日本政府は海上自衛隊の潜水艦沈没事故を偽装し、乗組員たちをアメリカと一緒に極秘建造した高性能原子力潜水艦「シーバット」に乗艦させた。しかし艦長の海江田四郎を始めとする乗組員たちは政府の思惑とは違う行動に出る。映画『沈黙の艦隊』はかわぐちかいじによる同名人気コミックの映画化。主演の大沢たかおがプロデュースも手掛けている。中村蒼は大沢が演じる海江田の右腕ともいえる副長・山中栄治を演じた。公開を機にインタビューを敢行。中村の作品に対する思いを聞いた。(取材・文/ほりきみき)

山中は多くを語らない海江田と乗組員を繋ぐパイプのような存在

──山中は主人公の海江田四郎の右腕ともいえる存在ですね。

自分が右腕になれるだろうかと思いましたが、うれしかったですし、とても光栄です。

山中は最初から海江田とそのような関係性で、なぜそのようになったのか、原作にも描かれていません。過去がわからず、完成しているところからのスタートで演じるのが難しかったのですが、海江田が多くを言わなくても、それを汲み取れるくらいの強い信頼関係があるんだろうなと思いながら演じていました。

また、山中は乗組員を気遣う優しさがあり、副長ですからスキルも持っています。監督から「多くを語らない海江田と乗組員を繋ぐパイプのような存在」と言われたので、そういうことも意識していました。

──ほとんどが潜水艦の中のシーンで、山中は海江田同様、立ったままでほとんど動きがなかったかと思います。それで表現するのは難しかったのではありませんか。

確かに座ったことがなかったかもしれません。動き回ることもなかったです。ですからたまに、海江田に指示を仰ぐために寄って行くとか、状況を知るために乗組員たちに寄って行くところなどは相手に寄ってお芝居をしてみたりしました。しかし、監督から「その場所でお願いします」と言われてしまって(笑)。シーバットは動かないところに不気味感というか、謎の軍団感があるんだと思いました。

──「入江、怪我はないか」と声を掛けるシーンのことでしょうか。

はい、そのシーンです。入江の近くに寄って話しかけてみたのですが,監督から「その場所から動かず、口数は少なくないけれど、すごく優しい部活の先輩みたいな感じで」と言われました。

入江はお兄さんのことがあり、深町寄りになってもおかしくない人間です。描かれていませんが、最初のころは海江田のことをちゃんと理解できず、疑う気持ちもあったでしょう。しかし、部下として任務をこなしていくうちに、お兄さんが尊敬していた海江田の偉大さを知っていったのだと思います。そういうこともすべて知った上で、山中がフォローする。山中の視野広さというか、彼もまた器の大きな人間なんだろうなと思いました。

──「毎日現場に入る時にセットの凄さを感じました」とコメントされていますが、具体的にどんなところに凄さを感じられましたか。

セットの奥にシーバットのモニターの画面を作る美術チームがいて、撮影しているときに機材をたくさん使って、シーンの状況に合わせたモニターの画面を細やかに作り上げてくださいました。

この作品に限りませんが、映画は多くの人の力でできています。それを目の当たりにした気がして、すごいなと思いました。

──それは後からCGではめ込んでいるのかと思っていました。

海江田の前にある海図はシーバットではモニターになっているのですが、実際にタッチすると反応したりして、最先端の技術が使われているのを感じました。

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