長い下積み時代を経て『ロッキー』で一躍世界的スターになり、『ランボー』などでトップ・スターとして一時代を築いたシルヴェスター・スタローン。その後も長い間、キャリアを積み重ね、「エクスペンダブルズ」シリーズなど近年まで第一線で活躍を続けています。やはりアクション映画出演が多い印象の彼ですが、その映画人生を主なキャラクターで振り返ってみると、スタローンが様々な役を演じて分けてきたことがわかります。(文・田中雄二/デジタル編集・スクリーン編集部)
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1990年代ハリウッドで最も報酬の高い俳優に

1990年代は、『ロッキー5/最後のドラマ』(1990)が不調で、不慣れなコメディに挑んだ『オスカー』(1991)と『刑事ジョー ママにお手あげ』(1992)も失敗。

シルヴェスター・スタローンが演じた情熱たぎる男たち
ジョー・ボモウスキー(『刑事ジョー ママにお手あげ』)

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アクション俳優のイメージが強かったスタローンのコミカルな面を強調した作品で、普段は周囲から尊敬される刑事ジョーが実はマザコンだった、という設定で、ちょっと情けない姿も見せてくれる。スタローンの人間的な面が見られて驚きつつも和んだという声も。

だが、山岳救助隊員を演じた『クリフハンガー』(1993)、未来の刑事を演じた『デモリションマン』(1993)、特殊工作員を演じた『スペシャリスト』(1994)、元緊急医療班の隊長を演じた『デイライト』(1996)といった超人的な活躍を見せるアクション映画で見事に盛り返す。

その結果、スタローンは1980年代中盤から1990年代後半にかけてハリウッドで最も報酬の高い俳優となり、興行的にも成功した数多くのアクション映画に主演したが、批評家からは評価されなかった。

シルヴェスター・スタローンが演じた情熱たぎる男たち
ゲイブ・ウォーカー(『クリフハンガー』)

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ロッキー山脈で救助隊員を務めているゲイブを演じるスタローン。不幸な出来事のため一時職を退いていた彼が、武装強盗団に騙され、一味が雪の山脈中に落としてしまった現金入りのケースを探索させられる。だがゲイブは単なるクライマーではなかった…。

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ジョン・スパルタン(『デモリションマン』)

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元々20世紀に生きる優秀なロスの刑事だったが、業務上過失致死罪で70年の冷凍刑に処されたジョン。2032年、急に解凍された彼は、同じ時に冷凍化された凶悪犯フェニックスが脱獄したため、その逮捕を命じられる。スタローンのキャリアでは珍しいSFアクション。

シルヴェスター・スタローンが演じた情熱たぎる男たち
レイ・クイック(『スペシャリスト』)

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元CIAの特殊工作員だったが、いまやフリーの爆破請負人となったレイ。ある日彼はメイという女性から両親を殺した犯人を爆殺してほしいという依頼を受ける…。メイを演じるのはシャロン・ストーンで、スタローンとの濃厚な絡みが一番の見せ場と言われることも?

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キット・ラトゥーラ(『デイライト』)

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トンネル崩落事故をテーマにしたパニック映画で、スタローンは偶然現場に居合わせたタクシー運転手キットを演じる。彼は元緊急医療班隊長だったため、トンネル内に閉じ込められた人々を救出しようと奮闘するが、過去に救出作戦に失敗したトラウマがあった。

行く末が心配された2000年代

2000年代に入ると、さすがのスタローンにも衰えが見られた。レーサーを演じた『ドリヴン』(2001)、初の悪役を演じた『スパイキッズ3-D:ゲームオーバー』(2003)はいま一つの出来。

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ジョー・タント(『ドリヴン』)

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伝説のレーサー、アイルトン・セナに捧げる映画を考えていたスタローンが脚本も担当し、初めて挑んだレース映画。スタローンは現役を退いていたベテラン・レーサー、ジョーを演じ、新人レーサー、ジミーのサポート役ながら主役級の存在感を発揮している。

「ロッキー」シリーズの最終章となった『ロッキー・ザ・ファイナル』(2006)と、「ランボー」シリーズでは初監督作となった『ランボー/最後の戦場』(2008)にはどこかに寂しさや空しさが漂い、両シリーズに一応の決着をつけた彼の行く末が心配された。

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