役に対して真面目な岡田将生と清原果耶
──ハジメを演じた岡田将生さんとは『天然コケッコー』(2007)以来ですね。
岡田くんとはこの16年くらい、一緒に仕事をする機会がなかったので、「お久しぶり」から始まり、お互いに16年の距離を縮めていきました。
今にして思えばデビューしたての時に『天然コケッコー』の広海は難しい役だったのに、俺はいろいろ注文しちゃったので、岡田くんは大変だったと思います。今回はまずは岡田くんが作ってきたものを見せてもらうという感じでした。
──レイカ役は清原果耶さんですが、キャスティングの決め手をお聞かせください。
清原さんは女優として、とても魅力的。オリジナルでは2人は同世代ですが、どうしても清原さんでいきたいと思い、留年している大学生に設定を変え、清原さんの出演が決まってから、レイカというキャラクターを作っていきました。
──岡田さん、清原さんの現場での様子について印象に残っていることはありますか。
2人とも役に対して真面目でしたね。
岡田くんは座長ということもあって、ハジメを演じながら、共演者に気を遣ってくれました。『天然コケッコー』のときとは別人のよう。あの頃は自分のことでいっぱいいっぱいだったと思いますが、この16年でかなりの経験を積んできたなというのを凄く感じました。
清原さんは考えつつも、まずは体でやるタイプ。芝居に対して正直なので、自分の中の違和感を胡麻化すことをしない。こちらも「今、無理をしているな」とわかるので、そうなったら脚本を変える。その結果、ファンタジーな話ではありますが、キャラクターにはリアリティが生まれました。
──監督が感じた岡田さん、清原さんの役者としての魅力はどんなところでしょう
岡田くんはクールでカッコいいのですが、可愛らしさも持っている。今回みたいなキャラクターにはそれがすごくハマって活かされます。宮藤さんはそれがよくわかっている気がしました。
清原さんは真っすぐに1本筋が通っている感じ。ピュアというひとことでは表現できない何かがある。ある種、男前で、それはご本人が持っている資質だと思いますが、すごくカッコいい。さっきご自身の中の違和感を胡麻化すことをしないといいましたが、そこをこちらが理解して演出するとより魅力的になると思いました。ただ、今回は設定だらけで、やらなきゃいけないことが多い。その中で彼女の正直な真っすぐなところをどこまで出してあげられるか。そこは難しかったですね。
本来、清原さんの方がワンテンポ早いキャラクターが合います。そんな彼女が一生懸命にワンテンポ遅いキャラクターを演じる。本当にワンテンポ遅いタイプの人が演じたら、苦労なくできたと思いますが、清原さんの1回捻じれている感じがかえって面白い。僕が予想していた着地点ではなくなりましたが、むしろ2人ならではのいいラストになった気がします。