150の国と地域で公開された『メアリと魔女の花』で鮮烈なデビューを飾ったスタジオポノックがイギリスの詩人・作家の A.Fハロルドの「The Imaginary」を原作とした長編アニメーションを制作した。『屋根裏のラジャー』である。想像から生まれたイマジナリたちによる人間には決して見えない大冒険を描いている。主人公のラジャーを演じた寺田心さんに役への思いや今後について話を聞いた。(取材・文/ほりきみき)

ラジャーの成長と自分の声の変化が重なり合う

──声変わりの時期に入ってしまわないように、先に音声を収録し、その音声に合わせて映像や絵を作るプレスコという手法を取られたそうですね。何もない中で音声だけ収録されたのでしょうか。

全く何もないわけではなく、ラフ画が動くのを見ながら収録しました。とはいえ想像力が必要で、それが追いつかない部分は西村さんや百瀬監督にいろいろお話をしていただきました。お二人とも想像力が計り知れなくて、僕にとっては正解の書かれた教科書のような存在でした。

画像2: 寺田心

寺田心

──前半はアマンダとの関係性が描かれ、後半はエミリやジンザンに助けられながらの奮闘が描かれています。演じる上で変化をつけましたか。

演技を変えるというよりも、ラジャーがその場で感じたことを僕が感じたまま表現することを心掛けました。初めのうちはラジャーを僕の中に落としていくのがすごく大変でしたが、後半になってくるとラジャーに僕自身が馴染んできたというか、ラジャーと一緒に成長していった気がします。声も収録が終わるころに少し変わり始めていて、奇跡というかすごいタイミングでラジャーの成長と僕の声の変化が重なり合っていました。

──収録が終わったときのことを覚えていますか。

ほっとした気持ちもありましたが、ラジャーを演じることで経験した想像の冒険が終わってしまったことが少し寂しくもありました。でも、ラジャーはきっと僕に何かを残してくれたはずですし、僕の中で生き続けていると思っています。

──完成した作品をご覧になっていかがでしたか。

イマジナリの世界が1つ1つ本当に細やかで、想像していた以上に美しい映像でした。しかも僕以外の役はどなたが声を当てているのか、すぐにわからないほど、役と声が一心同体になっていて、キャラクターが活き活きとしているんです。

ラジャーに関しては「まだ声が高かったなぁ」と懐かしくなりました。声変わりをしたことで新たな自分が見えてきましたが、声変わりするギリギリのタイミングで収録していただけたのは僕にとってもとても貴重なことでした。

──寺田さんにとっての推しキャラクターはどなたでしょうか。

僕の推しキャラはミスター・バンティングです。バンティングは正義ではありませんが、すべて悪というわけでもない。バンティングにもバンティングの人生があり、バンティングのセリフは心に何かが残る。それは想像の世界だけで収まる内容ではありません。現実にも通用する言葉が多く、考えさせられるのです。しかもバンティングをイッセー尾形さんがされることで、説得力がさらに増しています。これはご覧いただかないと伝わらないので、ぜひ、この不思議な感覚を体験していただきたいです。

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