“俳優としてカメラの前に立つときは、いちばん自由を感じられた”
――虎永というキャラクターは徳川家康をモチーフにしたキャラクターですが、これを演じるうえで気を配られたことは?
「ミステリアスであり、策略家で、パワフルでありながら、ファミリーマンでもある、そんな人間・虎永を描きたいと思いました。他のキャラクターもそうですが、ステレオタイプに陥らず、人間・人間・人間……にフォーカスしていこうとうのが脚本作りの段階からのテーマだったんです。
虎永にも弱いところはあります。一方で、ポーカーフェイスを見せながらも部下思いでもある。僕は7、8年にわたってこの作品に関わってきましたが、その過程で虎永というキャラクターや、作品の中の彼の役が自分の中では腑に落ちていました。
そういう意味では、プロデューサーとして多忙な時間の中で、俳優としてカメラの前に立つときは、いちばん自由を感じられたというか、ご褒美と言いますか(笑)。“あ、もう役に没頭していいんだ”というような。僕は虎永としてそこにいればよかったんです。余計なことはせず、役になって呼吸をしてリアクトしていくだけ。プロデューサーという仕事を兼ねたからこそたどり着いた、俳優の無我の境地といえるかもしれません」
――虎永の家臣、藪重に扮した浅野忠信さんもイイ味を出していましたが、共演シーンの撮影時にはどんな話をされましたか?
「彼が10代の頃からのつきあいですし、今回が共演は6作目ですかね。その度にいろんな話をして、作品の話もあれば身の回りの話もして。そういった長い歴史が、そのまま虎永と藪重の歴史にすり替わったような気がします。今回の現場では、細かいことは話し合ったりはしなかったですね。“やりたいようにやって”という姿勢で、彼のパフォーマンスを楽しみながら、それにリアクトしていくような。
藪重はとにかく型破りなキャラクターなので、彼にはとにかく自由に演じて欲しかったし、僕は何をしても受け入れるつもりでした。彼もときどき“これはさすがにやり過ぎですかねえ?”と訊いてくるんですけど、僕は“いやいや、藪重なら行くでしょう”と(笑)。僕にしてみればオール・ウェルカムです。むしろ、藪重だからこその彼の表現をこちらも待っている。藪重の最後の場面にしても、彼はやりたい放題やってくれた。本当に楽しいコラボレーションでした」
PROFILE
真田広之 Hiroyuki Sanada
東京都出身。幼少期からモデル、子役として活動し、1966年に俳優デビュー。その後、数々の映画、ドラマ、舞台に出演し、日本を代表するスター俳優として人気を獲得する。2002年、アカデミー外国語映画賞にノミネートされた『たそがれ清兵衛』に主演し、翌年『ラスト サムライ』の演技で世界的な賞賛を集める。その後は海外での活動が中心になり、『ラッシュアワー3』(07)、『スピードレーサー』(08)、『ウルヴァリン』(13)、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)、『モータルコンバット』(21)など超大作に次々と出演。『ジョン・ウィック:コンセクエンス』(23)ではキアヌ・リーヴス演じる主人公の旧友を演じ、壮絶なアクションを披露した。演技だけでなく、スタントやアクション、殺陣にも精通しており、映画制作のさまざまなパートで活躍。本作では主演だけでなく、プロデューサーも務める。日本が世界に誇る映画人のひとり。
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