カバー画像:photo/稲澤朝博 hair&make/Emiy(エミー) styling/小林新(KOBAYASHI ARATA)(UM)
──真田家の室内は、鯉のぼりなどさまざまなグッズがあって独特ですね。
飯塚組らしいですよね。飯塚さんはゴチャゴチャしているのが好きなんですけど、その中でも“食卓にはこのセットを置く”とか、ちゃんと考えて決めてるんだろうな。想乃(伊藤沙莉)の化粧台は、実家っぽいなぁと思いましたね。各々の部屋があるわけではないので、いつの間にか居間のあの場所に居ついた…という感じが出ていました。
美術やカメラマンの皆さんにとっては、遊びがいとやりがいがある現場だったんじゃないかなと思います。想乃たちが釣ったウナギとか、人が上からぐるぐる回して『嘘だろ』というような撮り方をしたんですよ。動かしていた助監督の子は、“ウナギ師”って呼ばれていました(笑)。
──撮影は高知で行われたそうですが、ロケはいかがでしたか。
昨年の3月から4月に撮影したんですが、過ごしやすい気温だし、ごはんも美味しくて、仕事ということを忘れるぐらい居心地のいい現場でした。高知県も後援してくださって、至れり尽くせりだなぁと感じながら撮影していましたね。東京での仕事とは、心のリラックス度合いが全然違うんですよ。こんなにゆっくりした気持ちで撮影できるのは久しぶりだな、って思っていました。
──昨年10月から今年の3月までは、ステージのお仕事が続きました。
『ルードヴィヒ ~Beethoven The Piano~』は体力的にもすごく大変で、その後の『ケンジトシ』は伸び伸びとやらせてもらいました。いまお休みをもらえたら、ダラダラしたいなぁ(笑)。あとは旅行も、何年間も行ってないので行ってみたいですね。
──お休みが取れるといいですね。好きな映画についてもお聞きしたいのですが、読者に向けておすすめを教えていただけますか。
『セブン』(1995)『ショーシャンクの空に』(1994)『12モンキーズ』(1995)『インターステラー』(2014)『イージー・ライダー』(1969)も好きだなぁ。あと『スター・ウォーズ』も。(「マンダロリアン」が表紙の本誌5月号を見て)僕、ジャンゴ・フェットが好きなんですよね。
──中村さんが考える、良い俳優とはどのような人でしょうか。
嘘が巧い人ですかね。それはつまり、説得力がある人です。でも、要素は色々ありますからね。お客さんを集められる人が良い俳優っていう見方もあるし、歌えたり踊れたりする人、圧倒的なスター性がある人、作品の潤滑油になるような人も、良い俳優といえますし。
──では、どのような俳優や演技に心を動かされることが多いですか?
日本だと知り合いが多くなっちゃったのでピンとこなくて、海外の俳優ですね。『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004)のサイモン・ペッグ。あと『インターステラー』のマシュー・マコノヒーは印象的でしたね。メイキングを見たんですが、目の前にスクリーンを張って、映像を投影して宇宙空間を創り出して、その中で演技をしているんですよね。それも多分、ブルーバックでの芝居のレッスン受けてないとできないです。宇宙空間と異次元の世界を知らなくても、目の前に実像を浮かべながら、心を動かして芝居する……本当にすごいなって思いました。
『宇宙人のあいつ』2023年5月19日(金)公開
ひとつ屋根の下で暮らす、真田家の四兄妹。ごく普通の家族に見える彼らだが、次男・日出男の正体は、人間の生態調査のため土星からやってきた宇宙人。23年間、兄妹の一人になりすまして生きてきたのだった。
そんな日出男も、ついに土星に帰ることに。家族に動揺が走るなか、長女・想乃はDV彼氏との関係に悩み、三男・詩文は高校時代の同級生から嫌がらせを受けていた。
一方、出発の日が迫る日出男にはある悩みが。彼に課せられた最後の仕事、それは兄妹のひとりを土星に連れて帰ることだった。映画『ヒノマルソウル舞台裏の英雄たち〜』(2021)やドラマ「イロドリヒムラ」(2012)「REPLAY&DESTROY」(2015)の飯塚健が監督・脚本を担当。四兄妹の次男・日出男役を中村倫也、長男・夢二役を日村勇紀(バナナマン)、長女・想乃役を伊藤沙莉、三男・詩文役を柄本時生が演じる。
真田日出男(中村倫也)
真田家の次男として23年間過ごしてきたが、その正体は土星人。兄・夢二とともに焼肉店を営んでいる。超能力を使うことができ、真田家のWi-Fiにもなっている。 土星での名前はトロ・ピカル。
『宇宙人のあいつ』
2023年5月19日(金)公開
日本/2023/1時間27分/配給:ハピネットファントム・スタジオ
監督・脚本:飯塚健
出演:中村倫也、伊藤沙莉、日村勇紀、柄本時生、井上和香、設楽統、山里亮太 ほか
© 映画「宇宙人のあいつ」製作委員会