何をするにも1秒早いハジメと1秒遅いレイカ。ハジメが失った1日をハジメとレイカそれぞれの視点から描く。岡田将生と清原果耶がW主演を務める映画『1秒先の彼』はせっかちなハジメとのんびり屋・レイカのシンプルでピュアなラブストーリー。チェン・ユーシュン監督の台湾映画『1秒先の彼女』(2020)のリメイクです。『天然コケッコー』(2007)の山下敦弘監督が脚本家・宮藤官九郎と初タッグを組みました。公開を前に山下監督のインタビューを敢行。オリジナル版との違いやキャストについてなど、語っていただきました。(取材・文/ほりきみき)

京都ならちょっと不思議なことも起こり得るかも

──オリジナル版とは男女のキャラクター設定を反転させていますが、それはなぜでしょうか。また、京都を舞台に選んだ理由もお聞かせください。

キャスティングがなかなか決まらず、どうしようと話しているときに、男女反転というアイデアが出てきたのです。男女を反転させて考え始めたら、宮藤さんからすぐに岡田(将生)くんの名前が挙がりました。そこから、いろいろなことが一気に進み出した気がします。

舞台を京都したのは、この作品はファンタジーというか、不思議な話ですが、京都なら土地柄、ちょっと不思議なことも起こり得るかなと思えるのではないかと。ハジメも「京というのは洛中だけ。洛外は平安時代、獣が住んでおった」と言っていますしね(笑)。京都なら土地が持つ磁場みたいな魅力や雰囲気を活かせます。

京都弁も物語の雰囲気に合っていてよかったのですが、俳優部は大変そうでした。京都は独特で、大阪とも違いますからね。

画像: ハジメ(岡田将生)

ハジメ(岡田将生)

──男女反転が決まってからの脚本開発はスムーズに進みましたか。

設定を男女反転させてからは岡田くんをイメージしながら書けたからでしょうか、完成までが早かった気がします。

オリジナル版は台湾といっても片田舎ではなく、都市部が舞台の話ですから、物語を日本に移行するにあたって感覚のズレはなかったのですが、台湾の持つ空気感のままは作れない。京都という場所にシフトチェンジして、考え直したところはありましたが、その辺りはそんなに苦労はしませんでした。ただ、男女を反転させたことで、レイカにはできないことが出てきて、荒川良々さんが演じたキャラクターが生まれました。荒川さんの役どころは日本ならではです。

──伏線がみごとなくらいしっかり回収されていました。

宮藤さんはさすがプロですよね。俺は伏線回収が得意ではないので、こんなにきっちり回収できたのは初めてでした。ある種、A面、B面みたいな話なので、A面のシーンがB面に出てきたりする。その辺りも宮藤さんがちゃんと書いてくれていたので、シチュエーションとかを意識しながら撮影するのは大変でしたけれど、僕らはとにかく丁寧に拾っていけばよかったので何とかなりました。

──ハジメはオリジナル版の彼女よりもクセの強さが際立っています。演出でそのようにしたのでしょうか。

オリジナル版の彼女は人よりワンテンポ早くて、恋愛の機会に巡り合っていないだけ。性格的には問題ありません。ハジメはイケメンで自意識が高く、性格に難ありですよね。だから彼女ができない。しかもスピード狂です。

現場で演出したのではなく、脚本の段階からそうしていました。岡田くんは彫刻のようにきれいな顔立ちをしていますから、いろいろクセをつけないとバランスが取れないのです。郵便局にファンが来るくらい、見た目ではモテるけれど、恋愛関係になるとうまくいかない。入って来たばかりの同僚に交際を申し込まれてOKしたけれど、1カ月もしないうちに別れを切り出されたことからもわかります。

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