ずっと撮っていたくなる魅力を感じる玉木宏
──鶴見篤四郎を演じた玉木宏さんの怪演が印象に残ります。
脚本が鶴見という人物をしっかり描いていたので、僕と玉木さんはそれを追っていったのですが、狂気の具合は難しかったですね。原作はマンガですから、目を過剰にぐわーっと開いたりしていますが、実写ではそういうわけにはいきません。脳汁が垂れるきっかけとなる目の瞳孔の開き具合などを玉木さんとシーンごとに話し合い、まずは不気味な感じで登場し、その後は狂気にオンとオフを加えながらやりました。常に狂気というわけではないですからね。爆発するのは杉元に串を刺す瞬間。それまではちょっと抑えながら、ときどき垣間見えるくらいにしましょうといった感じにしました。
玉木さんの声や美貌も観客をゾクゾクさせるものの1つだと思いますから、怪演の中に美があるといった感じの鶴見になりました。そして、第七師団のみんなが惚れこむようなどっしりとしたところも持たせて作っていきました。
──鶴見は狂気の人ですが、なぜ第七師団が金塊を狙っているかを語るのを聞いていると、共感してしまいたくなります。どのように演出をされましたか。
共感しちゃうんですよ。それが鶴見の持っている美。だから僕らはあの言葉に説得されてしまうのです。そして玉木さんも同じものを持っています。僕がしたのは振り付けくらい。セリフの言い回しなどは玉木さんにお任せでした。
鶴見もすごく人気があって、連載終了後から全国各地で開催されているゴールデンカムイ展では「鶴見中尉ナイト」といった催しも用意され、お客さんが鶴見のお面をつけて鑑賞するんです。それくらい熱狂的なファンがいます。そんな鶴見を玉木さんが見事に演じ切ってくれました。
──玉木宏さんの魅力はどんなところでしょうか。
何でも挑戦してくれるところですね。原作の1コマを見せて、「ここは原作ではこういうシーンですが、こういう違う動きをしたいです」と伝えれば、すっと演じてくれる。ずっと撮っていたくなる魅力を感じる人でした。
──これからご覧になる方にひとことお願いします。
今までにない北海道、明治時代、アイヌ文化を舞台にした作品です。スタッフ、キャストが一丸になって、大自然の中で起きるサバイバル・バトルを原作にリスペクトを込めて作りました。ぜひ大スクリーンでご覧いただければと思います。
<PROFILE>
監督:久保茂昭
1973年生まれ。これまでEXILE、安室奈美恵、DREAM COME TRUEなど数々の有名アーティストのミュージック・ビデオを500作品以上監督し、「VMAJ年間最優秀ビデオ賞」を5年連続受賞。ドラマ「HiGH&LOW〜THE STORY OF S.W.O.R.D.〜」(15)を皮切りに、同シリーズの映画公開作品を監督。その他の監督作品に、高橋ヒロシによる不良漫画の金字塔『クローズ』『WORST』のコラボ映画『HiGH&LOW THE WORST』(19)や『小説の神様 君としか描けない物語』(20)などがある。
『ゴールデンカムイ』全国劇場にて公開中
<STORY>
日露戦争においてもっとも過酷な戦場となった二〇三高地をはじめ、その鬼神のごとき戦いぶりに「不死身の杉元」と異名を付けられた元軍人の杉元佐一は、ある目的のために北海道で砂金採りに明け暮れていた。そこで杉元は、アイヌ民族から強奪された莫大な金塊の存在を知る。金塊を奪った男「のっぺら坊」は、捕まる直前に金塊をとある場所に隠し、そのありかを記した刺青を24人の囚人の身体に彫り、彼らを脱獄させた。刺青は24人全員で一つの暗号になるという。
そんな折、ヒグマの襲撃を受けた杉元を、アイヌの少女・アシリパが救う。アシリパは、金塊を奪った男に父親を殺されていた。そして父の仇を討つため、杉元と行動を共にすることに。
同じく金塊を狙うのは、日露戦争で命を懸けて戦いながらも報われなかった師団員のために、北海道征服を目論む大日本帝国陸軍第七師団の鶴見中尉。そして、もう一人、戊辰戦争で戦死したはずの新撰組「鬼の副長」こと土方歳三が自らの野望実現のため金塊を追い求めていた――。
杉元&アシリパVS.第七師団VS.土方歳三・・・!!
雄大な北の大地を舞台に、一攫千金!三つ巴のサバイバル・バトルが、今始まるッ――!!!!
※アシリパのリは小文字が正式表記
<STAFF&CAST>
原作:野田サトル「ゴールデンカムイ」(集英社ヤングジャンプ コミックス刊)
監督:久保茂昭
脚本:黒岩勉
音楽:やまだ豊
主題歌: ACIDMAN「輝けるもの」(ユニバーサル ミュージック)
アイヌ語・文化監修:中川裕 秋辺デボ
出演: 山﨑賢人
山田杏奈 眞栄田郷敦 工藤阿須加 柳俊太郎 泉澤祐希 / 矢本悠馬
大谷亮平 勝矢 / 高畑充希
木場勝己 大方斐紗子 秋辺デボ マキタスポーツ / 井浦新
玉木宏 ・ 舘ひろし
※山﨑賢人の「崎」は正式には「たつさき」
※柳俊太郎の「柳」は正式には旧字の「木夕卩」
配給:東宝
©野田サトル/集英社 ©2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会
公式サイト:https://kamuy-movie.com/