注目ポイント
独自の世界“ニューアジア”を創造
映画の舞台となる“ニューアジア”は、アジアの風景が原型の、伝統と自然と進化したテクノロジーが共存する独自の世界。監督のこだわりにより、この世界はCGI製ではなく、実際にタイ、ベトナム、カンボジア、ネパール、日本、インドネシアなどで風景を撮影し、それをVFXで加工して創り上げたもの。
監督は本作のため、高感度で軽量のカメラシステムを開発。夜でも月光だけで撮影でき、手持ちで動けるカメラで撮影を行った。
名作たちからのインスピレーション
監督の発言によれば、本作の世界構築のインスピレーションとなった作品は、コッポラ監督の『地獄の黙示録』(1979)とその原作小説であるジョセフ・コンラッドの「闇の奥」、世界中の風景をコラージュした映画『バラカ』(1993)や『ブレードランナー』(1982)『AKIRA』(1988)「子連れ狼」。
主人公とAI少女の関係には『レインマン』(1988)『E.T.』(1982)『ペーパー・ムーン』(1973)、スティーヴン・フリアーズ監督が殺し屋コンビと少女の旅を描く『殺し屋たちの挽歌』(1984)を上げている。
ハンス・ジマーら豪華“クリエイター”集結!
撮影は、監督と『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』でも組んだグレイグ・フレイザー。彼は『THE BATMAN -ザ・バットマン-』(2022)も担当、『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021)でオスカー撮影賞を受賞した名手。
音楽は『DUNE~』『ダンケルク』(2017)『グラディエーター』(2000)などで知られる名匠ハンス・ジマー。監督は「超大作と芸術映画の間で微妙なバランスをとるなら、ハンス・ジマーの右に出る者はいない」と絶賛。
【インタビュー】日本からも大きな影響を? ギャレス・エドワーズ監督
プロフィール
1975年、イギリス・ウォリックシャー州ヌニートン生れ。キャリア初期の10年間は視覚効果アーティストとして活動。監督・脚本・撮影そして視覚効果を手掛けた初長編監督作『モンスターズ / 地球外生命体』(2010)でブレイク。
その後『GODZILLA ゴジラ』(2014)、 『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)と人気シリーズを手掛け大成功に導いた。
“日本の人々にメッセージがあるとすれば、 主に『サンキュー』だよ”
─予告編では日本らしき場所が映し出されていますね。
コロナ禍の関係で、映画の大部分をタイで撮影した。その後、ネパール、インドネシア、ベトナム、カンボジア、日本で撮影したんだ。2022年の6月だったと思う。主に東京に行ったよ。
楽しかったのは、どの通りも封鎖しないで撮影したことだね。人々に僕たちのSFの服を着てもらって、ただ通りに出てシーンを撮影したんだ。
─日本の文化も映画に取り入れたんですか?
プロダクション・デザイナーには、僕たちが描く未来は、多くの映画で描かれているようなものにはしたくないと言った。1980年代や1990年代、僕たちが子供の頃に想像していた未来に近いものにしたいということだね。
AppleやMacがテクノロジー戦争に勝たず、ソニーのウォークマンが勝利したと想像するのが手っ取り早い方法だった。だから、この映画のすべてのデザインは、1980年代から1990年代初頭のソニー製品や任天堂製品に基づいているんだ。
多くのロボットや乗り物は、ソニーのデザインにとてもインスパイアされているよ。それと、この映画のデザインに大きな影響を与えたのは『AKIRA』だと思う。『子連れ狼』もそうだね。
─この映画を楽しみにしている日本のファンにメッセージをいただけますか?
日本の人々にメッセージがあるとすれば、主に「サンキュー」だよ。僕は日本が大好きなんだ。日本には変わってほしくない。
変な言い方だけど、物事がグローバル化するにつれて、みんながお互いの文化をより融合し始める。そして、僕は、日本が長い間、独自の個性を保ってきたという事実が大好きなんだ。
僕は、東京がイギリスやアメリカのようになっていくのが毎回怖いんだ。あなたたちがとても違うのは素晴らしいことなんだ。そのままでいてね!
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『ザ・クリエイター/創造者』
全国公開中
2023/アメリカ/配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
監督:ギャレス・エドワーズ
出演:ジョン・デヴィッド・ ワシントン、渡辺謙、ジェンマ・チャン、アリソン・ ジャネイ、マデリン・ユナ・ヴォイルズ
© 2023 20th Century Studios