密室殺人の容疑をかけられたIT企業社長が犯行を否認し、敏腕弁護士を雇って事件の真相を探り始める。映画『告白、あるいは完璧な弁護』はスペインでヒットした映画『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』(2017)を『マリン・ボーイ』で麻薬をめぐる裏社会の人々の攻防をスリル満点に描いたユン・ジョンソク監督がリメイクしたもの。緻密なプロットで描かれた予測不能な展開が観客を魅了し、本国では興行収入ランキング初登場第1位を記録しました。公開を前にユン・ジョンソク監督に取材を敢行。作品に対する思いやキャストへの演出について、語っていただきました。(取材・文/ほりきみき)

映画にとって季節と空間はとても大事

──監督オファーを受けたときの気持ちからお聞かせください。

僕は元々スリラーやサスペンスが大好きでしたが、そういった作品を撮ったことがなかったので、作り手として撮ってみたいという気持ちはあり、お話をうかがってとてもうれしかったことを覚えています。

この作品はラストに向かって、真実がどんどん浮かび上がってきますが、“どういう風にしたらもっと観客が面白がるのか”、“こうしたら観客はどう反応するか”といったことを僕も観客の1人になったつもりで想像しながら一つ一つ作り上げていくのが楽しかったです。

画像: 演技指導をするユン・ジョンソク監督(右端)

演技指導をするユン・ジョンソク監督(右端)

──本作はオリオル・パウロ監督の『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』(2017)のリメイクで、イタリアでも『インビジブル・ウィットネス 見えない目撃者』(2018)としてリメイクされています。オリジナル版をご覧になって、いかがでしたか。

オリジナルを見たときに完成度の高さに驚きました。ただ、この作品には法律用語がたくさん出てきますが、国が違うので、法制度が違う。これをどういう風に韓国の文化や状況に置き換えるか。この点には丁寧に取り組みました。

また、映画にとって季節と空間はとても大事なもの。この作品でも脚本の段階から、季節と空間を意識して作り上げていきました。

──季節と空間ではどんな点に重点を置かれたのでしょうか。

僕がこだわったのは、季節は冬。ロケーションとしては郊外で、誰も来ないような人里離れた場所で、雪があること。山荘というのは最初からほぼ決まっていて、外部とは連絡が取れない場所に2人だけでいることを念頭に置いて脚本を書きました。

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