かつて「狛江の狂犬」と恐れられていた伝説の超不良・井口達也が少年院を出所後、千葉で叔母夫婦が営む焼肉屋で働きながら、新たな生活をスタートさせた。ところが暴走族「斬人」の副総長・安倍要と強い絆で結ばれたことから、激しい抗争に巻き込まれてしまう。映画『OUT』は品川ヒロシ監督の中学時代からの親友・井口達也の破天荒な人生を仲間たちとの絆を通して描く実録青春ムービーである。井口から熱望されて映画化した監督に、作品への思いや脚本開発の苦労、こだわりのアクションについて語ってもらった。(取材・文/ほりきみき)

目でお客さんに伝える倉悠貴の芝居

──主人公の井口達也を倉悠貴さんが演じています。いかがでしたか。

達也を描いた作品には映画版『ドロップ』とドラマ版「ドロップ」(2023/WOWOW)がありますが、どちらの達也も荒くれ者です。何も考えずに殴ってしまうキャラクターでしたが、おじちゃんとおばちゃんのためにケンカを止めなくてはならない。でも友だちが危険な目に遭っているのを放っておけないという心の葛藤や千紘に何か言われたときの受けの気持ちを倉は全部、目でお客さんに伝える芝居をしてくれました。特に、おじちゃん、おばちゃんの営む焼肉屋「三塁」が破壊された直後の倉はよかったです。あの目、あの表情はなかなか出せません。倉のセンシティブな芝居が活きています。最近の若い俳優の中でも突出している存在だと思います。

画像: 井口達也(倉悠貴)

井口達也(倉悠貴)

──達也を演じてもらうに辺り、事前にどんな会話を交わされましたか。

全員が達也を喧嘩させようとしますが、達也はそれに耐え続け、最後の最後に爆発する。そこに向かって耐える話だと伝えました。

──倉さんが演じるのに苦戦していたところはありましたか。

体作りとアクションだと思います。格闘技の経験がまったくなかった倉を毎日ジムに連れていき、肉体的にも時間的にもかなり高度なことをやってもらいましたから、悲鳴を上げていましたね(笑)。手足の細かい動きまで指示を出したから大変だったと思います。ただ、それは倉だけでなく、水上(恒司)や(醍醐)虎汰朗もそう。クランクイン前に一緒にジムに行きました。

アクション練習はJO1の3人や久遠、小柳くんを含めた主要キャスト全員でやりました。

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