この航海が終わったら、幼い孫とともに陸に上がり、晩年を過ごすことにした船長。船を譲り受け、次の航海からは自らが船長として航海に臨む一等航海士。2人の未来を不気味な存在が無残にも打ち砕く。映画『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』は謎めいた50個の無記名の木箱をロンドンまで運ぶためにチャーターされた商船デメテル号が辿った恐怖の顛末を描いています。これまでの長い航海を通じて、固い絆で結ばれた船長と一等航海士を演じたリーアム・カニンガムとデヴィッド・ダストマルチャンのインタビューが届きました。(構成&文・ほりきみき)

INTRODUCTION

『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』は、吸血鬼ものの定番となったブラム・ストーカーの原作小説「吸血鬼ドラキュラ」の中でも最も恐ろしいと言われる第七章をフィーチャーして映画化した作品。

ルーマニアのカルパチア地方から英国ロンドンまで、謎めいた50個の無記名の木箱を運ぶためにチャーターされた商船デメテル号。当初こそ順調に航海を進めていたが、ある日を境に、毎夜不可解な出来事に襲われ、乗組員たちは恐怖に駆られるようになる。それでも大航海を切り抜けようとするが、イギリス沖に到着したとき、デメテル号はすでに黒焦げの残骸と化しており、乗組員の痕跡は一切残されていなかった。残されていた日誌から辿るその真相とは――。

監督は『ジェーン・ドゥの解剖』や『スケアリーストーリーズ 怖い本』のアンドレ・ウーヴレダルが務め、主人公の医師クレメンス役は「24:レガシー」や『イン・ザ・ハイツ』のコーリー・ホーキンズ、不本意に密航者となるアナ役を『ナイチンゲール』のアシュリン・フランチオージが演じる。

今回インタビューが到着した、リーアム・カニンガム(『麦の穂を揺らす風』)はデメテル号の指揮を執るエリオット船長役、デヴィッド・ダストマルチャン(『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』)がデメテル号の一等航海士、ヴォイチェク役を演じている。

フルサイズの帆船を作ってデメテル号を撮影

──この映画は群像劇ホラーですね。

デヴィッド・ダストマルチャン(以下デヴィッド):その通りアンサンブルだよ。集団を描いた映画なので、ダイナミックなシーンはどれもお気に入りなんだ。一番好きなシーンは吸血鬼と対決するシーン。あのシーンは撮り方や僕らの関わり方、その他もろもろ、今までやったことのないものだった。この作品を観た人たちがどんな反応をするか楽しみだよ。

画像: ヴォイチェク(デヴィッド・ダストマルチャン)

ヴォイチェク(デヴィッド・ダストマルチャン)

リーアム・カニンガム(以下リーアム):CGを最小限に抑えるために、あの素晴らしいモンスター俳優ハビエル・ボテットが、ギア(コスチュームとメイク)をつけて実際に演じてくれたからモンスターを想像する必要がなく、役者としてはとてもありがたかったね。他のことに集中できたよ。でもハビエルはギアを身にまとっていたから、かなり大変そうだったな。

画像: エリオット船長(リーアム・カニンガム)

エリオット船長(リーアム・カニンガム)

アンブリン・パートナーズから多額の投資があったから、船の中のセットだけでなく、フルサイズの帆船を作ったんだ。そのような環境で仕事ができるのは、俳優にとって本当に素晴らしいことだよ。

──船の乗組員の視点から語られることが最重要だと監督が言っていましたが、キャラクター作りで意識したことはありましたか。

リーアム:デヴィッドは先ほどアンサンブルという言葉を使ったが、その通りだよ。僕らの多くは舞台出身だから、この映画にはいわゆる大物俳優や映画スターがいなくて、本当によかった。お互いに気兼ねなく、自分のことを語り、一緒に遊んだり食事をしたりして絆を深めたんだ。作品の夕食シーンにそれが滲み出ている思う。

デヴィッド:僕が演じたヴォイチェクは年中、船で生活していて、船から出ない。クルーが家族であり、リーアムが演じる船長が父親であり、師であり、人生で必要としていたすべてのものという存在だった。ヴォイチェクが乗組員に対して感じている愛情は、彼が世界で得たすべてなんだ。僕たちキャストの絆もとても強くなっていたから、彼らが脅威にさらされ始めたとき、危機感が高まったという実感が湧いたよ。

画像: フルサイズの帆船を作ってデメテル号を撮影

──原作であるブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」第七章が映画化されましたが、お読みになられましたか。

デヴィッド:この本は若い頃に初めて読んで、直ぐに大好きな小説のひとつになったよ。それから何度か読んだことがあるけれど、『ジョーズ』のような物語だね。もしくは19世紀の『エイリアン』といった感じかな。とても恐ろしいけれど魅力的でもある。だから、この小説を映画やテレビで映像化するなら、どのようになるか、ずっと気になっていたんだ。

映画化されると知ったときは、何とかしてこの作品に参加したいと思って、あの手この手で奮闘したよ。

リーアム:僕は普段あまり本を読まないから、この本もまったく読んでいなかったんだ。私の自宅から1キロほど離れたところにブラム・ストーカーの生家があって、その前を毎日のように通っているのにね(笑)。

でも、この物語を読むとブラム・ストーカーがいかに賢明であったかがよくわかる。読んだ人が頭の中に作り上げる怪物は、本に書かれている怪物よりもずっと恐ろしいものだ。彼は信じられないほど巧妙に、そのパラノイア、未知なるものへの恐怖をこの慈悲なきキャラクターに与えたんだ。

デヴィッドは私よりずっと早くそれに気づいていたはずだから、彼には今更のように聞こえるだろうけど、この物語は映画化されるべきだと思った。だから、監督と初めて顔を合わせてから5分後にはエージェントに電話して、「参加する」と言ったんだ。頭を悩ませることはまったくなかったよ。製作陣は20年前からこの物語を映画化しようとしていたのだけれど、いろいろな理由で挫折し続けていたことは出演が決まってから知ったんだ。

映画『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』2023年9月8日(金)全国公開

画像: 映画『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』日本版予告編<9月8日(金)公開> www.youtube.com

映画『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』日本版予告編<9月8日(金)公開>

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<STORY>
突然襲ってきた深夜の大嵐。英国ホイットビーの海岸に、焼け焦げた船体と引き裂かれた帆、無残な姿となった難破船が大波によって漂着した。乗組員の痕跡はどこにもない…。沿岸警備隊はその残骸から、船長の航海日誌(キャプテンズ・ログ)を発見。そこには、「これは記録であり、警告である。神はデメテル号を見捨てた…」とあり、ルーマニアからブルガリア・ヴェルナへ入港し、謎めいた50個の無記名の木箱を積んだ後、英国へ向け大海に出たデメテル号に起きた、およそ一ケ月におよぶ不可解な出来事が記されていた。デメテル号は破滅へと向かう航海に出たのだった。

原作:ブラム・ストーカー「吸血鬼ドラキュラ」(角川文庫)
製作:ブラッドリー・J・フィッシャー、マイク・メダヴォイ、アーノルド・メッサー
監督:アンドレ・ウーヴレダル
脚本:ブラギ・シャットJr.、ザック・オルケウィッツ
撮影監督:トム・スターン
音楽:ベアー・マクレアリー
出演:コーリー・ホーキンズ、リーアム・カニンガム、デヴィッド・ダストマルチャン、アシュリン・フランチオージ、ハビエル・ボテット、ウディ・ノーマン
2023年/119分/PG12/アメリカ
原題:The Last Voyage of the Demeter
配給:東宝東和
© 2023 Universal Studios and Amblin Entertainment. All Rights Reserved.
公式サイト:https://www.universalpictures.jp/micro/dracula-demeter

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