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初タッグ作から厚い信頼で結ばれる
デンゼル・ワシントン&アントワーン・フークア監督
この2人の初タッグは、お互いにとって“転機”となったのではないか。2人が初めて組んだ『トレーニング デイ』(2001)当時、アントワーン・フークア監督は、これが長編3作目の新人監督。デンゼル・ワシントンは、すでに『グローリー』(1989)でアカデミー賞助演男優賞を受賞済みのベテラン演技派。
しかし、このタッグは、フークア監督に大作映画への道を拓き、それまで正義を守る善人役の多かったワシントンには、初めての“悪役”という新境地を開拓させ、彼に初のアカデミー賞主演男優賞をもたらした。
その後はそれぞれの道を行った2人が、13年ぶりに再タッグを組んだのが、『イコライザー』(2014)。それまで多彩な役を演じていたワシントンは、本作で正統派の正義漢役に復帰。引退しひっそりと暮らしていた、凄腕の元CIAエージェントが、少女娼婦のために立ち上がる。
この映画が大ヒットして、2人はオールスター西部劇『マグニフィセント・セブン』(2016)でタッグ。さらにコンビは『イコライザー2』(2018)、『イコライザー THE FINAL』(2023)へと続いている。
そんな2人が、初タッグ作から信頼で結ばれていたことを、監督が「ハリウッド・リポーター」紙の取材で証言。
新人監督だった彼は、撮影したものがワシントンの満足するものになっているか心配で、彼にモニターを見たいかと尋ねたが、彼は「この飛行機を操縦しているのは君だ」と言ってモニターを見ずに立ち去ったそう。
監督はワシントンの信頼を痛感し、それからは自信を持って撮影できたという。この信頼関係が、現在も2人を結びつけているに違いない。
これまでに二人が組んだ作品
- 『トレーニング デイ』(2001)
- 『イコライザー』(2014)
- 『マグニフィセント・セブン』(2016)
- 『イコライザー2』(2018)
- 『イコライザー THE FINAL』(2023)
代表作はコレ!『トレーニング デイ』
ロサンゼルスの麻薬取締課。イーサン・ホーク演じる新人刑事が、ワシントン扮するやり手のベテラン刑事とコンビを組むことに。彼は一緒に行動しつつ、ベテラン刑事が違法な行為をしていることに戸惑うが、彼自身も危険な状況に巻き込まれていく。
ワシントンは、フークア監督の処女作『リプレイスメント・キラー』(1998)を見て「この監督は銃撃が撮れる。私は演技が出来る。いい組合わせだ」と感じて本作に出演したと語っている。
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お互いのデビュー作からクライム映画で本領を発揮
ジェイソン・ステイサム&ガイ・リッチー監督
ガイ・リッチー監督は、久々のクライム映画『ジェントルメン』(2019)で、英国流の粋さとクールなユーモア感覚を炸裂させたが、この魅力は彼が初監督した英国映画『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998)にも在った。
この映画で俳優デビューしたのが、ジェイソン・ステイサム。彼はBBCの取材で「ガイ・リッチーには感謝してる。俺が通りで香水や宝石を売っていたら、映画に出演しないかと言ってきて、人生を変えてくれたんだ」と発言。この2人は最初から、クライム映画で本領を発揮していた。
この処女作がハリウッドに注目され、同じくロンドンの犯罪世界を描いた第2作『スナッチ』(2000)にはブラッド・ピットが出演したが、語り部役はステイサム。次のクライム映画となった『リボルバー』(2005)には、ステイサムが主演した。
その後、リッチー監督は「シャーロック・ホームズ」(2009)シリーズや『アラジン』(2019)の人気監督になり、ステイサムは『トランスポーター』(2002)でブレイク、「エクスペンダブルズ」や「ワイルド・スピード」など人気シリーズの常連になるが、16年ぶりに久々にタッグを組んだ映画『キャッシュトラック』(2021)は、やはりクライム映画。
これが気に入ったのだろう、続く『オペレーション・フォーチュン』(2023)でも組んでいる。2人の相性の良さを証明するのが、リッチー監督のこの発言。「ステイサムはいつも不機嫌そうな顔をしてる。なのに私はなぜか彼のそういう顔を見てもイラつかないんだ」と言うが、これもジョーク?
これまでに二人が組んだ作品
- 『ロック、ストック&トゥー・ スモーキング・バレルズ』(1998)
- 『スナッチ』(2000)
- 『リボルバー』(2005)
- 『キャッシュトラック』(2021)
- 『オペレーション・フォーチュン』(2023)
代表作はコレ! 『ロック、ストック&トゥー・ スモーキング・バレルズ』
ガイ・リッチーが監督・脚本、クールでスタイリッシュなクライム映画。ロンドンの下町で暮らす無職のエディは、一攫千金を狙い、仲間3人から金を集めてポーカーで賭けるが失敗。借金を返すため、仲間たちと強盗を計画する。
ステイサムは、4人組の1人で、盗品などを売って小金を稼いでいる露天商役。4人組の別の1人は、後に『ロケットマン』(2019)の監督になるデクスター・フレッチャーが演じている。
※『オペレーション・フォーチュン』公開を記念して『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』が10月6日(金)より全国劇場にてリバイバル上映決定。Filmarks配給。
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