ポール・キング監督。今回、本作のプロモーションのために来日したポール監督のインタビューが実現。優しくて大らかな雰囲気を放ちながら、リラックスした表情でティモシー・シャラメの魅力や撮影秘話などをたっぷりと語ってくれた。(取材・文/奥村百恵)
ティモシーの歌声に僕のハートが溶けたんです(笑)
ーーウィリー・ウォンカ役のティモシー・シャラメさんは、本作で歌やダンス、コミカルなシーンなどに挑戦していて、俳優としての新たな魅力を発揮されていました。ティモシーさんとご一緒されてみていかがでしたか?
「近年は『パディントン』でクマばかり演出していたので、“やっと人間の主役を演出できる!”と思ったら嬉しかったですね(笑)。というのは冗談ですが(笑)、今回、彼はミュージカルシーンが多い映画に初挑戦しましたが、高いスキルが求められる歌やダンスを難なくこなし、さらにウォンカのキャラクターを丁寧に作り上げてくれました。ティモシーは、若い世代で活躍している人の中でもトップクラスの俳優なんじゃないかなと思います。それぐらい素晴らしいお芝居を見せてくれました。完成した本作を観た時なんかは、ウォンカが「ピュア・イマジネーション」を歌うシーンで、ティモシーの歌声に僕のハートが溶けたんです(笑)。本当に素敵でした」
ーーウォンカという役に関して、彼はどのように向き合っていましたか?
「こちらが何も言わなくても、彼は自分でウォンカの心理を深く理解する努力をしていました。コミカルなシーンをお茶目に演じながらも、ウォンカがどんな人生を送ってきて、どういう心根を持っているのかを想像し、丁寧に汲み取って演じていたのが印象的でしたね」
ーー現場でシーンごとにティモシーさんと打ち合わせをするといったことはありましたか?
「カットをかけたあと、彼は僕と一緒にモニターの前に座って撮ったシーンをチェックするのですが、『今のテイクは○○だったね』とか『次のテイクはこんな感じでやってみよう』といったことを話しながら、より良いシーンにするためのコミュニケーションを取っていました。でも、彼は自分のことを客観視できるとてもスマートな人なので、テイクごとにどこが効果的でどこがダメなのかをちゃんとわかっているんですよね。なので“ティモシーは生まれながらに芝居のセンスを持っている人なんだな”と思いましたし、感心することばかりでした」
ーーウォンカが魅力的なのはもちろんですが、他にもユニークなキャラクターが登場します。監督はウォンカ以外でお気に入りのキャラクターを選ぶとしたら誰にしますか?
「ウンパルンパが好きです! なんていうか…ちょっとイタズラ心があって面白いじゃないですか。そこが魅力ですよね(笑)」
ーー最初に予告編を観た時に、ダンディーなイメージのヒュー・グラントさんがオレンジ色のウンパルンパを演じていてすごく驚きました(笑)。
「確かに何も知らずに観たらびっくりしちゃいますよね(笑)。あれはCGでオレンジ色の肌にしているのですが、CGアニメーターの技術力が高かったために“CGには見えない”と言う声も多いんです。『実際にヒューは肌にオレンジ色を塗ったの?』って思うぐらい自然に見えますよね。でも、リアルに見えれば見えるほど、CGアニメーターの方々は歯痒い思いをしているかもしれません(笑)」