナレーションを務める。

『宇宙人のあいつ』主演 中村倫也インタビュー

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──今回、主演を務めた『宇宙人のあいつ』のオファーがあった時はどのように思いましたか?

無名だった若手の頃からお世話になっている飯塚健監督の作品、しかも主演ということで、感慨深さもあり、身の引き締まる思いでした。人との関係において、時間や歴史はかけがえのないものだなと感じる年頃ですし。しっかり務めて、少しでも成長した姿を見せられたらな、と思っていました。

脚本を読んだ時は『攻めてるなぁ』と感じましたね。僕らの感じる“飯塚組らしさ”というものがあって、その匂いがムンムンする脚本だったので嬉しかったです。

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──演じられたのは人間のふりをして地球で暮らす土星人・日出男役。飯塚監督は中村さんのイメージから宇宙人という要素が出てきたのかも、と言われていました。

僕は昔から“何を考えているのか分からない”とか“テンポが他の人からちょっとずれてる”って思われてきた節があるんですよね。監督は自分のそういった部分をイメージして脚本を書かれたのかな、って思いました。

宇宙人の役ではあるんですけど、役作りをしたり『日出男はこういう人物で、こういう時はこう行動して…』といったことは考えず、地球で過ごした時間の設定や、脚本にある要素、あとは現場のノリで演じていました。

──日出男の家族、真田家の兄妹を演じたのはバナナマンの日村勇紀さん、伊藤沙莉さん、柄本時生さんです。

日村さんはプライベートでも一緒に遊ばせてもらって、とてもお世話になっているんです。僕、バナナマンのファンなんですよ。二十歳そこそこの頃、毎日のようにバナナマンのライブDVDを見ていた当時の自分からしたら、日村さんと共演なんてびっくりするだろうなと思います(笑)。

沙莉は、お互い若い頃から飯塚組の作品に出ていましたが、片やNHKの朝ドラのヒロインに決まって(24年前期の「虎に翼」)、片や年齢不詳のおじさん俳優になりました(笑)。時を経て集まって、また一緒に悪ふざけができるのは感慨深いものがありましたね。

時生も本当にいいやつで、俳優としてすごく安心感がありますよね。時生だけの独特なバランス感覚があって、オファーするクリエイターがたくさんいますから。そんな呼吸が分かっている三人だったので、最初にお話を聞いた時からみんなで演技している様子が想像できましたし、撮影に入るのがすごく楽しみでした。

──実際に撮影に入られて、四人のケミストリーを感じた瞬間はありましたか。

毎シーン、撮影していない時も感じていました。飯塚さんは現場で『こんなことやってみたらどう?』って、アイデアをポンって出す人なので、台本の印象とは少し違うシーンになることが多いんです。それが飯塚組の特徴でもあるんですが、そんな中でもみんな自然というか。何かを狙ったりすることなく、そこで演じて生まれたものを、みんなで面白がりながら育てていくような現場でしたね。

兄妹で一緒に朝食をとるシーンが何回かあるんですが、納豆をよそうのが下手っていう芝居を始めたら、みんながそれに乗っかってくれるようになって、日村さんに『早く終わらせろ』って納豆を奪われたり(笑)。日村さんとは一緒にツボにはまって、下を向いて笑っちゃうこともありました。

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──大好きな日村さんから、お芝居でどのような刺激を受けましたか。

言い方が難しいですが、日村さんは泣きの芝居もあったので、撮影を不安がられていたんです。でも僕は『絶対大丈夫』って思っていましたし、実際に一緒に演じてみて『やっぱり面白いな、さすがだな』って感じることが多かったです。

バナナマンの設楽さんが“猛獣づかい”と呼ばれていた時があったんですが、僕もそれに近い目線になっていたのかもしれません。『もっと日村さんの面白いところが出るように、ちょっかいを出したいな』って思いながら演じていました。バナナマンのファンで良かったな。

──日村さんは長男役ですが、現場でも皆さんをリードされていたのでしょうか。

うーん、僕は誰かが音頭を取る現場って経験したことがないんですよ。みんなプロで大人なので、自然とお互いに高め合っていく現場が多かったな。今回も誰かが特別にリードする必要はなかったです。みんな平和で、悪ふざけが好きないい人たちなので、本当にナチュラルな感じだったんですよね。

──みなさんが自然な形で一緒にシーンを作り上げる、素敵な現場ですね。

自分は毎回こんなテンションなんですが、それを許してくれて、受け入れてくれて、乗っかってくれる撮影現場や作風って、あまり多くないと思うんです。そういう部分も含めて、すごく伸び伸びとやらせてもらったなって思います。 現場で自然と生まれたものの面白さに、当人が気づいてなくても、他の人が気づいて拾ったり。その“自然”ができるかどうかは、カンパニーの呼吸次第なんですよね。

『宇宙人のあいつ』
2023年5月19日(金)公開
日本/2023/1時間27分/配給:ハピネットファントム・スタジオ
監督・脚本:飯塚健
出演:中村倫也、伊藤沙莉、日村勇紀、柄本時生、井上和香、設楽統、山里亮太 ほか

© 映画「宇宙人のあいつ」製作委員会

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