ポール・キング監督。今回、本作のプロモーションのために来日したポール監督のインタビューが実現。優しくて大らかな雰囲気を放ちながら、リラックスした表情でティモシー・シャラメの魅力や撮影秘話などをたっぷりと語ってくれた。(取材・文/奥村百恵)
(撮影監督チョン・ジョンフンは)パッと人の目を引くような情景を作るのがうまいんです
ーー技術といえば、今回あらゆる有名作品で活躍されているスタッフをたくさん起用されていると感じました。監督と共同で脚本を書かれたサイモン・ファーナビーさんは『パディントン』や本作にも出演している俳優ですし、音楽を担当したジョビー・タルボットさんは『SING /シング』シリーズなどの音楽も手がけています。中でも気になったのが、パク・チャヌク監督とよくタッグを組まれている撮影のチョン・ジョンフンさんが本作の撮影監督を務めていることです。なぜ、今回ポール監督の作品に参加することになったのか経緯が気になりまして。
「確かに、『オールド・ボーイ』と本作には全く共通点がないので、チョン・ジョンフンさんが撮影監督を務めたことを不思議に思う方は多いかもしれませんね。なぜ今回彼を起用したのかと言いますと、パク・チャヌク監督作品を観てもわかる通り、チョンさんは並はずれたセンスの持ち主で、パッと人の目を引くような情景を作るのがうまいんです。それで、スタッフのキャスティングをする際に、ファンタジー作品でもある『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』を“絵本を読んでいるような少しオーバーな世界観で撮れる人”がいいなと思っていたところ、チョンさんがピッタリなじゃないかと、そんな風に思ったんですよね。それで参加していただいたのですが、素晴らしい仕事をしてくれました」
ーーかなりこだわりの強い撮影スタイルだったのではありませんか?
「レンズの選び方からライティングの組み立て方など、全てに彼のセンスが光っていたので、相当こだわりを持って仕事をされていたと思います。彼のような人とこれまで組んだことはなかったかもしれないと思えるほど見事でしたね。そういえば、チョンさんはとっても面白い方で、現場でもよく笑わせてくれたんですよ。例えば、すごく美しいシーンが撮れたのに、たまに『今のだと面白くないな…』と言って面白いエッセンスを入れたがるんです(笑)。もちろん作品の世界観を大事にしながらですけどね。そんな彼との仕事は楽しかったです」
ーーパク・チャヌク監督の作品のイメージが強いせいか、ちょっと意外ですね(笑)。
「もしかしたらパク・チャヌク監督もユーモア溢れる方かもしれませんよね。とはいえ、パク・チャヌク監督が子供向けの映画を作ったという情報が出たらちょっとびっくりしてしまうかもしれません(笑)」