日本政府は海上自衛隊の潜水艦沈没事故を偽装し、乗組員たちをアメリカと一緒に極秘建造した高性能原子力潜水艦「シーバット」に乗艦させた。しかし艦長の海江田四郎を始めとする乗組員たちは政府の思惑とは違う行動に出る。映画『沈黙の艦隊』はかわぐちかいじによる同名人気コミックの映画化。主演の大沢たかおがプロデュースも手掛けている。中村蒼は大沢が演じる海江田の右腕ともいえる副長・山中栄治を演じた。公開を機にインタビューを敢行。中村の作品に対する思いを聞いた。(取材・文/ほりきみき)

乗組員たちは相当な覚悟の上でシーバットに乗艦

──出演が決まったときのお気持ちをお聞かせください。

すごく大きなプロジェクトですし、主演が大沢たかおさんと聞いて、ぜひやらせていただきたいと思いました。

原作も読みましたが、とても壮大な話で、登場人物たちのエネルギーがものすごい。これを実写化するというのはかなり大きな挑戦です。自分も登場人物の1人として力になりたいと思いました。

──脚本をお読みになっていかがでしたか。

シーバットの乗組員たちは世間的には亡くなっています。色々なものを地上に置いてきて、相当な覚悟の上で乗っている人たちで、たつなみのように和気藹々とした人間らしい会話がほとんどありません。

数ヶ月海中にいるのは結構なメンタルが必要と現役の乗組員の方に聞きました。山中には副長として乗組員たちのメンタルをサポートする役割もあります。少ないながらも山中が乗組員たちを気遣うセリフに彼の優しさを感じて、そういうものを少しでも伝えられたらと思いました。

──自衛隊の方々に話を聞かれたのですね。

撮影に入る前に、実際の潜水艦の中を見せていただき、自衛隊の方々からお話をうかがいました。いわゆる僕たちが想像する潜水艦ではあるのですが、通路は1人しか通れないほど狭かったです。映画でもたつなみはまさにそんな感じですよね。でも、シーバットはすごく広いんです。現実的というよりも近未来のSF的な潜水艦なのだと思います。

潜水艦に乗っているときはずっとピリピリした緊張感があるのかと思っていましたが、数ヶ月も密閉された空間にいるので、乗組員の方々とは互いに家族のように接しているとのことでした。もちろん上下関係はありますが、どちらかといえば、上の人が下の人の目線まで下りてきてくれるような環境だそうです。シーバットにそれがあるかというと難しいところではありますが、実際に潜水艦に乗っている方々の世界を知ることができてよかったです。

──自衛隊の方々に所作を教えてもらったと聞きました。

自衛隊での挨拶は敬礼だと思っていましたが、違ったのです。もちろん敬礼もしますが、それは制服を着て、帽子を被っているときだけ。山中は基本的に作業服装ですが、服装に応じた挨拶があるのです。

後ろで手を組んで立っているときも正しい手の組み方があり、右手の4本を左手で掴みます。そういったことも教えていただいたので、撮影のときに活かしています。注意してご覧いただければと思います。

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